ふと気がつくと、昨日と同じような一日を送っている。
昨日と同じように会社に通い、昨日と同じようにテレビを見、昨日と同じようにビールをグビる。
生活のためとはいえ、そんな毎日を送って老いぼれてくのはゴメン、だよね?

同じ顔した毎日に、ほんの小さな無理ない刺激。

機械的な毎日に人生を牛耳られないために。「オサニチ」。連載中。

 


第3回「ゴールデンウィークに、おバカな旅行」(2002年4月)


さて、あっという間に4月である。
今年は桜が早かったねぇ、やけに暖かいねぇと言っているうちにすぐ4月中旬、ゴールデンウィーク(GW)は目の前だ。かくも人生は早い。

そう、そろそろGWの予定を決めないとね。南の島にのんびりしに行くのもいいな、ヨーロッパに駆け足旅行もいいかも、いやワールドカップ直前のソウルの熱気に触れるのもいい、うーむ早春の北海道も捨てがたい、などなど。みなさん、今年はどういうご予定ですか?

でもね、わりと「旅行するために旅行する」という感じになりがちなのもこのGW。
「せっかくだから旅行でもしないともったいないよね」って感じで、旅行すること自体が目的になっちゃいがちなのだ。帰ってきて「疲れたー」となるのはこのパターン。旅行することが目的だからその日程を充実させようとしちゃうんですね。過密なスケジュール=充実した旅行、と勘違いしてしまう。

例えば早春の北海道にゆっくりしに行こうと思っても、道央で満足すりゃいいのに道東まで足を延ばしてしまう。せっかくだからと知らず知らず過密になってしまう。だから、本来旅行から帰ってきたら日常の疲れが取れているはずなのに、芯から疲れ切ってしまう。そしていつもと同じような(いや、いつもより疲れた)日常に戻っていく。それでは旅行はなんの効果もない。

では、どうすればいいか。
目的を小さく設定してのんびり旅行しろと言っているのか。いやいや、目的を小さくすると今度は「退屈」が訪れる。現代人は難しいのだ。退屈と過密の間がない。

そこで。
ボクは「おバカな旅行」をオススメしたい。

つまり、わざとバカバカしい目的を設定し、それに邁進する酔狂な旅行をしてみるのである。
これが予想以上に面白い。まず、退屈しない。んでもって、達成できなくても気にならないから過密にもなりにくい。例え過密になったとしても、つまらなかったらすぐ止めて帰れる。面白かったら過密も気にならない。だから疲れない。最初からおバカをしにいくと思っているからか、肩のチカラが抜けきって楽しい旅になるのである。で、帰ってきてからも「バカなことやったんだよー、えへへへ」と人に話したくなる。妙な発散と刺激を受けて日常が少し変化する。人生が思わぬ方向に刺激を受けるのである。

例えばボクがいままで世界各国に旅行を重ねた中で、一番おもしろく、妙に発散し、疲れなど微塵も感じなかった旅行は「さぬきうどんを食べるためだけに香川まで行く」というおバカな旅行であった。
なにがおバカかって、さぬきうどんは香川の奥地では一杯100円とかの激安食品。その一杯100円のうどんを食べるためだけに、家族で往復10万以上使って旅をしたのだ。しかも現地ではただたださぬきうどんを食べるだけ。最高で1日11軒食べた。これがいまでも家族で語り草にするほど面白く、その面白さを伝えたくて個人ホームページに紀行文を載せていたら人気コンテンツとなり、挙げ句の果て本にもなってしまったおバカ旅であったのだ。(

例えば近しい人に提案したとしても「なにバカ言ってんの!」と一蹴されるような欲望、ありませんか? 
餃子を食べるためだけに宇都宮に行ってみたい!とか、ツチノコ探すためだけに岐阜の山の中入ってみたい!とか、南十字星を見るためだけに沖縄の離島に行ってみたい!とか、赤道を両足で跨ぐためだけにスマトラ島に行ってみたい!とか、ラブラドールレトリバーの故郷を見るためだけにラブラドル半島に行ってみたい!とか。とかとかとか。

一見他人にはおバカに見えるそういう旅行こそ、実はアナタを劇的に変えてくれるチカラを持っていたりする。忘れていた何かを思い出させてくれたりする。おさまりがちな日常におバカな刺激。今度のGWにいかがであろう?


※)筆者のさぬきうどん紀行文
  http://www.satonao.com/special/sanuki/sanuki1.html




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