ふと気がつくと、昨日と同じような一日を送っている。
昨日と同じように会社に通い、昨日と同じようにテレビを見、昨日と同じようにビールをグビる。
生活のためとはいえ、そんな毎日を送って老いぼれてくのはゴメン、だよね?

同じ顔した毎日に、ほんの小さな無理ない刺激。

機械的な毎日に人生を牛耳られないために。「オサニチ」。連載中。

 


第12回「般若心経を覚えてみる」(2003年2月)


ボクは般若心経を空で言える。

暗記したのは中学のとき。古寺仏閣巡りというじじくさい趣味を持っていたボクは、たんにお参りするよりも「般若心経くらい読めると格好いいぞ」とある日なんとなく思ったのだ。で、祖父に頼んで教えてもらった。おっよしよし、と喜んで教えてくれた。そう、昔の老人は般若心経くらい読める人が多かったのだ。それ以来ほぼ忘れずに今に至っている。


はんにゃしんぎょー? このデジタルな時代になに言ってんだー、と思って読んでいる方も多いかもしれない。
でもね、時代がデジタルだからこそ「お経が読める意外性は効く」のだ。お葬式や仏事で般若心経を口元で小さく唱えるだけで周りはなんとなく見直してくれる。

うはは、不純? 
でもね、不純な動機で覚えてもボクはいいと思う。最初はそれでいいのだ。そのうち、お経を読むと不思議と心が静かになることに気づく。経文の意味も味わいだす。ひとりで墓参りしたりするときも般若心経が読めると空の上の人に心が伝わったような気持ちにもなる。人生のいろんな場面で般若心経が機能しだす。その頻度はあなたが想像するよりずっと多いだろう。だからまずはどんな動機でもいいから覚えてしまうことをオススメする。

難しいし長いんでしょって?
いやいや。般若心経って非常に短いお経なんですねこれが。早口だったら1分かからないくらいで読める。覚えるとしても2〜3日がんばれば完璧に暗記できると思う。
そしてなによりこの般若心経、宗派を越えてどんなお寺で唱えても効力(功徳)があるらしいのがいい。万能なお経なのだ。だから覚え損がない。


ちなみに、25年ほど般若心経とつきあいのあるボクも、お経の意味は正確にはわからなかったりする。
ま、もともとは古代インド語の教えを中国人が無理矢理漢字に当てはめて作ったお経らしいから正確にわかる必要もない気はする。なにせ、冒頭の「摩訶般若波羅蜜多心経(まーかーはんにゃーはーらーみーたーしんぎょう)」って言葉も古代インド語の「マハーパニャーパラーミターチタースートラ」を無理矢理漢字にしたって言うんだから。だから意味なんか覚えなくてよいと個人的には思う。心静かに唱えることでこのお経の目的のほとんどは達しているのだ。

お経は気持ち。空の上との共通言語。般若心経をひとつ覚えているだけでずいぶん空の上とコミュニケーションできる気持ちになる。たった3日がんばればそれが手にはいるし、残りの人生で大きく働いてくれる技術なのだ。どうです覚えてみませんか?


ボクのサイトの奥の方で般若心経全文と読み方を載せている。
http://www.satonao.com/column/variety/hannyasingyo.html
もしご興味があれば、ぜひ。




satonao@satonao.com