1999年11月「んめーめん」


んめーめん・・・まぁなんて簡単な回文ざんしょ。
と、いうことで、今月は麺類。うどんにそばにラーメンに焼きそばにパスタに・・・
あーー、いっぱいありすぎてとても4週では無理。つうことでかなり偏った選択。許せ。



「なにわ翁」  そば:大阪・西天満

大阪市北区西天満4-1-18/06-6361-5457/11〜19(土は〜15)/日祝休
西天満の裁判所の北側裏。「ちーず亭」の北の角。藍の布がかかっている。

ブレーメン?

 ところでそばは「麺類」なのだろうか? いや、今月のテーマは麺類なのだが、語源からいくとそばは麺類ではないのかもしれないと急に不安になってきたのだ。日本人はうどんやそばみたいなひも状のものを麺と呼んでいるが、漢字のふるさと中国では「麺」とは小麦粉で作った面状のものすべてを指す文字らしいのだ。麦偏に面、で、麺。小麦粉で作った面状のもの。だから広い意味で、ギョーザも麺類なわけですね。あ、小籠包も麺類か。ん? そういう意味ではピザも麺類? ってことは、パイも麺類なのか。チャパティだってナンだって麺類ではないか。おお、麺類大家族!

 ご存じのようにそばは基本的にそば粉で作る。つなぎに2割くらい小麦粉を使うのが一般的ではあるが、主役はそば粉だろう。つまりやっぱりそばは麺類ではなくそば類という独立した分野なのかもしれないな。あぁでもこう書いてきたらそんなことどうでもいい気がしてきたぞ。うまけりゃ分類などどうでもいいのだ。自分で言い出しておいてなんなのだが。

 さて。そば好きには朗報だ。ついに「翁(おきな)」が関西にも出来た。その名も「なにわ翁」。そば好きなら一度は聞いたことがあるであろう山梨の「翁」の弟子が西天満に店を開いたのである。本店、安曇野、山形に続いて全国4店目の「翁」。近ごろ多いボソボソ系ではなくのど越しの良い洗練系。うん、ボク好みの香りとのど越し。そば湯もうまいし言うことないぞ!



「華風料理 松楽」  焼きそば:大阪・梅田

大阪市北区梅田2-5-13 桜橋第1ビル1F/06-6346-1436/11〜16/17.30〜21/土日祝休
国道2号の桜橋交差点から西へ3分歩いた右側。出入橋交差点の手前。リッツカールトンの南裏でもある。

今日はカツアゲ?それともヤキ?…

 子供のころは「硬焼きそば」が好きだった。そう、揚げそばタイプのめんね。かむとパリパリ崩れて揚げためんの香りが口いっぱいにグハーッと広がる。まぁベビースターラーメンみたいな駄菓子に近い感覚を喜んでいたのかも。だから当時のボクにとって具やあんは邪魔。かかったところはめんが軟らかくなるからね。まず具とあんを急いで食べてその後ゆっくり硬いめんをパリパリ楽しむ。親にしかられながらそんな下品な食べ方してました。ハイ。

 中学時代は「ソース焼きそば」に凝ったな。縁日の屋台で食べるのもうまかったけどなんといっても「焼きそばパン」。ソース焼きそばがドヒャッと入ったあの下世話さが好きだった。下校時によく買い食いしたもんだ。

 こんな風に「硬焼きそば」→「ソース焼きそば」と遍歴してきたボクの焼きそば人生だが(そんなたいそうなもんかい!)、大人になってからは「軟らかい焼きそば」に戻った。普通に中華で出る炒麺ですね。やっぱり軟らかいめんの方が具やあんとのなじみがいい。具だくさんの下に隠れている軟らかいめん。そう、焼きそばはめんと具とあんのバランスが大事なのだ。

 さて、そんなボクがいま一番と思っている焼きそばをご紹介しよう。ここ「松楽」の焼きそばは上海風。軟らかめんの、とにかくクセになる味だ。オイスターソース味のあんは適度に上品で適度にジャンク。うまいぞー。ボクはこの店で焼きそばと焼きめしを一緒に頼む。この焼きめしがハム味でなんだか懐かしいうまさ。豆乳スープや中国風おかゆもおすすめだ。

 大阪のリッツカールトンのわきにある小さな小さな店だが、日本でもトップクラスの「んめー」店。いわゆるB級グルメの名店なのである。



「そば処 三佳」  そば&うどん:兵庫・逆瀬川

兵庫県宝塚市逆瀬川1-11-27/0797-74-4778/11〜20.30/金休
阪急逆瀬川駅を降りてアピアの1と2の間を入っていきすぐの道を左折。50メートルほど歩いた右側。

両麺イケてる!

 どうして「そば専門店」ってああ高級仕様が多いのだろう。店内妙に凝っていて、オヤジも「そば道!」って感じで哲学していて、器も高そうで、なんだか全体に気取ってるよね。値段だって「なんで?」ってくらい高い。量も少なかったりする。そりゃ確かにおいしいのだが、なんかそこまで凝らなくても、と思うのはボクだけなのだろうか。だって基本的にファストフード。もっと気軽に楽しみたいのだ。

 一方、町の普通のそば屋さんは安くて気軽だが、やっぱり味は少し落ちるところが多いよね。特にうどんとか丼ものも出来る店。そういう店はそばかうどんのどちらかがうまいというよりは「どちらもイマイチ」な店が経験上多い気がする。二兎を追う者は一兎を得ず。そばもうどんも中途半端になっちゃうのかなぁ。

 でも、実はそば・うどん両方とも絶品な店を一軒知っているのだ。変に凝っていない普通のそば屋さんだから値段もとても安い。素晴らしいでしょ? 阪急逆瀬川駅からほど近い「三佳(みよし)」は基本的にそば中心。この値段でこのレベル!と驚くほど香り高いそばが気軽かつ普段着で楽しめる。でね、この前気まぐれにざるうどんを頼んでみたのよ。そしたらこれがあーた、すごいうどんだったのだ。なめらかでいながらすごいコシ。歯が本気を出してグググッとかみ切りにいくとようやくその身を許してくれるのだが、まだそこから首の皮一枚でムニーッと粘る。これぞ、んめーめん!

 丼ものも一品ものも侮れない。見た目は本当に普通の店なのだが、そこらの哲学オヤジがやっているこだわり店が逃げ出すような、そんな実力店である。オヤジさんの笑顔もいいし、そしてなにより安いのが最高! 



「讃岐うどん 凡蔵」  さぬきうどん:神戸・須磨

神戸市須磨区妙法寺上の界1182−1/078-741-9124/11〜14.30/17〜21/月休
車で。新神戸駅横の山麓バイパスに乗り「ひよどり台」で左に降りる。「長田」と書いている方向にひたすら進み消防署を越えて行くと三叉路になる手前の右側にある。

 もともと熱狂的「そば党」だったボクが、香川県で本場のさぬきうどんを初体験して一気に「さぬきうどん党」になった過程については『うまひゃひゃさぬきうどん』という本(さとなお著/コスモの本/1500円)にくわしーく書いた。2泊3日で14軒まわった旅の記録である。興味がある方はぜひ。とにかく価値観が変わるほどうまいのだ。そのうまさは「しょせんうどんでしょ?」などと思っているアナタの想像をはるかに越える。まさに笑ってしまうほどうまい。「うまひゃひゃ」なのだ。いいから信じろ! 信じたものだけが極楽へ行けるのだ!

コシ一徹

 ボクの本やホームぺージを見て香川へ行き実際に食べた方からは感謝の声しか届かない。みな確実に「さぬきうどん党」になって帰ってくる。そして近所のうどん屋で食べられないカラダになってしまうのだ。だってレベルが違いすぎるんだもん。あーでも香川は遠い。せめて車で1時間くらいの距離に本場の味を彷彿(ほうふつ)とさせるうどん屋があったなら…これは本場を体験したヒト共通の悩みなのだ。

 さて、神戸の妙法寺に「凡蔵」という新しいさぬきうどんの店が出来たと、さぬきうどん友達に聞いた。で、さっそく行ってみた。食べた。おかわりした。食べた。おかわりした。食べた。おかわりした。食べた……うまひゃひゃひゃ〜!

 香川で修業した店主が開いたばかりのこの店のうどんはまだ香川そのもの。断然おすすめなのは生醤油(きじょうゆ)うどん。このめんはどうだ。やわらかいのに固い。なめらかなのにコシがある。まさに本場を彷彿とさせる味。ちょっと不便な場所にあるが近場でさぬきを体験するならこの店の冷たい生醤油うどんが一押しだ。あなたを狂わせる魔性の味である。



文章:さとなお(satonao@satonao.com) イラスト:中村三奈(minasann@syd.odn.ne.jp)


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