2000年7月「汗を出し切れ!辛いもの」


今月は、辛いもの特集。
熱いときになると不思議と食べたくなる、辛いもの。汗でびしょびしょになるくせに食べたくなる。
そんな辛いものを食べさせてくれる店をさぐってみました。
なお、高校野球の関係で今月は3週です。



「船場カリー」  カレー:大阪・船場

大阪市中央区南本町3-3-10杉山ビル2F/06-6253-1760/11〜15/18〜21/日祝休
船場センタービル8号館の北向かいあたり。二階にあがる小さな店。

カレ、ナーンだ?

 夏が嫌いである。どんなに空が青かろうが、どんなに女の子が薄着していようが、とにかく夏が嫌いである。理由はただ一つ。汗をかくからである。汗がイヤ。なにしろイヤ。汗さえかかなければ夏も許せる。

 昔はこんなに汗かきではなかった。一時、体質改善を試みたことがあって、それ以来汗かきになった。まぁ新陳代謝が活発なのはいいことだが、ベタベタジュワジュワと気持ち悪いことおびただしい。あー、不快。

 そんなボクであるが、「汗をかく料理」は好きである。例えば暑いときに食べる辛いモノ。代表的なのはカレー。食べると汗がドババッと噴き出すのだが、この汗は気持ちいい。暑くて汗みどろの時にカレーでますます汗をかくと妙にすっきりしたりする。老廃物が出きった気分。垢(あか)すりマッサージに行った後みたいな壮快感にあふれるのである。うん。

 ひいきにしているカレー屋さんはいくつもある。でも、特に今日は汗をかきたいゾ!という時に決まって行くのは「船場カリー」だ。ここのビーフ葱(ねぎ)カレーは、葱が一面にかかっていて、これがルーによく合うのである。トウガラシとブラックペッパー、カイエンペッパーが効いたそれはとにかく辛い。辛くてうまい。うまくて汗ビショ。スーツなんか着てた日にゃあーた、背中一面世界地図ざんす。でもでも、夏の暑さも二日酔いも仕事のストレスも、すべて汗腺からドバドバ噴き出し消えていく。この快感! 汗を出し切ってリフレッシュしたい時にぴったりの極うまカレーなのである。



「ラヴェニール・チャイナ」  中華料理:兵庫・夙川

兵庫県西宮市羽衣町10-21 夙川ksビル3/0798-26-3656/11〜14.30/17.30〜22/月休
阪急夙川駅の南側ロータリーに出ると西にマクドナルドが見える。その南横の筋を西へ歩く。300mも歩くと右側にある。夙川教会裏。

なんでこんなにからい〜のかよ

 ♪ボクの名前はヤンボー、ボクの名前はマーボー……って、麻婆豆腐(マーボードウフ)を食べるときに思わず古いコマソンを歌ってしまうのはボクだけ? というか、そうやって歌を歌ってしまうくらいワクワクしながら麻婆豆腐を食べるボクなのです。そのくらい麻婆豆腐ファン。

 20代前半のころだったか、試行錯誤の上、麻婆豆腐の兄弟分としてヤンボー豆腐という料理を創作したこともあった(遠い回想)。ヤンボードーフ…。作り方はいまでも覚えているけど、レシピはとっても秘密だ。理由はただひとつ。激まずいから。いま思い出してもまずい。うん、あれはまずかった。

 ボクの麻婆豆腐ファンは徹底していて、中華料理店に行くとほぼ確実に麻婆豆腐をオーダーしてしまう。メニューがたくさんある店でも、気がついたら麻婆豆腐をオーダーしている。うーむ、なにかトラウマでもあるのだろうか? でも、満足する麻婆豆腐にはなかなか出会えない。世の中にはわりと甘めのがまん延しているが、麻婆豆腐はちゃんと辛くないとイヤなのだ。汗がドッと出るくらいしっかり辛く、スパイスも複雑に絡み合い、それでいて豆腐のうまみも消えない、そんな麻婆豆腐を常に探しているボクなのである。

 阪急夙川駅から程近いところにある「ラヴェニール・チャイナ」はまだ新しい中華料理店。フレンチか、と見まがうようなお洒落(しゃれ)な店内で食べる中華は何をとってもおいしい。特に野菜を使った料理など実に洗練されていて見事な物なのだが、ここの「本場四川麻婆豆腐」がまたうまいのだ。中国の四川省からスパイスを取り寄せて作っているだけあって、香りが違う。辛さが違う。うまみが違う。ボクの理想に近いのである。

 あんかけチャーハンや光麺(こうめん)もおいしいし、口が辛くなったらデザートに杏仁(あんにん)豆腐もいい。独特の食感でこれまた絶品、だよ。



◆「カンティプール」  ネパール料理:大阪・中崎商店街

大阪市北区黒崎町7-13/06-6359-3884/11.30〜15/17〜22/月・第3日休
大阪の天神橋筋5丁目のあたりから始まる中崎商店街の中程。ちょっとだけ北側の路地に入るけど。

ネバール

 サラリーマンの短い昼休みを一瞬にして夏休み気分に変えるもの。それは「かき氷」である。この季節、この快感はビールに匹敵する。ネクタイしてても心は遠い日の夏休み…。これこそリフレッシュというものだ。午後の仕事もはかどるのである。

 ただ、昼休みにかき氷を食べるのには段取りがいる。だってさ、例えば松花堂弁当を食べた後に食べる気にはならないでしょ? やっぱ辛いもの食べなきゃ。辛いものの後のかき氷が一番快感なのである。汗をドバドバかき、口の中を辛〜くした後、そのまますぐ店を出て近くのかき氷屋に飛び込み、甘〜いかき氷で口とカラダを冷やすのだ。これぞ心身ともに生き返る「夏の必殺ワザ」。ダレたわが身に打ちつける強力なアメとムチなのである。

 辛い料理の店とかき氷店。この組み合わせは最強だが、両方が都合よく近場にそろっていることって意外と少ないよね。でも、むふふ、ボクはいくつかそういう組み合わせを持っている。その中のひとつが天五&中崎商店街。中崎商店街の「カンティプール」で辛くてうまいネパール料理を食べた後、汗ドバドバの口カラカラで近くのかき氷店にかけこむのである。すぐそこの天五にもかき氷店はあるから安心だ。

 ネパール料理はスパイスを多用するが、この店のそれは辛みと酸味のバランスがよく、どの料理も味わいがひとレベル深い。オススメはなんといってもカレー。大根とスペアリブのカレーなどクセになるぞ。そのうえ石釜(いしがま)で焼いたバターナンがまたうまい。ボクはひそかに大阪一だと思っている。もちろん昼でも楽しめるから、ぜひ1回試してみてほしい。趣ある中崎商店街には、かき氷以外にもおいしい紅茶の店やたこ焼きの店もある。ふんわりぶらつくと気持ちもほぐれる。あー、カレー&かき氷&古い商店街。なんでこんなにリフレッシュするんだろうねぇ。









文章:さとなお(satonao@satonao.com) イラスト:中村三奈(minasann@syd.odn.ne.jp)


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