2000年6月「リ喰えスト」


今月は、リクエスト特集。
メールなどでいただいた「さとなおよ、ここへ行ってみてくれ!」のリクエストに
応えていこうという企画ですね。まぁたった5週分しか応えられないのだけれど。



「ポンテベッキオ」  イタリアン:大阪・天満橋

大阪市北区天満1-5-2 トリシマオフィスワンビル1F/06-6356-3477/12〜14/18〜21/第1.3日休
天満橋の松坂屋の角を北に。橋を渡ったすぐ右側にある。

リクエストマンス

 題名のせいだろうか、安くてうまい店を紹介するコーナーと思われている節がある当コラム。でも、別に「安い」を重視しているわけではないのよ。少々高くてもその値段に見合う満足感が得られるならやっぱり「自腹で満足!」だと思うからである。だからかなり値段が張る店もご紹介してきた。しょーもない店に3回行くならそういう店に1回行った方が結局お得、ってこともあると思うからである。ま、安いに越したことないんだけどね。

 さて今月はリクエスト特集である。1回目は天満橋にあるイタリアン「ポンテベッキオ」。「値段は高いですが、自腹で食べても値打ちがある、満足できること間違いなしです」というメールをいただいた。うんうん。ボクもそう思いますです。焦点がぼけているそこらのイタリアンに行くのを我慢して、貯金してでも行く価値がある名店だ。

 実はボクもこの店には何回か行っていて、昔本町にあったころはわりと通ったものである。天満橋に移転してからはまだ1回しか行ったことなかったので久しぶりに食べに行ってみた。うーむ、やっぱりうまい。店も大きくなりサービス陣も若返りワインもより充実し、なにより料理が洗練を増した。関西でもトップクラスのイタリアンである。

 夜もいいが、コースが1万円からとちょっと高めなので、財布に余裕がない人はランチへ行こう。ランチコースですら4000円からと高額ではあるが、きっと、自腹で満足!なはずである。



「四川辣麺」  ラーメン:大阪・天神橋

大阪市北区天神橋3-11-7/06-6354-2422/11.30〜15/17〜26/無休
天神橋筋商店街の3丁目あたりに高架があるでしょ。その南側を東に曲がって200メートルくらい。

tantanうめーん

 「さとなおよ、なぜラーメンを取り上げないのだ!?」というメールをよくいただく。そういやそうだ。取り上げたことがない。というか、反感・憤慨を恐れずに書くとラーメンをそんなにおいしいと思ったことがないんですよ、ボク。うどんや蕎麦(そば)の方がおいしいと思ってしまう。

 大阪や阪神間の有名なラーメン店もいろいろ行ったけどどうもいまひとつ。化学調味料をドバドバ使っている店もまだ多いし、スープは良くても麺(めん)がなおざりだったりしてバランスが悪い。行列が出来る店だからって天狗(てんぐ)になってさぼってない?って勘ぐりたくなる店も多い。つーか、なぜこの程度の味に行列するのだろう???

 とはいえリクエスト特集の今月、ラーメンを取り上げよ!の声にはちょっと逆らえない。みんなラーメンが好きなのだねぇ。いくつか推薦をいただいて食べ回ってみたけどどれも「うーん」であった(偉そうでゴメン。でも…)。こりゃ困った。でもそういうことなら、今回はみなさんのリクエスト店ではないけれど、ボクが今一番気に入っているラーメン店をご紹介することにしよう。

 天神橋3丁目商店街から東に抜けたあたりにある「四川辣麺(ラーメン)は四川坦々(たんたん)麺の専門店。通りがかりになんとなく入ったんだけど、これがなかなかに当たりだったのである。唐辛子ブレンドとごまペーストのバランスがよく、まずスープがとてもうまい。調味料はラー油やレイシー酢などいろいろ選べて味付けするのも楽しいし、具もそれぞれいい味だしているのだ。麺とスープのなじみもいいし、麺自体もなかなかうまい。店員教育を厳しくやっているようで、接客も気持ちがいい。

 ラーメンは上品すぎたらつまらない。下品すぎても飽きがくる。ここの坦々麺はそのへんのバランスがとてもいいと思うのである。どうです? ラーメン好きの方々?



◆「豚玉」  お好み焼き:大阪・高津

大阪市中央区高津1-6-1 金星ビル1F/17.30〜22/月休
お店側の希望により電話番号は不掲載。行き方も・・・まぁ住所を見て調べて行ってくださいませ。

親から子、子から孫へ…

 ううむ。ラーメンのリクエストも多かったけど、お好み焼きのリクエストも多かったのである。でもなー、東京出身であるボクは小さなころに「家庭内お好み焼き体験」をしていないから、お好み焼きについて大阪人と語れる共通土壌がないのである。だから生半可にわかったようなことを言うのが怖い。しかもこっちに来てからも生半可に言えない程度しかお好み焼きを食べていない。つまり生半可なご紹介しか出来ないことになる。あー、まるでボクの人生みたいに生半可。

 とりあえずリクエストしていただいたお好み焼きの店をちょこちょこ食べてみたんだけど、あまり違いがわからない。いや、うまいんだけどこりゃオススメ!と言っていいのかよくわからない。うーん困ったぞ。

 困ったボクは、お好み焼き専門店ではないけれどお好み焼きも非常にうまい、という店をご紹介することにした。リクエストにもあったしボクも数回行ったことがある店。その名も「豚玉」。松屋町筋と谷町筋の間、千日前通りの北側にある店だが、この店、イタリアン&お好み焼きという変わった店なのである。ニューヨークのヴィレッジにありそうな素っ気ない店内でジャズを聴きながら、まずイタリアン系の前菜、パスタなどを食べた後、〆(しめ)に店名である豚玉を食べるのである。こう書くと「ちゅーとはんぱやな〜」と思われがちだが、さにあらず。イタリアンも豚玉もそれぞれ素材に凝っており、そこらの専門店を軽くしのぐ味。なにより〆に豚玉という発想が面白い。楽しく一晩過ごせる店だ。

 シェフが一人で作っているせいもあって、料理が出てくるのがちょっと遅め。だから最初にある程度注文しといた方がいい。食べ終わったころには「意外にイタリアンとお好み焼きって合うね」って話し合っていることだろう。決して生半可じゃないおいしさなのである。



◆「亀の池 浪速」  うなぎ:大阪・天神橋

大阪市北区天神橋2-5-10/06-6352-3232/11.30〜14/17〜21/日祝休
大阪の天満宮の北側すぐ。天神橋筋商店街から横に入っても1分くらいのところ。

ザ・ウーナッツ

 梅雨があけたら暑い〜。暑くなったらう〜な〜ぎ〜。というわけで(どういうわけじゃ)、今週は鰻のリクエストである。

 Kさんからのメール。「さとなおさん、はじめまして。(中略)ところで鰻です。ホームページを見るといろいろな店に行ってらっしゃるようですが、どこを探しても『亀の池 浪速』が出てきません。まさか、もしや、まだ行っていないとか?(後略)」

 このあと長々とその店の鰻のおいしさが書き綴られているのだが、あいにくまだその店の蒲焼きを食べたことがなかったボクである。うう、そこまでうまい鰻を見過ごしていたとはなんたる不覚。で、梅雨に入るちょっと前の昼休み、大阪天満宮の北側にあるその店に食べに行ってみた。

 結論から書こう。めちゃうまい。こりゃうまい。あーうまい。カリカリなのにフワフワのホクホクで、しかもとっても香ばしいのである。うーむ…。ご存じのように関西風蒲焼きは蒸さずに焼く「地焼き」だからカリカリになり、関東風は蒸す過程が入るからフワフワになる。ところがこの店の蒲焼きは地焼き風カリカリなのになぜかフワフワなのだ。いったいどういうことだろう?

 聞けば、蒸さずに焼くところまでは関西風。その後、熱湯で鰻の表面を流すというのだ。そうすると余分な脂が流れる上に、関東風に蒸したようなフワフワ感が出てくるという。うーん、凝っている。鰻の蒲焼きは蒸す過程がまざる関東風の方がうまいと思っていたボクであるが、ここの「カリカリ感とフワフワ感が両立している蒲焼き」を食べてしまうとその確信も根っこから崩れていく。ま、関西風というよりは「亀の池 浪速オリジナル」なんだけどね。

 もともとフグ・ハモの店なのだが、昼に出した鰻が人気になり夏場は夜も鰻を出し始めたとか。うん、そりゃ人気も出るだろう。今週はKさんに感謝なのである。



◆「光華」  ベトナム料理:大阪・天神橋

大阪市北区天神橋3-9-12/06-6354-5315/11.30〜14/17〜22/日曜休
大阪の天神橋筋商店街の中。3丁目あたり。

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 チャーハン大王という方からメールをいただいた。「私はチャーハン大王です。ひざまずきましょう。(中略)チャーハンを食べた店数だけはだれにも負けません。いっぱい食べ歩いた中でも、やっぱり天神橋の『光華(こんわ)』のチャーハンは常に上位にきます。たいへんクセになる味なのです(後略)」

 チャーハン大王ってだれ?って感じだけど(ひざまずきましょう、には笑った)、どうもありがとう。ボクも中華料理店に行くと必ずといっていいほどチャーハンを頼む。チャーハンがおいしい店はまず例外なくほかの一品物もうまい、という法則を信じていることもあるが、単に「チャーハン好き」なのだ。パラパラと香ばしく仕上がったチャーハンをレンゲでガババッと口にかきこむあの至福。で、まだ口の中に少し残ったままスープをズズズゥとすすり込み、またまたチャーハンをグググゥッと…あぁ食べたくなってきた!

 さて、興奮せずに「光華」である。実は前から行きたかった店だった。香港・広東料理の店なのにベトナム料理でも有名で、しかもコーヒー味のチャーハンがあったりする……と、情報だけは得ていたのだがまだ行っていなかったのである。大王のオススメだ。仕方ない。行こう(イヤなんかい!)

 店のオススメは「ベトナム風焼きめし」。たぶん大王もコレを薦めているのだろう。で、食べた。こ、これは……うぅんまい! いやマジで。こりゃ後を引く。クセになる。豆板醤(とうばんじゃん)とニョクマムがとてもよく利いており、お米の新しい魅力を見事にひきだしている。しかも適度に下品。いい意味で下世話。うまい!

 ベトナム料理も家庭的でなかなか。今回はコーヒー味チャーハンを頼まなかったが、この味のまとめ方から、きっとおいしいだろう。あー、うまかった。謹んでひざまずかせていただきます、大王さま。ははー。







文章:さとなお(satonao@satonao.com) イラスト:中村三奈(minasann@syd.odn.ne.jp)


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