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「ニューヨーク日記」1997年夏〜また来ちゃった篇の2

ということで、ニューヨークから離れること丸3日間、無事にカナダから帰還したのでした。
暑い。ニューヨークは暑い。日本から来た身には涼しかったが、カナダから来た身には暑い。空気も悪いし静けさもない。

なんで生きていく時間がこんなにも違うのだろう、どっちが一体幸せなのだろう、なんて高校生みたいな感慨をもってしまった。

8/8(金)

エアカナダの窓からマンハッタン全域が見渡せる。

4日間のケベック州旅行を終えて、またここに帰ってきた。あののんびりしたケベックにいたのはたった丸3日のことなのに、ニューヨークを出たのがそれは遠い昔の話に思える。僕がのんびりしている間もこの街はこうしてザワザワ生きていたのかと思うとなんか不思議な気がする。



空港へは仕事仲間のユカちゃんが迎えに来てくれていた。予定になかったのでうれしかった。 タクシーに乗ってニューヨークのおいしい店についてひとしきり話す。ユカちゃんもそっちの方が嫌いでないということで話が弾む。弾む。弾む……あれ、全然動いていない。そう、リンカーントンネルが大渋滞していて全く動かないのだ。
結局2時間かかってホテルに帰る。

ホテルは前とおんなじ「The Mansfield」。
部屋は前とはもちろん変わったが……もっと悪くなった。前は曲がりなりにも窓の外に2mくらいの空間があった。こんどはもうピッタリくっついている。ゆえに部屋は真っ暗。面積も前より狭く、スーツケースを置いたら歩き回るにも一苦労だ。気が滅入ってくる。

気を取り直して夜飯を食べにでる。
大学時代の先輩の真田さんと20時30分に店で待ち合わせているのだ。真田さんの勤めは商社。いま商社マンの間で「NYで一番美味しい寿司屋」と評判になっている店を教えてくれるというのだ。これを行かずにどこへ行く!
名前は「がりのすし」。雅利さんという人が握っているから「がり」らしい。ガリを握るのかと思ったぜ。アッパーイースト、78丁目にある。
味は……うまい。これは確かにニューヨークいちだ。いままでは「すし初」か「竹寿司」がトップかと思っていたけど今ではダントツにここ。ひょっとしたら北米一かもしれないなぁ。
ここで食べるときはおまかせで握ってもらうといい。なすの握りやミヤギというカキの唐揚げを軍艦に乗せたものなど、秀逸でした。ただしちょっと高い。ひとり100ドルちょいでることを覚悟。でも日本でこのレベルを食べたら20000円はしてしまうでしょう。

カキと言えばシアトルに行ったときクマモトという種類のカキを食べた。ミヤギはボストンのものらしい。どちらも日本から種子を輸入して養殖しているらしい。ミヤギは小粒でジューシーで大変おいしかった。

食べ終わったのが23時。最後の客でした。さーんざん食べて話して……なんだかケベックにいたのが遠い昔みたいだ。
ホテルに帰ってマイルス・デイビスのCDを借りる。春鹿がまわったらしい。2曲ほどしか聴いた記憶がない。

Sushi of Gari

212-517-5340/402 East 78st Street (bet. 1st & York)

「がりのすし」。雅利さんが握っているから「がり」らしい。ガリを握るわけではないよ。とにかくうまい。ここを知るまではすし初や竹寿司を一番と思っていたがいまではNY一はここだと思っている。いや北米一かもしれない。おまかせで頼むのが正解。ある程度料理を出してもらってそこから握りへ。オリジナルな握りを次々出してくれる。春鹿をがぶがぶ飲むと100ドル越えてしまう(NYでは馬鹿高く感じる)が日本でのことを考えれば安い安い。

8/9(土)

8時起床。
朝とはいえ窓の外が真っ暗。すぐ壁だからだ。部屋も暗い。夜のままだ。いやぁ、こんなの耐えられない。あと1週間ここかよ〜、と寝たまま考えていたらだんだん腹立ってきて同じホテルに泊まっている宮本女史に電話。

「ねぇ、部屋さぁ、ちょっとひどくない?」
「そう!そうよね!聞いてよ。わたし佐藤さんがカナダ行っている間ずっと寝てたのよ、風邪ひいて。なんか病的な部屋だと思わない?」
「風邪? あらあら。でもそりゃ風邪も引くよね、この部屋じゃ。冷蔵庫もないしクーラーも古いし暗いし狭いし…。ねぇホテル変えてもらわない?」
「どうでしょうねぇ。混んでいるって言っていたから……」
「でも交渉だけしてみよう」

ということでコーディネーターに即電話して強行にホテル変更を申し込む。同じ値段くらいでもうちょっとましなところに変えて!と。
そしたら15分くらい経って
「あ、ホテル取れましたからぁ。夕方変わってくださーい。え?あぁキタノホテルっていう日系のいいホテルですぅ」

……はじめから、そうしてくれい!!



まぁコーディネーターには苦労をかけたのです。
実際には奥の手を使ってくれたそうなので……ありがとうございました。これでゆっくり寝れそうです。



10時に44丁目のホテルを出る。
きょうの仕事はトライベッカのちょっと下あたりで。

5番街を下がってフラットアイアンのところからブロードウエイに入る。

土曜日でマジソン・スクエアの犬専用公園は混んでいる。マンハッタンの公園には良くあるパターンなのだろうが、日本では見かけないよね、犬専用公園。公園の一部が金網で仕切られていて犬を放して遊べるようになっているのだ。皆犬好きが集まってたくさんの犬が思いっ切り走ったりボール遊びをしたり水浴びしたりして楽しんでいる。うらやましいよ、僕は。日本はなんでこういう発想をしないのだろう。


ブロードウエイを下がってソーホーからトライベッカに抜ける。
ここらへんだけ土地勘があまりないので、グルグル探検しつつ歩く。
中心はやっぱりレストラン「NOBU」の当たりだろう。岡田さんによると、この上のロフトにハーベイ・カイテル、その向かいにデ・ニーロが住んでいるらしい。「NOBU」に行くと3回に1回はハーベイ・カイテルに会えるらしい。すごいな、なんだか。

トライベッカの土地勘がだいたい出来るまで歩き回った後、ファイナンシャル・ディストリクトの近くまで下がって仕事。1時間半くらい早足で歩き回ったら疲れちゃった。だんだん旅の疲れが出てきているみたいだ。
昼飯はケータリングのイタリアン。わりとラザニアがおいしくてうれしかった。

終わったのが14時頃。
帰りはタクシーに乗ろうと大通まで出るが、その途中で大捕物を目の前で見た。
まぁ大捕物、というのはオーバーかな。一人のアフロ・アメリカンが全力疾走で逃げるのを二人の私服警官が追っていく。で、1ブロック先で捕まえると抵抗する犯人をメタクソやっつけて逮捕した。
ある程度抵抗していたからしょうがないけど、犯人の顔は血だらけ。ロスの暴動の引き金となったようなことにならなければいいが、と余計な心配をしつつタクシーに乗る。
治安が飛躍的に良くなったと言ってもまだまだこういうことが日常茶飯事にあるんだねぇ。
ちょっと嘗めはじめていたから、ちょうどいい「引き締め」になったな。

16時にホテルに戻って打ち合わせ。で、ホテルの移動。
移動したのは38丁目のパークアヴェニュー沿いにあるキタノホテル。230倍いいホテル。なにしろ窓の外が開けているもん!部屋が明るいのが一番。おお!窓からエンパイアステートビルが見えるではないか!うんうん。こうでなくっちゃ。
しかもコーディネーターのコネで安く泊まれる。安くなかったら普通泊まれない。え?いくらくらいになったかって?差し支えがあるので内緒。
日系のホテルなので日本語は通じるし和食レストラン(なんと「なだ万」)もある。これは良し悪し。僕は英語しか通じないホテルの方が緊張感があって好きだ。
マンスフィールドに比べれば天と地だ。とにかく気持ちが開いていく。旅の印象はホテルがかなり帰るからね(旅ではなくて出張だっての!)。

でもまぁ「日本のホテルの延長」みたいなホテルなので、NYらしさとかはない。出張ではなく自腹の旅行だったら泊まらないかも。


19時からスペイン料理を食べに行く。
サングリアにタコスにパエジャ。どんどこ食べる。そこそこ美味しい店だった。ただ「白サングリア」があったのに頼まなかったのが悔やまれる。わりとそれで有名な店だったらしいのだ。後で知った。

その後、岡田さん達と4人で「Devine Bar」へ。
ここは4月にも来たワインバー。4月にはテイスティング・コースで「オーパス・ワン」が飲めたのだが、今日はなかった。残念。でも安いよなぁ。西麻布当たりのワインバーに比べると雲泥の差。
25時に帰ってきて少しだけ真保裕一の「取引」を読んで寝る。フィリピンのお話だ。う〜ん、ニューヨークには合わない。選択ミス。でもストーリーテリングは一流だからぱっぱか進んでしまう。眠いのになぁ。26時半頃就寝。

Solera

212-644-1166/216 E.53rd st.(bet 2nd & 3rd)

スペイン料理。後で知ったのだが白サングリアでちょっと有名な店だそうだ。料理は繊細で丁寧。スパニッシュの迫力はないが無難以上。パエジャなんかはわりとおいしい。ただちょっと高めだ。場所がいいからしょうがないか。

8/10(日)

朝7時起床。
1階のカフェテラスでターキーサンドを作って食べていたら横が日本の国会議員だったらしくなんだかきな臭い話を奥さんとしている。しまいには支配人を読んで「むかしこのホテルの創始者にはかわいがってもらってねぇ」みたいな話を大声でしだす。下品。なんで日本の偉い人って品がないのだろう。自分に自信がないから居丈高になるんだよね、きっと。肩書きにすがっちゃうんだ。名刺社会だからしょうがないけど。

8時45分出発で仕事。ずっと打ち合わせ。
14時にようやく飯。チェルシーの、その名も「アメリカ」というレストラン。名の通りアメリカ料理を出す店で、メニューにはアメリカ各地の地名とともにその地の料理が並んでいる。雰囲気が面白いレストランで、アメリカぽさを感じたいならオススメしたいレストランだ。でも量が多いので何人かでシェアする方がいい。

仕事仲間の山田さんがその昔アメリカに来て初めて入ったレストランがここだったとか。わ〜、アメリカだぁ、と感激したらしい。わかる。本当にアメリカしている。


一度ホテルに帰る。前の暗いホテルと違って明るいのでほっとする。あの病的な暗さが毎日続いていたらきっと僕も病気になったと思う。
次の打ち合わせまで2時間ばかりあるのでブルーミングデールズにオードトワレを買いに行く。香水関係って全く興味がなかったのだがなんとなく「香水をつける人生もいいな」と思うことがあって、狙っていたのだ。買ったのはCKのoneというオードトワレ。香水ではないけど僕にとってはこれでも充分画期的な出来事なのでした。

2時間ほど(買ったばかりのオードトワレをプンプンさせて)打ち合わせした後、20時に食事(そのころには香りも消えていました。ご安心ください)。
今日はソーホーのタイ料理。
タイ料理はNYでは美味しいところばかりだ。ここもご多聞にもれずなかなか。日本ならかなりの点をつけるところだ。でもNYだと他にもっと美味しいところあるからなぁ……


食後、ソーホーからビレッジまで歩いてJAZZを聴きに行く。
まずオカマ通りとして有名なクリストファー・ストリートの「55バー」でレニ・スターンのブルースギターのさわりを聞いて、その後「スイート・ベイジル」でローランド・ハナ・クァルテットを聴く。ベースのリチャード・デイビスが異様にかっこいい。途中サティのジム・ノペティ1番をベースでやった。よいよい。とてもよい。ゲストでフランク・ウェスがフルートを吹いた。すごい。そうそう、客としてトミー・フラナガンが来ていた。22時半の回は日本人も少ないし、こういう事が起こるのだ。NYのジャズクラブで遊ぶなら22時以降がいいよねぇ。

帰ったのが25時くらいかな。
たいへんご機嫌な夜なのでした。
ローランド・ハナの演奏がメリハリ効いて想像の数倍良かったのが大きい。

America

212-505-2110/9-13 East 18th st.(bet. Broadway & 5th)

その名も「アメリカ」というレストラン。名の通りアメリカ料理を出す店で、メニューにはアメリカ各地の地名とともにその地の料理が並んでいる。天井が異様に高く、面積も下手な体育館くらいはある。テーブルを回って風船で人形を作る人がいたりマジックをする人がいたりして大変楽しい雰囲気。子供連れやアメリカっぽさを感じたい人にはいいかもしれない。ひと皿の量が多いので注意。味は全然だが雰囲気が独特なので二つ星。

Kin Khao

212-966-3939/171 Spring st.(bet.Thompson & West B'way)

ソーホーにある流行っているタイ料理。標準以上のうまさだと思う。だがちょっとおとなしい味だ。前菜系やトム・ヤム・クンはかなりうまい。でもメインの料理群は普通、かな。何が足りないのかなぁ。焦点がちょっとぼけた味なのだ。

8/11(月)

朝9時起床。キタノホテルの地下の「なだ万」で和定食を食べる。日本そのままの味に仕上げているのはさすがだが(他の和食屋でこうは行かない)、24ドルは高すぎる。まぁチップ込みの値段だから許すけど。

ソーホーのオフィスにタクシーで行って打ち合わせ。
昼御飯にENGIN(日本人)と岩本さんと宮嶋さんとチャイナタウンのヌードル屋に行く。エンジンいわく「ニューヨークで一番美味しいチャイニーズ・ヌードル」なのだ。チャイニーズ・ヌードル、つまりはラーメンなのだが、かなり日本のラーメンとは印象を異にする。
うまい。
うまいし安い。4〜6ドルくらいで一杯。
この味があれば和食を食べなくても生きていけるような、そんな味。はじめてなのに懐かしい味だ。エンジン、ここはなかなかだよ!

タクシーに乗って仕事場へ。
長々と打ち合わせ。でも進展があってうれしかった。 4時間くらいかかった長い打ち合わせのあとまた別の打ち合わせ。今度は3時間くらいかかり、疲れ切った。

夜飯は20時くらいにやっと。ロバート・デ・ニーロの3軒目の店「レイラ」へ。「トライベッカ・グリル」「NOBU」に続いて出したモロッコ料理の店である。前菜からメイン、デザートに至るまで発見がそれぞれにあり楽しかったしうまかった。満足。途中に魅惑的な女性が1人出てきて客席を回りつつベリーダンスを踊った。どこかで見たことあるなぁ、と思ったら2年前のニューヨーク出張の時、ダンスクラブでベリーダンスショーをやっていたのと同じ女性。まだ一線でがんばっているんだね。
レイラで飲んだ「CAYMUS」というカリフォルニア・ワインがうまかったなぁ。75ドルしたんだけど横にいたワイン超初心者が「え〜!ワインってこんなに美味しいものだったんですねぇ!」と叫んでいたのが印象的。そんな初心者に飲ますのはちょっともったいない気もしたけど。


22時半からのライブを聴くために、アッパーウエストのイリディアムに行く。
伝説の「レス・ポール」ライブ。
ほら、レス・ポール型エレキギターとかあるじゃない。あの人。もう70歳前くらいのおじいさんなんだけど、本当にいいライブを見せてくれた。もう抜けているのだ。脂っこいものから抜けていてしかも枯れ切っていない。実に素晴らしい人柄と演奏で僕たちを楽しませてくれた。
ハンク・ジョーンズやレイ・ブラウンの老人ぶりを思い出す。こんな老人たちに僕もなりたい。熱望。


25時就寝。
明日からハードである。

Bo Ky Restaurant

212-406-2292/78-80 Bayard Street

ヌードル屋。「ニューヨークで一番美味しいチャイニーズ・ヌードル」と現地在住engin氏談。なるほどうまい。日本のラーメンとは印象を異にするが、要はラーメンなのである。スペシャルビーフやカレーがお勧め。麺はエッグヌードルかカントネーゼでしょう。おなかが減っていれば2杯くらいはひょいと入る懐かしい味。しかもばかやす。

Layla

212-431-0700/211 West Broadway

トライベッカにあるロバート・デ・ニーロ3軒目のレストラン。「トライベッカ・グリル」「NOBU」に続いて出したモロッコ料理である。ハームス、タラモサラタから始まってメインも秀逸。デザートもすごくいい。インテリアもいいし途中で入るベリーダンスもいい。ワインもわりといいのを揃えているし、お勧め。窓から国際貿易センターが見える席がある。なかなかいいよ。

8/12(火)

今日は一日中仕事。朝7時半にホテルを出る。
場所はハーレムの「コットン・クラブ」。125丁目。その昔盛名を馳せたクラブだ。映画もあったよね。コッポラが懐古趣味できっちり撮った佳作でした。
でもこの「コットンクラブ」は50年くらい前に移転したもので、いまではもうそんなにメジャーではない。外から見るとなんだかミニチュアみたいに小さく感じるライブハウスだ。橋のたもとにポツンとあるのがもの悲しげだ。

朝は雨混じりの天気。昨日までの晴天が嘘のようだ。昨日NYに着いた僕の上司は自他ともに認める雨男。サスガ。さすがすぎる。感心しきり。こんな雨男めったにいない。


昼、何人かでハーレムに飯を食いに出る。
エンジン曰く「ニューヨークで一番おいしいジャマイカ料理」。安っぽい店内。紙皿で出てくる料理。だが確かにうまい。これはかなりうまい。癖になる味だ。
が、「ジャマイカ料理自体がうまい」のか「ジャマイカ料理の中でもこのレストランがうまい」のかがわからない。だってジャマイカ料理初体験なんだもん。とにかくバナナが入っているのが「らしい」よね。

店があるのはレノックス通り(別名マルコムX通り)と128丁目の角。有名なアポロシアターがある125丁目は賑やかでほとんど危険はなさそうだし、そこから3ブロック上がったここもわりと安全そうだ。お上りさんみたいな格好をして来なければ撃たれることはないと思う。白人もちらほら見かけるし。
ふらふら散歩したかったが仕事に戻らねばならなくなり断念。ファンキーな店がいっぱいあったのに……惜しかったな。

仕事が終わったのは夜22時半。疲れきる。
そのうえ昼くらいから胃が痛くなった。食べ過ぎか…風邪か…それとも上司が到着したせいか…………どうなんざんしょ。僕にとって胃が痛くなるのは大変珍しい現象だ。いたたたた。

夜飯は現場のケータリングで軽く済まして寝る。ジャズを聞きに行こうかという誘いがあって、乗りかけたが、やっぱり寝ることにしたのだ。胃が痛いし、もし風邪だったらこれから続くきつい毎日に耐えられなくなってしまうからね。あぁ疲れた。疲れ切った。失神。

A&D Restaurant

212-534-5215/360 Lenox Ave.(corner of 128st.)

ハーレムの128丁目にあるジャマイカ料理。比較的ここらへんは安全なので複数で昼に行くなら問題はない、と現地の人。とてもうまい。癖になる味。チキンカレーとオックステール、それに魚を取ったがそれぞれライスと混ぜられていてとってもジャンク。なぜかバナナの蒸したのが入っているのがジャマイカっぽい(でも味はイモの味。なぜ?)。置いてあるジンジャービールはアルコールが入っていない甘いものだが辛い料理によくあった。現地人Engin曰く「NYCで一番おいしいジャマイカン」だそうです。

8/13(水)

疲れ切って10時半までぐっすり。
胃痛は直ったみたいだ。やっぱり疲れが出ただけだったのかな。

今日は17時から簡単な仕事のみ。気が楽だ。

ホテルで朝飯も食べずにだらだらする。メールを打ったり本を読んだり。
お、もう12時!
12時半に荒木さん(男)と待ち合わせているのだった!

荒木さんとは4月に来たときの仕事でお世話になった。
美味しいものが好きでフレンチも好きとのことなので今度来たら美味しいフレンチに行こうね、と約束していたのだ。
店はいま話題の「グラマシー・タバーン」。グラマシー・パークの近くのニューヨーカーに人気のスノッブなフレンチだ。歩いていく。
荒木さんは柔道部みたいな身体にピアスがきらりと光る不思議な雰囲気の人。ニコニコと話は盛り上がり快適な時間を過ごさせてもらった。また来たらつきあってね、荒木さん。

肝心の味の方だが、びっくりはしないが高レベルな料理でスノッブな人々に好かれている理由がわかる。とにかく垢抜けた味つけなのだ。繊細でスマート。


荒木さんと別れて、バーニーズにスーツを取りに行く。
カナダに行く前に直しに出しておいたのが上がってきたのだ。
DKのスーツ。あぁ、そういえばこの色を買ったなぁ、と思い出す。なんだかずいぶん昔に買ったような感じ。

17時ホテル発で仕事。
仕事場に移動する途中、たくさんのローラーブレード集団が通りすぎる。
後で知ったのだが毎週水曜日はローラーブレード・パレードみたいになっているらしい。こうして団体で見るとヘタクソもいっぱいいるなぁ。

22時に終了。みんなでおそい夜御飯を取りに行く。
前々回(96年秋)に行った「ハンバット」を再訪。24時間やっている韓国料理屋でソーロンタン(韓国式おかゆ)中心の品揃え。この店はおいしいしいつでも食べれるから重宝する。でもこの春にいった「カムミオ」の方がおいしいかも。

ジャズにも行かず帰る。なんか出張も長期になると疲れがたまってくる。
本を読んで寝る。真保裕一の「取引」がもう少しで終わる。やっぱり女性の描き方が上手ではないな、この人は。

Gramercy Tavern

212-477-0777/42 E.20th st.(bet. B'way & Park)

スノッブなフレンチ料理。高い天井と広い内部。お洒落なニューヨーカーがたくさん来ている。客を含めた雰囲気がたいへんいいのだ。味はすっごく驚くというのではないが高レベル。おいしい。繊細でセンスある味つけだ。垢抜けない部分がひとつもない。

8/14(木)

朝10時起床。ゆっくり寝る。今日の晩は徹夜だとわかっているから少しでも寝ようとするんだけど、半面、あさってにはもうニューヨークを出なければならないので少しでも街を歩こうという気もあって迷いつつダラダラする。
外は昨日と打って変わって大晴天だ。ホテルの部屋の窓から見るエンパイアが輝きつつ空に突き刺さっている。

まだ優子へのお土産を買っていないのがだんだんプレッシャーになってきている。装身具がいいと彼女は言うが、選ぶのに苦心さんたん。女性のものはわからん、というのが本音だなあ。比較的選びやすい時計にしようかなとも思うんだけど、前回も時計を買ったからなぁ……ソーホーをもう一度探索してこよう。

10時半頃、真田さん(大学の先輩)に電話してお昼を一緒にしてもらうことにする。今回はこれでお別れになりそうだ。
食べたのは「レスピナーゼ」。NYで一番売れているレストランガイド「ZAGAT」で28点と、トップを行くレストランの一つだ。昼のプリフィクスが44ドル。これで前菜、メインが魚と肉、アバンデセール、デザート、コーヒー。量も十分。これはお得かもしれない。日本円にして5000円。味は濃厚でフランス本場を感じさせる塩の使い方。クラシックであるがアジアのエッセンスも取り入れているようだ。わりと軽め&洗練された潮流には乗っていない。この味ならランチで十分だな。夜だとくどいかもしれない。

14時までゆっくり食べて真田さんと別れる。今度はいつNYで会えることか。
17時には仕事に出発なのでタクシーでソーホーへ。優子のお土産探し&ボクのシャツ探し&ちょっとした美術品探し。
ぐるぐる当てどもなく歩き回る。が、収穫なし。暑さに参ってしまった。

お盆休みに入ったせいか、本格的に日本人が多くなってきた。どこもかしこも、だ。そういう僕もそのうちの一人だけど。日本人どうし目が合うと親のカタキみたいににらみ合う。お互いの中に日本人であることのコンプレックスが見えてしまうからだろうか。
コンプレックスを克服して溶け込んでいる人は日本人を特別視しない。僕も後者でありたいが……背筋の丸まった買物袋いっぱい下げた女の子を見たりするとちょっと目がきつくなる。彼女らの醜さの中に自分を見るからだ。たぶん。

歩き回っているうちに疲れたので一度ホテルに帰って横になる。
今晩は長丁場だからなぁ。


17時にホテル発。
ハドソンリバー沿いの桟橋から「マンハッタン・クルーズ」に出るのだ。マンハッタンの夜景をバックに仕事。21時くらいにならないと本格的に日が暮れないので、必然的に21時から。山ほどやらなければいけないことが残っているので、まぁ徹夜覚悟なのでした。

客船はプリンセス号。
メール友達の天野さん(女性)がたまたまNYに旅行できているというのでここで待ち合わせて初対面。彼女、今日NYに着いたばかり。

「どうする? 徹夜っぽいけど見学する?」
「いやぁ…やっぱり体力に自信ないのでホテルに帰りますぅ」
と最初は言っていたんだけど、通るスタッフ通るスタッフ皆、
「あ、はじめまして! え?佐藤さんのメール友達? へぇ〜。え?帰るの? いたらぁ。夜景きれいだよ。夜景!」
などと言うものだから結局
「じゃぁやっぱり見ます。お邪魔じゃないですかぁ」
となってしまった。
船上での仕事だから一度乗ってしまうと終わるまで降りれないのですよね。
可哀想に、結局仕事が終わったのが朝の6時。
12時間飛行機乗って、降りたと思ったらまた10時間船に乗って………天野さんには災難だったのでした。

僕もいい加減疲れ切って船を降りた。
夜景はものすごくきれいだったけどなんか現実感なくて。

ふらふらになりながらホテルに帰った。味噌汁が飲みたいなぁ、と「なだ万」の朝定食を覗いたらあと30分で開店時間。う〜ん。こんなに眠い状態であと30分も待てない、と判断してとりあえず寝ることにする。
自信はないけど9時頃に起きて「なだ万」に来てみようと変な決心をしたのでした。だって味噌汁がどうしても飲みたかったんだもん。

Lespinasse

212-339-6719/St. Regis Hotel, 2 E. 55th st.(bet. 28th & 29th)

ニューヨークのレストランガイド「ZAGAT」でも常にトップクラスにいるフレンチレストラン。アジア系の味付けとして知られるが、そういう店が多くなった今、特に「エイジアン・フレンチ」と思わせる物はない。昼に行った。定食で44ドル。これで前菜、メインが魚と肉、アバンデセール、デザート、コーヒーまで。お得。しっかりした濃厚な味つけだから昼で充分かと思う。夜だとくどいかも。

8/15(金)

寝たのが朝の7時。
起きたのは9時半………。

味噌汁に取りつかれたかのように、目が覚めた。味噌汁の前に睡眠欲は見事に打ち負けたのである。

徹夜明けの2時間半睡眠はちょっと辛かったけど、明日は帰国である。もう少しニューヨークを感じてから帰りたいという気持ちも強かったな。
そして優子へのお土産を買わないと困るから早めに街に出たかった。そんなこんなで勇猛果敢に街歩きに出かけたのでした。

今日もニューヨークは暑い。暑い。暑い。
75丁目のマディスン街沿いにあるホイットニー美術館は11時オープン(金曜日)。スポンサーを送ったその足で出かける。動機は「キース・ヘリング回顧展」だ。今さらキース・ヘリングでもないのだが、振り返ってみると系統だってきちんと彼を見たことなかったのでこれを機会にざっと彼の人生を感じたかったわけ。
結果? うん、大変よく出来た展示だった。彼の幼年期のコレクション、ノートのいたずら書きから、初期の地下鉄ドローイング、ドキュメンタリービデオ、そして数多い作品群、いろいろなアーチストとの交友録など実に魅力的でかつわかりやすく人生が俎上に載せられていた。

キース・ヘリングはメッセージ性の強いアーチストとして知られている。
が、こうして彼の膨大な作品群を年代順に見てくると、メッセージを込めたのはたまたま結果的にであって、彼は単に「書き捨てたかった」のではないか、と思えてくる。メッセージを込めてみたら世間受けが良かったからだんだんメッセージが強めに出てきただけで、本質は、どこか黒田征太郎さんに似ているのだ。そう、彼も単なる「KAKIBAKA」なのだ。いや、敬意を込めて言っているのですよ。本当に。

キース・ヘリングの他に「アメリカン・リアリティ展」というこれまたよく出来た展示、そしてフランク・ロイド・ライトの特集もあり、実に充実した夏のホイットニー美術館なのでした。堪能しきったなぁ。


75丁目からマディスン街をゆっくり下がる。
いわゆるアッパーイーストの高級ブティック街だ。
「Jacadi」や「Gap kids」を冷やかしたあげく「GUESS KIDS」で娘の響子の服を買う。そして途中ふらっと入った「NINE WEST」で優子にバッグを買った。バックパックにもショルダーバッグにもなるもので、安かったし(100ドル程度)わりと可愛いと感じたのでスッと買ってしまったが優子は気に入ってくれるだろうか……。買ってしまってから随分悩んだが、1万円ちょいのカバンならハズレてもあきらめが付くよね。

さりげなく優子のお土産が決まっちゃったのでいきなり肩の荷が下りる。もっと苦しむと思っていたのだ。よし。あとは自分用に少々、ということでそこら中のブティックに入るがなかなか気に入るのがない。結局困ったときのブルーミングデールズ百貨店。ここでシャツとネクタイを数セット買った。あ、Kenneth Coleの靴が25%引きで出ていたのでそれも購入。

そのままマディスン街を下がる。
40丁目当たりだったか、帽子屋さんに入った。HAT専門店。CAPは置いていない。
前からHATに凝るのも面白いな、と思っていたのでいろいろ試着してみるが、う〜ん、残念ながら似合わない気がする。店員と散々話し合った(旅も2週間を過ぎるとかなり英語に耳が慣れて話せるようになってくる。日本に帰ったらすぐ忘れちゃうんだけどね)あげく買わなかった。

ホテルに帰ってシャワーを浴びる。
徹夜明けの疲れた身体で40ブロックものウインドウ・ショッピングはきつかった。歳を考えなさい、歳を!

16時に待ち合わせて、NYで一番うまいと言われるステーキを食べにブルックリンまで出かける。
なにしろ人気で予約が取れないので16時半なんて異様な時間にディナーを食べるはめになったのだった。
店の名は「Peter Lugar」。
ホームページに何通も「NYに行くならここでレッドミートを食べなくちゃ」とメールをもらっていた店。これまでも何回もリザベーションの電話を入れたのだが取れなかったのだ。そうかここまで時間をずらせば取れたんだな。

さてそこまで期待させたステーキ屋の味は如何に。
いやいや、誠においしかったのです。いままでの人生で食べたステーキの中でもトップクラスの美味しさでした。NYに行くなら是非! 注文はレア、ね。レアでもかなり焼いちゃう当りがNYぽいのです。

食べ終わってから5番街に帰って打ち合わせ。
3時間ほど仕事をしてホテルへ。
ホテルのバーでちょっと飲んでから寝ることにする。なんと日本人のジャズトリオが生演奏をしていたが、残念ながら聴けたものではなかった。あれでもきっと「おれってNYのライブハウスでラッパ吹いてんだ」ってナンパでもしてるんだろうなぁ。でも、ちょっと、ね。

胸の奥にきなくさいような、そんな光化学スモッグみたいな感触がする。疲れすぎだ。徹夜明けなのに調子に乗りすぎ。でもさ、だってさ、明日はもうお別れだもんね、ニューヨーク。

Peter Luger Steak House

718-387-7400/178 Broadway(Brooklyn)

ニューヨークで一番、いや、世界でもトップクラスのステーキ屋である。ステーキはどちらかと言ったら嫌いであるがこれにはびっくりした。レベルがひとつ違う。肉自体の香り・味が全然違う。これなら毎週食べたいと思わせる味。注意点は「レアを頼むこと」。これだけは守ってください。カードはきかないしタクシーに断られるような立地なのだがここは必訪なのでした。

8/16(土)

もし自分が芸術家だったらどこに住むか、なんて途方もないことをたまに考える。

やっぱりニューヨークなのだ。
チューダー風インテリアの正統フレンチを食べた後に乗ったタクシーでジャマイカンを大音量で聞かされ、降りた街角の韓国人経営のデリでインド人がベーグル焼いており、大道音楽家がエレキを鳴らし………なんていう「異化」が日常的にある街なんて他にどこにもない。

あらゆる常識にしばられることなく、まったくフリーになれる街だ。

いまからその正反対の国、日本に帰る。
単一民族による一つの常識に固まった国。もちろん破綻はいろいろあるのだが、大きく見てやっぱり狭い価値観の国だと思う。
いやだなぁ〜、日本に帰るの。
またあのシステムに組み込まれるかと思うと。

でもシステムに組み込まれることの快適さは重々承知している。



朝8時起床。
とっととパッキングを済ませて朝食へ。高いと承知しつつ「なだ万」の朝定食。24ドル。 体調を戻すためにもバランスよく食べなければ!

10時45分にホテル前に集合、空港へ出発の予定だ。
それまで散歩することにする。
この17日間で一番暑い。東京、大阪の熱暑に勝るとも劣らない暑さ。湿度も高い。
ブラブラと5番街に出てそぞろ歩く。

仕事も終わって実に気楽な気分のはずなのだが、なんとも気が沈むのはなぜだろう。日本に帰ってシステムに組み込まれることの憂鬱ばかりではない。そんなことではない。たぶん(自分の気持ちにたぶんはおかしいけど)、こうやってニューヨークに別れを告げるように、そのうちいつか、この楽しい人生とも別れを告げないといけないんだ、という実感が突き刺す日光のようにジリジリと心を焼くのであろう。
ある「街」との別れは人生との別れになんともよく似ている。急にそんな感慨に襲われながら、僕はニューヨークを後にしたのでした。




P.S.

帰りのJALでは佐藤藍子が一緒でした。
顔が小さくて目と耳が大きい、微妙なバランスでそれらが見事にかわいく昇華されています。可愛い。確かに可愛い。でも「いい女」度では行きに一緒だった鶴田真由の方が上でした。

映画は3本見ました。「ザ・エージェント」「素晴らしき日」「シャイン」。
デイビッド・ヘルフゴッドを描いた「シャイン」にはかなり期待したけど、いまひとつでした。「素晴らしき日」はマンハッタンが舞台だったからかなり楽しめた。

成田に着いた。
京成ライナーに乗るといきなり日常が頼みのしないのにあちらからやってきた。
成田エキスプレスの数倍は日常を感じさせるね、京成ライナー。

感慨も何もかも吹っ飛んでしまったよ。



さて、日常を生きよう!

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