トップ > おもしろ本 > 著者別一覧 > > ロバート・ゴダード >

ロバート・ゴダード

LV3「永遠に去りぬ」

ロバート・ゴダード著/伏見威蕃訳/創元推理文庫/1120円

永遠(とわ)に去りぬ
amazon
ゴダードの第8作目。2001年2月に出た邦訳である。
誰でも認める稀代の語り部は今回も健在。600ページ超の長さを読者を飽きさせず二転三転させ、破綻なく結末まで織り上げ導く手腕は相変わらずである。
ただ、詩的趣味というか言葉を華麗にしすぎる趣味はデビュー当時より強まっており、訳者はその感じを出そうとしているのだろう、小難しい漢字や言い回しを多用している。効果は発揮しているが多用しすぎかもしれない。ボクはちょっとうんざりした(ゴダードの訳者たちはどうしてこう凝るんだろう。原文の雰囲気を出そうとしているのはわかるが…)。

今回の作品もまた、主人公がある偶然の出会いによって事件に巻き込まれていくものなのだが、他の作品に比べてちょっと主人公が巻き込まれる感じが無理矢理。最後まで主人公にカタルシスを感じなかったのも難。
また、前半がまだるっこしいし(静かな伏線としてはゴダード調ではあるのだが、ちょっと長すぎる)、ラスト近くの登場人物たちの行動も疑問。長編の収束点が人間の詩的な一言に集約されていたりするあたり、ひとつ間違えると自己満足でしかないギリギリの線を行っている。二転三転するストーリー自体はさすがなものだったが、結果的にはまぁゴダードにしてはもうひとつかな。

2001年08月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「一瞬の光のなかで」

ロバート・ゴダード著/加地美知子訳/扶桑社/2300円

一瞬の光のなかで
amazon
読み応え、という言葉があるけど、ゴダードの一連はまさにそれ。
久しぶりに読むゴダードだけど(読みはじめるとドップリ作品世界に浸っちゃうので忙しいときなど手を出すのに勇気がいるのだ)、二段組470ページを急かせず飽きさせずジンワリジワジワ味わわせてくれる筆力はさすがなものだ。そう、飽きさせない本はいくらでもあるけど「急かせない本」は意外と少ない。謎また謎ではあるのだけど、先を急ぎたくないストーリー展開。うーん、これってやっぱり細部の描き込みかなぁ。どこまでもじっくりつきあいたくなる本である。

男が恋に落ちたあと理不尽に放り出されて、そのあと真相に向かってさまよい歩いているうちに謎が謎を呼び、過去と現在が交差し、そして思いもかけぬ結末へと収束していく…、というゴダード小説のある典型をこの小説も持っている。いろんなエピソードがこれでもかと織り込まれ、それが無理なくオチに向かう様相は見事のひと言。写真を題材とした本作は、「千尋の闇」などの過去の大傑作群に比べればちょっと落ちる気がするものの、ゴダード・ファンには十分楽しめるもの。でもゴダード初読の方は「千尋の闇」あたりから入った方がいいかもしれない。

2001年06月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「蒼穹のかなたへ」

ロバート・ゴダード著/加地美知子訳/文春文庫/上下各571円

蒼穹のかなたへ〈上〉
amazon
この頃ゴダードばっかり読んでいるような気がする。
その中でもこれは出色だ。相変わらずちょっとドジな男主人公のシーク&ファインドな物語だが、今回はより読後の余韻が長い。そして衝撃的なラストシーン……これぞゴダードだよなぁ、と嘆息させられる内容だ。名作「千尋の闇」に迫っている。

いつもに比べて歴史的要素も少ないし、陰謀の首謀者も途中で読めてくる作りなのだが、ラストのインパクトが強くとても印象的な小説となった。オススメ。ちなみにこの主人公は最新作でまた活躍するとか。ゴダードお気に入りの主人公らしい。楽しみ。

1997年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「リオノーラの肖像」

ロバート・ゴダード著/加地美知子訳/文春文庫/686円

リオノーラの肖像
amazon
イギリスのメージャー元首相の「一番好きな小説」らしい。
多分に反戦記述の部分を意識しての発言だと思うが、やっぱり、やっぱりそれでもゴダードはデビュー作「千尋の闇」に尽きる、と思う。ただこれも間違いなく三ツ星級なのである。二転三転するストーリー、ラストにかけての畳み込みの見事さは彼ならではだし、キャラクターの独特の存在感にも感服する。本作で惜しいのは読後の余韻が少々足りないところで、人生に対する自己憐憫的快感をもっと味合わせて欲しいと個人的には思うのである。まぁこれも傑作「千尋の闇」と比べてであるが。

それにしても全作に共通するのは主人公(男。女はなぜか利口に書いてある)の間抜けさ。わざと間抜けに描いて展開を二重三重にしようとしているのだが、こう間抜けだとちょっと唖然とするところがある。

1997年09月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「さよならは言わないで」

ロバート・ゴダード著/奥村章子訳/扶桑社ミステリー/上下各583円

さよならは言わないで
amazon
デビュー作にして偉大な名作「千尋の闇」には到底かなわないのであるが、これはこれでやっぱり三ツ星級なのである。
騙りの連続で読者をどんどん煙に巻く手法はこの本ではちょっとうすいが、相変わらずの人間絵巻。充分楽しませてくれるのだ。ただ、主人公を始めとする登場人物たちが腑に落ちない行動をたびたびするのが残念。思い入れを邪魔されるところがある。

最後に注意!
裏表紙に書かれた粗筋を読んではいけない。絶対に。ほとんど筋が書いてある。扶桑社にクレームを付けたいくらい。どういうつもりなのだろう。必ずブックカバーを書店で付けてもらうこと。

1997年08月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「千尋の闇」

ロバート・ゴダード著/幸田敦子訳/創元推理文庫/各730円

千尋の闇〈上〉
amazon
素晴しい。傑作だ。小説の魅力を満喫できる。映画ではこうはいかない。
一読巻置くあたわず。寝不足になること受け合い。騙りにあふれたストーリーテリングの妙。キャラクターの見事な立ち上がり方。ストーリーテリングだけに終わらない美しい叙情性。哲学。トレヴェニアンを読んだときのような圧倒的な諦観に包まれる。この本は著者の処女作だが他の著作も急いで読みたい。

敢えて言えば、邦題に納得がいかないかも。原題は「Past Caring」。この作品にこの邦題でいいのだろうか。
これについては文庫版の訳者あとがきで説明がされているがいまひとつ納得がいかない部分がある。しかも千尋を「ちいろ」と読ませるという狙いもどうなのだろう? 個人的には少し小難しくしすぎな気がした。

1997年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

ページの先頭に戻る

メニュー

Follow satonao310 on Twitter @satonao310

satonao [at] satonao.com
スパム対策を強化しているので、メールが戻ってきちゃう場合があります。その場合は、satonao310 [at] gmail.com へ。

ページの先頭に戻る

Google Sitemaps用XML自動生成ツール