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LV5「シカゴよりこわい町」

リチャード・ペック著/斎藤倫子訳/東京創元社/1900円

シカゴよりこわい町
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ちょっと童話的な美しい小編。
子供のころを回想するカタチで書かれた小説で、シカゴから遠く離れたおばあちゃんの家に夏休みに行った数年間の思い出を書いているだけの物語なのだが、そのおばあちゃんのキャラクターが尋常でなく立っているので、非常に面白くなっている。

原題は「A Long Way From Chicago」。
邦題に「こわい」という言葉を入れたのは、子供達にはかなり怖ろしいおばあちゃんだからであろう(結果的にこの邦題はいまひとつであると思うが)。愛想は悪いし、平気で大嘘つくし、盗みはするし、銃はぶっぱなすし…。ただ、彼女の中の正義・尊厳は揺るぎなく、読み続けるに従ってその一貫性が快感に変わってくる。今度は何をしでかしてくれるのだろうと、どんどんページが進むのである。なのに、200ページ弱の薄い本なので(その割に1900円もするが)、すぐ読み終わってしまう。もっとずっと読んでいたかった。

エピローグが美しい。思わず涙がこぼれる。
第二次世界大戦に向かう軍隊輸送列車がおばあちゃんの横を通り過ぎる場面がアメリカの古き良き時代の終焉を象徴し、主人公のイノセンスの終焉も同時に表しているようだ。

2002年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV2「他言は無用」

リチャード・ハル著/越前敏弥訳/創元推理文庫/600円

他言は無用
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いわゆる英国紳士の社交場ともなっている「クラブ」。そこで起こった連続殺人事件を扱った推理小説であるが、1935年に書かれた古い作品であることもあり、今読むとちょっとイライラするくらいなのんびりさが漂っている。英国特有のシニカルな笑いと演出を余裕を持って楽しめ、その古さを味として面白がれる人でないとつらいかもしれない。
ただ、そのころのクラブの実際や、個性的でいかにもいそうな登場人物、英国的ゆったり感はそれなりに楽しめるし、現代英国でももしかしたら絶滅せず生き残っている種族の生態をかいま見られるという部分ではなかなか興味深い。つまりは英国好きならそれなりよ、というところか(ボクも英国好きなので読んだ)。

著者は技巧派推理作家として知られていたらしい。当時としては確かに技巧を凝らしてあったかもしれない。現代推理ものに比べて品はあるしのんびりさ加減も尋常じゃないし解決法も紳士的なので、ホッとする部分はあるのだが。

2002年02月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV3「それがぼくには楽しかったから」

リーナス・トーバルズ+デイビッド・ダイヤモンド著/風見潤訳/中島洋監修/小学館プロダクション/1800円

それがぼくには楽しかったから
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LINUX(リナックス)の生みの親、リーナス・トーバルズの自伝。
共著のデイビッド・ダイヤモンドと章ごとに交代して主観と客観を上手に使って織り上げた構成。まだ31才の男の自伝、しかも(皮肉な意味ではなくて)得意の絶頂にいる男の自伝なわけで、なんというか嫌味な部分もあるんだけど、この著者、やっぱり根が「オープンソース」なのだろう、自分を「たいしたことがない単なる素材」と扱って「どうとでもこの素材にパッチを当ててよ」って感じが(そのままでないにしろ)随所に感じられる。最初の1/3はちょっと嫌味な部分もあったが、だんだんその感じが読者側にじわじわ伝わってきて、最後にはなんとなくファンになってしまう。そんな感じだ。

オープンソースの演説な場面は(個人的には勉強になったが)ちょいと冗長。ま、世界11ヵ国語に翻訳されるらしいし、話題のスーパースターだから大ベストセラーは間違いないだろう。注目されるスターの自伝としては、うまく凌いだ、という印象。Mac派には辛い言葉も出てくるが、読後思わず「LINUXを導入してみたい」気持ちになったことも白状しておきます。

2001年07月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 実用・ホビー , IT・ネット

LV3「…の反対は?」

リチャード・ウィルバー著/長田弘訳/みすず書房/1600円

…の反対は?
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非常に信頼している詩人・長田弘がみすず書房で「長田弘が選んだ7冊」というシリーズを始めた。数ある海外の絵本の中から彼が厳選した7冊、ということらしい。今月はその第一回配本。「・・・の反対は?」と「白バラはどこに」の二冊。こりゃ買わねばなるまい。

まず一冊目。
この本は大人向けであろう。かなり高度な「反対語」の世界が繰り広げられており、頭の固くなった大人がじっくりと味わいつつ読むべき本である。冒頭からして「くたばっちまえの反対は?----スープ!」ってな具合。まぁちょっと海外の習慣とかに寄る部分もあって違和感ある反対語もあるのだが、この著者のくわだてに乗って寝転がっていろんなものの反対語を考えてみると様々な発見がありおもしろいのだ。ある意味「哲学的な」絵本。これを7冊のうちの1冊目に持ってくるあたりに長田弘の攻めの姿勢が見える。ちなみに5歳の娘に読み聞かせたらチンプンカンプンだった。

2000年10月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:絵本

LV4「上院議員」

リチャード・バウカー著/高田恵子訳/創元推理文庫/上650円下580円

上院議員〈上〉
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1996年発売のミステリー。

ずっと前から買っておいてあったものをやっと読んだ。面白い。アメリカの政治や選挙の実際、有名人としての生活、上院議員という人生、そしてそれを取り巻く家族やスタッフ、ライバルや敵の思惑など、とてもよく描けていて読者を見事に引きずり込む。主人公の動きにいくぶん不可解なところがあるし、ミステリとしての仕掛けに凝りすぎて人物描写の足を引っ張ったところがあるのが残念だが、単なるミステリで終わらない人生のコクがなんとも気持ちよい。

ミステリーとして作りすぎないで、ある種「文学」として同じ筋を書いた方が逆に面白かったかもしれない。ミステリーにしようとしすぎているのがこの本の欠点なのかも。

1998年12月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

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