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柳美里

LV0「響くものと流れるもの」

福田和也、柳美里著/PHP研究所/1400円

響くものと流れるもの
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副題「小説と批評の対話」。
批評家福田和也と純文学者柳美里の対談。どちらの激しさもそれなりに認識していたボクなので、このふたりの対談というだけで即買い。激しい言い合いと深い理解と豊かな結論がそこにあるのでは、と期待した。

結果的には、なんか「お隣同士の主婦が高級レストランでお互いを妙に褒め合っている図」みたいな印象。
彼らがもともとその文学的見地から大喧嘩していたという事実から、編集者はこのふたりの和合対談自体を「事件」としているようであるが、そんなことあずかり知らぬ読者にはその辺の劇的さが伝わらず、妙な内輪受けしか感じない。そう、事情がいまひとつ読めてこないのがまず不親切。昔の大喧嘩コラムは再録されてはいるのだが、その辺の消化具合は本対談では触れられず、いったい何を目的に何をふたりで解き明かしたいのかボンヤリしたまま最後まで行ってしまう。

いったい何が響くもので何が流れるものなのか、福田が怒り柳が猛った昔の感情はどう解決されたのか、読みが足りないのかもしれないが、ボクにはボンヤリとしか見えてこない。当代一流のふたりの対談にしてはそこそこの面白さしかない残念な作品。

2002年08月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 評論

LV4「ゴールド・ラッシュ」

柳美里著/新潮社/1700円

ゴールドラッシュ
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14歳の少年の殺人、という酒鬼薔薇事件を彷彿とさせるような題材を、真摯に誠実に驚異的な集中力で書き上げた長編。

ある時期の村上龍のような行間の濃さを感じる。壮絶なる想像力のたまものだ。そう、別の意味でも、壮絶。主人公のキレ具合にすらカタルシスを感じるような筆力でラストまで緊張感を途切らすことなく引っ張っていっている様が壮絶なのだ。著者が髪を振り乱しながら書いている様が目に浮かぶような感じ。わかる? 
そういう意味では生理的に受け付けない人もいるかもしれない。ボクは受け付けたのだが、でも14歳の主人公への著者の寄り添い方が濃厚すぎて、逆に読者を冷めさせるところがあるのが残念かもしれない。14歳の心情を理解しよう、書ききろう、と涙ぐましく努力した痕跡が見えてしまう感じがちょっと…。「14歳」をアンファン・テリブル的に描くようなミスは犯していないが、やっぱりある種のイノセントさを押しつけている気はする。

筆力には敬意を表したい。行間から壮絶さが抜けたらまたひとレベル上の文学になると思う。はい、生意気です。すいません。

1999年12月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV4「フルハウス」

柳美里著/文藝春秋/1200円

フルハウス
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作者の「暗い」エッセイは読みなれていた。だから作者初の小説も暗いのだろうな、暗く書くのって楽だし…と思っていたらそうでもない。感情を抑えた筆致でしっかり書かれており熟練を感じさせる。

表題作は読み進むほどに文章から不協和音が立ち上ってくる様が見事。全然見えてこない父親のキャラクター描写など「失敗作」とぎりぎりの危ない線をあえて渡っていくあたり流石だ。でもストーリーにちょっと無理があるかも。もっと普通のストーリーの中で「不協和音」を響かせてほしかった。あまりに無理やり過ぎる展開だと思った。

1996年08月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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