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山本夏彦

LV4「最後の波の音」

山本夏彦著/文藝春秋/1600円

最後の波の音
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しつこくイジワルに(でも目は笑って)世の中とは人間とはをボクたちに教えてくれていた昭和のおじいさん、山本夏彦が2002年10月23日に87歳で死去した。著者の本は近年のものは結局ほとんど読んでいるのかな。これはその最終作。癌と闘いながらの執筆であった。

近年の作品をだいたい読んでいるヒトには「はいはい、そのお話もすでに伺いました」 が多い本。
それはここ数年の出版作には常につきまとっていたお約束みたいなものなので特に不満はない。それを承知で買っているし、しつこいジジイというスタンスを楽しんでもいたから。と、思っていたら巻末にそういうしつこさは「寄せては返す波の音と思え」とあった。そうか……でも、しつこく寄せる波の音は、もう二度と聞こえない。こんなに淋しいことはめったにない。淋しさのあまり彼が通ったという銀座の「Jolly」に行って酒を何度か飲んだ。でも波の音は聞こえない。

最後に、著者から学んだことの最大は「ふまじめ」ということだとボクは思っている。誤解を恐れず、自分の中だけでのまとめを言えば、著者の言説はこのひと言に集約されるとさえ思う。これからも精一杯ふまじめに生きようと思います、先生。

2003年04月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 評論

LV1「完本 文語文」

山本夏彦著/文藝春秋/1524円

完本 文語文
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夏彦節は気持ちいいが、くどい。彼の読者なら「またこの話題かよ」というネタが山ほどここには出てくる。それを楽しむ度量を持っているつもりではあるが、ネタを広げることによって論点がずれていくのはどうにも心地が悪いものだ。

文語文という格好の主題をもって書かれたこの本をボクはかなりの期待を持って読んだ。実際、文語文の美しさやリズムをこれによって見直された。音読を前提とする文語文の美しさが失われたことは、日本の精神構造自体にもかなりの影響を与えたであろう。その辺りを(ネタをへらへら広げずに)著者はもっともっと突っ込んで書いて欲しい。ちゃんと労作にしてほしい。これでは単なる「老人の感想文」である。

ま、あとがきに「例によって調べて書くことは学者諸君にまかせて」とあるように実感的感想文であることは著者も承知の上だし、文語についていろんなところに書いたエッセイを寄せ集めたものだから求心力を失うのも仕方がない。が、文語についていま読者を共感させつつきっちり書ける数少ない書き手なのだから、(寄せ集めではない)きっちり腰を据えた読み物にしてもらいたかった。いろいろ勉強になる部分は多かったが、ちょっと中途半端に感じた一冊。

2000年06月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV5「誰か『戦前』を知らないか」

山本夏彦著/文春新書/690円

誰か「戦前」を知らないか―夏彦迷惑問答
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副題が「夏彦迷惑問答」。

雑誌「室内」の連載をまとめたもの。
20代女性の聞き手と著者が会話するというカタチで進行するが、聞き手がなかなか上手で著者の味を見事に引き出している。この会話形態は著者の成功パターンのひとつであろう。一人称ぼやきエッセイより格段にリズムが出るし、なにより読者が置いてきぼりをくわずにすむ。注意して避けてもくどい説教になってしまう時がある題材なだけに、特に若い読者(この著者の場合50歳以下すべてか)にとっていいと思う。時になかなか笑えるし(著者が意識しているほどではないのだが)。

内容的には「戦前真っ暗史観」を実に明快に切り崩していて気分がよい。
戦前戦中共に飢えてはいなかった。これも明快。その他、忘れ去られつつあるいろんな物事を釣瓶落としに語ってみせる術は驚異的なものだ。資料としてもある意味一級。この著者がなくなるともう昭和ですら「時代劇」になってしまうのだろうな、とちょっと薄ら寒くなる。

1999年12月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 時事・政治・国際 , 評論

LV1「社交界たいがい」

山本夏彦著/文藝春秋/1429円

「社交界」たいがい
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山本夏彦が「文藝春秋」や「諸君!」に掲載した文章を集めたもの。

週刊新潮の名物連載「写真コラム」と同じネタがものすごく多いのだが、文字数を削りに削りまくった新潮連載の方がずぅっと面白い。長く書くとつまらない。なぜだ? やっぱり老人(失礼!)のお説教のたぐいは簡潔な方がいいからだろうか。長いと妙にダラダラするのである。

ボクは山本夏彦が大好きで常々応援しているが、なんというか、この本はもうひとつでしょう。あ、「山田正吾」を知ったのは良かったな。うん、良かった。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV5「死ぬの大好き」

山本夏彦著/新潮社/1400円

死ぬの大好き
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山口瞳の「男性自身」亡き後、週刊新潮の良心と言ってもいい長寿コラム「山本夏彦の写真コラム」の何回目かの単行本化。

まぁ長いこと愛読しているコラムで(週刊新潮はコレを読むために買うことが多い)、わざわざ単行本を買わなくても大体内容は知っているのだが、こうしてまとめて読むとまたいろいろ目をこするところがあって、精神を平明・公平・明鏡に保つだめにはやっぱりたまには山本夏彦をまとめ読みする必要がある、と実感するのである。

山本夏彦とか曾野綾子とかは、ボクのような定見のないものにとっては薬である。定期的に服用したほうがいい。もちろんすべて効くとばかりは言えないのだが、自分の視点を持つきっかけを作ってくれるのだ。

1999年03月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV1「昭和恋々」

山本夏彦・久世光彦著/清流出版/1600円

昭和恋々―あのころ、こんな暮らしがあった
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この超絶共著でこの評価、というのは、期待をかなり裏切った、ということです(期待しすぎ?)。

書き手抜群。昭和という故郷を失った我々が、昭和を恋々と懐かしむ際の語り部として彼らはまず最良の人選。題材も抜群。いまこそ「昭和」を語るべき。写真もなかなか良し。あー、ボクたち(S30年代以前生まれ)の小さい頃はこうだったよなーとの感慨…。

だのに、なんでこんなに面白くなかったんだろう。
古い記憶自慢大会みたいになったからかなぁ、「懐かしのメロディ」的番組を見ているような行き場のなさを感じてしまった。「懐メロ」としては良く出来ている。この本の役割も価値もわかる。だが、このふたりの書き手を擁しておいて「懐メロ」に終わらせるのはもったいなさすぎるのだ。「老人のマスターベーション」に終わらせるには、書き手も題材も良すぎるのだ。惜しい。

1999年02月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 写真集・イラスト集

LV5「室内40年」

山本夏彦著/文藝春秋/1472円

『室内』40年
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大変面白い。
著者が「室内」というインテリア雑誌を主宰していることを知らない人がいるかもしれない。その雑誌の40年を語ったインタビュー構成の本だが、著者の「確信犯的脱線」により戦後40年の日本が見事に浮かび上がってくる。昭和時代の語り部として著者は最高の役者なのである。
豊富なボキャブラリーと正確な記憶、平明な視点、批評の立脚点の確かさ。良く出来た芝居を読んでいるような気になってくる。聞き手の女性の素直なつっこみも面白く、ニコニコ読めて勉強にもなる。だいたいが説教口調の著者だが今回はすっとぼけた味が勝っている。

1997年06月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

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