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LV4「DIVE!!」

森絵都著/角川文庫/上580円下580円

DIVE!!〈上〉
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「飛び込み」という全く縁がなかったスポーツの実際を教えてくれる青春小説。
「一瞬の風になれ」で陸上に親近感を持ったように(そういえば佐藤多佳子はこの文庫の解説を書いていて、こんな本が書きたい、と言っている。その後「一瞬…」が生まれたわけね)、この本以降、ボクは飛び込みという競技をかなり注目して見るだろうな。世界が広がった。それだけでも読んだ価値があったと思う。

もちろんこの本の魅力はそれだけではない。
知己、飛沫、要一という3人の少年の気持ちによりそうように丁寧に描かれていて、思春期小説としても秀逸である。3人の視点、そして最終章では脇役たちによる客観視点、と、視点をぐりぐり変化させる手法もよい。いろんな青春を体験できるお得感もあり、楽しい。いろんなタイプの読者の共感を引きつける構成とわかりやすいエンタテインメント感がいい意味でテレビっぽい印象だった。

逆にそこがこの本の弱いところでもある。テレビドラマっぽすぎる。それぞれのエピソードがステロタイプぽすぎる部分があり、ボクみたいなスレっからし読者にとっては物足りない。もう少し突っ込みようも深めようもあると思うのだ。惜しいなぁ。

でも、ハッキリ言ってボクはターゲットじゃないので仕方がない(笑)。基本的に児童&若者がターゲットだろう。彼らに読みやすく理解しやすい展開にわざとしていると思う。若者に対する強い応援歌にもなっている。その辺、さすがだなぁ、と思う。若者はもちろん、ちょっと昔の熱い気持ちを思い出したい人や飛び込みを知りたいという人、サッと読めるスポーツ小説で時間を潰したい人などに最適。

2007年03月01日(木) 9:20:32・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , 児童・ティーンズ , スポーツ

LV4「いつかパラソルの下で」

森絵都著/角川書店/1400円

いつかパラソルの下で
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児童小説の第一人者である著者のターニングポイントになったと言われる長編。もちろん児童用ではない。

病的なまでに厳格な父と、その影響を理由にひねくれて(?)生きている兄姉妹。父の突然の死をきっかけにバラバラになった家族が集いだし、ひょんなことから父の人生を探しに佐渡へ渡る…。
わかりやすい設定と典型的な「SEEK & FIND」展開に強い既視感がある。あぁこう展開してこうなるんだろうなぁと途中で読める感じ。ただ、細部の表現や会話が上手なのと、絶妙な脇役の存在、主人公のイマっぽいのほほんさなどがそれを救い、結果としてとてもいい佳品となっている。わりと好ましかった。

ラストの方で主題みたいなことをわかりやすく言い過ぎなのが難かな。あと、一番最後の「手紙」はちょっと蛇足かも。これだけわかりやすい「SEEK & FIND」なら、あまり説明はしなくても読者はわかる気がする。

2007年02月21日(水) 23:28:55・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV4「食わず嫌いのためのバレエ入門」

守山実花著/光文社新書/740円

食わず嫌いのためのバレエ入門
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「バレエに連れてって!」と同じ著者による新書。あの内容がより手軽に、という感じ。
「バレエに連れてって!」を持っているヒトは「なんだ同じ内容じゃん」と思うかもしれないが、こっちの方がより古舘伊知郎チックになっており、なにやらテンション高めミーハー度爆発なのである。
構成は「なぜあなたは食わず嫌いになったのか」の処方箋から始まり、「まずは作品について知ろう」と作品概観があり、劇場デビューの詳細、いま旬のダンサーや振付家たちの紹介、世界の劇場紹介、と続く。それらがミーハー度高く読みやすく書いてある。この著者は、バレエは楽しければいいのだとりあえず観に行こう、という姿勢で一貫されていて気持ちがいい。かなり具体的な実用ガイドになっているので、少し興味がある人などいいかもしれない。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV5「バレエに連れてって!」

守山実花著/青弓社/1600円

バレエに連れてって!―簡単楽々入門書
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ロシア個人旅行では8泊のうちバレエを6舞台観る予定なので(追記;結局8泊8舞台観た←バカ)、予習は欠かせない。
というか、バレエについては初心者に近いボクが、いきなり本場でボリショイバレエを観まくるのだ。吸収できるものはすべて吸収したいと願うのも無理はない、よね? ということで、今月はバレエ本を6冊も読んでいる。

その中で初心者のボクにとって一番タメになり面白かったのがこの本。つまり、これからバレエを観たいと思っているアナタにもこの本はトップクラスに有効と言っても過言ではない。
この本のいいところはバレエを「有り難い高級芸術」の域から引きずり降ろして、いかに楽しいものか、という観点からすべてを描いているところ。ある種、仏像を中世のロックスターに見立てたみうらじゅんの「見仏記」と近いテイスト。そしてホイチョイの「見栄講座」も少し入っている。とにかく読者を騙してでもバレエを見せたい!見せちゃえば勝ち!みたいな精神で書かれている感じ。いいぞいいぞ。こういう本が読みたかったのだ。

そんでもって、バレエなんてそれでいいのだ、とボクも思う。あそこのパがどうのとかアラベスクがどうのとかほとんど関係ない。ただ心を開いて素直に楽しめばバレエはこんなに面白い、でいいと思う。それを再確認させてくれる本である。

2003年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV5「不肖の息子」

森下賢一著/白水社/1900円

不肖の息子―歴史に名を馳せた父たちの困惑
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副題が「歴史に名を馳せた父たちの困惑」。
偉大な父と、そういう父を持ってしまった息子(たいていがしょーもない)の人生を集め、ざっと鳥瞰した構成だ。

「ジョー・ケネディとその息子エドワード」「エジソンと息子トーマス・ジュニア、ウィリアム」「カポネと息子ソニー」「ヘミングウェイと息子グレゴリー」「ロックフェラーと息子ネルソン」……。
著者は淡々と必要最低限の事実を並べて父と息子の人生を追うのだが、それが実にいいリズムとペーソスを生んでいる。いろいろ突っ込みたくなる出来事満載なのだが、中途半端に突っ込まない態度がこの本をいいものにしている。すごすぎる父を持った息子の人生、というとなんか特殊な例のようだが、これだけまとめてそういう例を読んでいくと、人の生のある普遍が見えてくるのもおもしろい。

2002年07月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 自伝・評伝

LV3「墜ちていく僕たち」

森博嗣著/集英社/1575円

墜ちていく僕たち
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森博嗣は、これから少しずつジワジワと全部読んでいくかもしれないな、と思っている作家のひとりだ。これは新作だが、いつもの感じと少し趣が違う。ま、橋本治風文体から始まるからそう感じるだけなのかもしれないけど、ちょっと実験的な匂いのする短編集である。

ラーメンを食べたらいきなり性転換してしまう、という荒唐無稽な短編5つなのだが、それぞれの主人公の立場と文体が変わるので、わりと快調に読む進む。描写も主観表現もうまい。遊びな部分も気がきいている。で、ラストの短編で、、、うーむ。このラストの仕掛けがもっともっと面白ければかなりいい本に仕上がるのだが、肩すかしが中途半端で、どうにも乗り切れないままに終わってしまうのが残念。もっと知性的頭脳的にドンッと落としてほしかったな。

しかし……このラストにしたいがために、4編引きずったのだろうか。ま、小説すばるへの連載なので、全体俯瞰のオチではなさそうだが、そうでないにしてもそう見えてしまうあたりが難。悪ふざけを楽しんでもいいけど、1575円払って受ける悪ふざけとしては、もう気持ち凝ってほしかった感じ。

2001年10月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー , ファンタジー

LV5「女王の百年密室」

森博嗣著/幻冬舎/1900円

女王の百年密室
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「すべてがFになる」で好印象の著者の新作。
その頭の良さと斬新さには注目していたので、ちょっとウキウキ読み始めたのだ。結果としてはとても面白かった。でも、なんつうか、現代のゲイツやジャガーと結びつかれると(う、ネタばれか?)ちょっと白けてしまう。そこがボクにとっては惜しい部分。そういう「お遊び」はいらなかったと思うなぁ。でも妙に印象に残る一編だ。変なところもありつつ、ゆっくり再読してみたい気持ちにもなる感じ。

近い未来のリアリティをここまで表現しきったのは賞賛に値する。
なんというか、技術に対するニックネームの付け方や主人公にとっての「未来の常識」の読者への説明のし加減がとっても上手。どのポイントを表現すれば未来が妙にリアルになってくるか、というあたりのセンスが素晴らしいのである。SF作家も見習ってもらいたい鮮やかさ。この世界観だけでも読む価値はある。

2000年09月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV3「パソコンが奪った漢字を取り戻せ!」

守誠著/サンリオ/1000円

パソコンが奪った漢字を取り戻せ!―漢字練習ノート
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企画の勝利。つうか、待ってたな、こういう本。副題は「漢字練習ノート」。そのまんま。つまりパソコンユーザーが忘れてしまいがちな漢字をセレクトして、書きこんで練習もできる形態にしあげている。うん。いいいい。他にもあるのかもしれないけど、ボクは初めて出会った。

とにかく、会社でも家でもキーボード中心になってしまったボク。だって文字書くのの数倍早いんだもの。だからたまに文字を書くと、その「漢字を忘れている度合いの激しさ」に愕然とするのである。漢字は得意中の得意だったのに、いまや読めるけど書けない漢字がいかに多いことか! パソコンは確実に漢字力を奪うのである。

この本の優れているところは、ただの漢字練習帳ではなくて、「パソコンの画面から正しいものを選びだす漢字力」とか「ちょっと考えてしまう小学生漢字」とか「よく間違えるオフィスの中で使う漢字」とかいう、その切り口の素晴らしさと、選んである漢字の程の良さ、だろう。ほんの数時間、この本に向かうだけで、急に自信が取り戻せる。いざという時恥を書かないためにあなたもこの本を漢字練習で汚してみない?

2000年09月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , 雑学・その他

LV2「ぼくの哲学日記」

森本哲郎著/集英社/1575円

ぼくの哲学日記
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ボクにとって森本哲郎は青春である。って、変な青春ではあるが、著者の「ことばへの旅」「ゆたかさへの旅」「生きがいへの旅」などの一連の著作は中学生だったボクの生きる指針だったりしたのだった。これぞ熟読!って感じでしたね。再読もしつこく重ねたし。特に「ことばへの旅」シリーズで出てくることば達はボクの中で熟成発酵して、いまのボクを形作っていると言っても過言ではない。

その著者の最新作。
相変わらずの森本哲郎節は衰えず、たいへん懐かしく読んだ。でもさ「相変わらずすぎる」感はある。70歳を越えて著者はどう変わっていったのか、が読みたい。万年哲学青年っぽい感じは嫌いではないが(はっきり言って好ましいが)、昔熟読した人間にとっては「えー、またそれー!」って感じなのだ。仕方ないし、それも「芸風」ではあるのだけれど。

1999年10月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「すべてがFになる」

森博嗣著/講談社文庫/714円

すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER
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実によく出来たミステリー。
出だしはなんだか絵空事っぽくてうまく馴染めなかったが、中盤から一気に目が離せなくなる。

簡単に言うとコンピューター系ミステリーなのだが、これが面白いのだ。ショッキングな仕掛けと魅力的な人物造形、謎解き。いままで著者の本は読んだことがなかったが、これから続々文庫化されるそうなのでじっくり読み続けてみようと思う。
ただ、主人公のひとりである女子学生の造形だけはちょっと下手かも。そこが惜しい。なんとなくその下手さ加減が真保裕一の初期を思い出させる。こういう女性キャラって、実際書くのが難しいとは思うんだけど、他のキャラ造形が見事なだけにマジ惜しい。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV4「味覚の探求」

森枝卓士著/河出書房新社/1700円

味覚の探究
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4年前の出版物だが、初読。

著者の本はいままでに何冊か読んでいるが、これが一番読んでいて楽しく面白かった。
食に関するルポルタージュで、旨いの基準を探ったり、食べる仕事の本音を語ったり、美味しいとはなにかをさぐったり、とても興味深い掘り下げが随所にある。労作だと思う。こういう本を書くのは大変だろうなぁと素直に感じる。著者が素直に語っているからだろう、内容的にいろんな本音がかいま見られて、共感するところも多かったし、へーと驚くことも多かった。
あぁ、なんだか小学生の感想文みたいになってしまった。いや、なんだかちょっと他人と思えなくて。なんとなくですけど。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV2「アジア菜食紀行」

森枝卓士著/講談社現代新書/640円

アジア菜食紀行
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インド、中国、ベトナム、タイ、そして日本…。文字通りアジアを菜食という切り口で旅して調べた労作。

紹介ば多くちょっと総花的なところはあるが全体としてわかりやすい。世界でも異色の菜食文化が育ったアジアがゆっくり立ち上がってくる。ただ、ちょっと文章が生真面目すぎるのが難かな。著者の驚きが伝わってこないのだ。

ジャイナ教の厳格なる菜食主義はタマネギなど、根の植物も「食べることによって植物を殺すから」食べない、というのは知らなかった。この、殺さずに「分けてもらう」という思想から見た菜食と自身の健康目的だけの菜食との隔たりは大きい。

1999年03月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 ,

LV0「サリンジャー」

森川展男著/中公新書/700円

サリンジャー―伝説の半生、謎の隠遁生活
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副題「伝説の半生、謎の隠遁生活」。

高校時代にあれほどのサリンジャー中毒にかかっていなければきっといまのような本好きにはなっていなかったと思うくらいボクはサリンジャーに影響を受けていて、研究書もかなりの数を読んでいるんだけど、そういうボクからしたらこれは「既成評論の単なる焼き直し」であり「新しい発見もなにもない推測本」であり、そのうえ各作品に対する解釈も納得できないものが多いという、なんとも困ったなの一冊だった。ちょっと厳しいけど。
隠遁生活の謎についてはこの本の最後のほうにちらっと著者の所見が述べられているのだが、その「ちらっ」のためにここまで内容を水増しすることはないだろうと思う。全体にちょっと困った。

1998年04月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 評論

LV1「チョコレートを1.2トン食べました」

森部一雄著/ネスコ/1500円

チョコレートを1.2トン食べました
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今年度題名大賞ノミネート作品だな。題名に惹かれて思わず買ってしまった。でもボクなら「チョコレート1.2トン食べました」と「を」を抜くな、どうでもいいけど。

チョコをいままでに1.2トンは食べた69歳のチョコ好きおじさんの半生記なのだが、この人チョコ以外にもいろいろやっていてなかなか興味深い。が、文章が作文レベルなのでちょっと辛い。きっちりした編集者がついてじっくり書いて行ったら倍は面白くなっただろうに。惜しいなぁ。ま、でもなかなか楽しみました。

1997年04月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 食・酒

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