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向井敏

LV4「残る本 残る人」

向井敏著/新潮社/1900円

残る本 残る人
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書評の第一人者である著者による、ここ10年の選り抜き書評99編。
うまく書けた書評を選り抜いたわけではなく、「歳月による淘汰をしのいで生き残るだけの器量をもった本」を選んだとのこと。そういう本は「多少の難点や短所はどうでもよくなって、その擁する力をこそ広く知ってもらいたいという気持ちが頭をもたげてくる」らしいのだ。
うん、わかる。ボクのようなヘナチョコ書評子でも、年間ベストなどで振り返る時、「細かく見るとイマイチだけどやっぱり印象に残っている」という本が必ず2~3冊あったりする。多少の難点より全体の力、とでもいうのか、残さざるを得ない本ってあるよね。そういう本を稀代の読み手が選んだ、というだけで、ほら、なんとなく読んでみたいでしょ。

既読本は半分くらいあったろうか。その書評を読むに、まず引用がうまい。的確な場所を的確な長さで引用し、その本の空気を伝えてくれる。
そして各著者の過去の本の部分引用や比較が徹底している。この本一冊書評するために過去のを全部読み返したの?と疑いすらする。まさにプロのワザだ。ちなみにボクは、著者の作品歴をかえりみて書評する手法はあまり好きではないのだけど、でも、完成されたワザとしては認める。認めざるをえない。

書評欄の充実ではダントツトップを走る毎日新聞(一編2000字!)での健筆、これからも期待したい。

2001年05月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

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