柳家小三治 独演会

2010年4月 2日(金) 8:41:51

おととい、柳家小三治の独演会に行ってきた。@赤坂区民ホール

いま一番面白いと言われる落語家のひとり。というか、古典落語の最高峰とすら言われている人。『ま・く・ら』 『もひとつ ま・く・ら』 『バ・イ・ク』 という「彼のまくら(ネタに入る前の小咄)のみを集めた速記集」のベストセラーを持つくらい、いわゆる「まくら」(ネタに入る前の小咄)が上手なヒトで、たまに「まくら」のみを演って本編を演らないことすらあるという。ボクはこの3冊はずいぶん前に読んだし、彼の落語の素晴らしさはずっと噂に聞いていたが、実際に高座を見たのはおとといが初めてだった。

実際、彼の高座は超プラチナチケットだ。友人が譲ってくれたのだが、本当にうれしかった(ありがとう!)。赤坂区民ホールというのは初めて行ったが、こぢんまりして高低差もあり、とても見やすいホール。

まず前座で柳亭燕路が「たらちね」をやった。
このヒトも初めて聴いたが、とっても達者。顔もいいけど声もいい。面白かった。調べたら柳亭燕路(えんじ)とは落語の名跡だというし、もちろん真打ち。やっぱり小三治クラスの前座ともなると真打ちが前座をやるんだなぁ。

で、小三治。
演ったのは「猫の皿」と「品川心中」の二席。

期待の「まくら」は、刀の話から嵐寛寿郎が好きだという話(アラカン。鞍馬天狗で有名)、鞍馬天狗から自分の紋(天狗の葉扇)を決めたという話、紋付きを古着屋で買ったエピソード、ご贔屓さんに高い紋付きを買ってもらった話、そのご贔屓さんの店がつぶれてしまいその紋付きを自腹で引き取らないといけない羽目になった話、それを値切る話、そこから道具屋の値付けがいかにいい加減かと話を引っ張っていき、道具屋が主人公の「猫の皿」という噺へ自然に入っていった。

いや、さすがにうまい。本編より面白いくらいだというのは本当だった(本編も実に笑えたけど)。
ただ、やっぱり「まくら」を長くやりすぎて(笑)、二席目の「品川心中」は身投げして助かったところでバッサリ切って時間切れオシマイとなった。区民ホールは20時55分までに終わらないといけないお役所仕事、と、これも「まくら」で笑いにしていた。終わりの時間を気にしたのか、二席目は多少キレが悪かったかな。

彼の芸風は、面白くもなさそうに面白いことを言うことだそうだ。確かに素っ気ないし、つまんなそうに素朴に演る。ほんの少ししか表情を動かさないので、客はその細かい表情の動きを追って「わっ」と笑う。そんな感じ。いや、さすがだ。面白い。彼の弟子の柳家三三は何度か聴いてとても好きだが(これとかこれとか)、三三も同じような芸風だよね。派手派手しい立川流を見ることが多いが、こういう素っ気ない芸風もかなり好きかもしれない。

あー楽しかった。今年は落語をもっと聴きたい。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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