唐津にて「鮨処つく田」

2010年2月18日(木) 8:55:52

福岡に来ている。例のカンファレンスのオーラス日。

昨日は夕方に福岡に着き、少し打ち合わせをこなした後、電車に乗って唐津にひとりで向かった。約10年ぶりに「つく田」へ行きたかったからである。

「つく田」は唐津焼の作家さんの窯にお邪魔したときに「いまはあの鮨屋がいいよ」と教えてもらった店。あれは1996年のことだからもう14年前になる。そのうまさに唸り、ご主人から「きよ田の新津武昭さんの弟子」ということを聞き、失礼ながら「唐津のこんなところにこんな店が!」と驚いてサイトに書いた。まだ雑誌でもネットでもまるで紹介されてなかった頃のことである。そして10年ほど前にリピートもした(わざわざ行った)。いまでは人気店で東京からも毎日のように客が来る店となった(昨日も東京からのひとり客が他にいた)。電話したら一席だけ空いていたのでニコニコと。

博多から筑肥線。コトコト走るローカル線で約1時間半ほどの旅路である。途中、筑前深江駅で15分くらい電車を待ち合わせた。
「鉄ちゃん」ではないのだが、こういう時間が好き。誰もいないローカルな小さな駅でぽつねんとベンチに座りながら街の灯を見る。温泉より何より疲れが取れる(わざわざそれをしに行くのではなく、たまたまそうなった状況じゃないと効果がないのだけど)。

ひっそりした唐津の街をわざと遠回りして歩いて(知らない街の小道を歩くのが好きなので)、「つく田」へ。3回目の訪問になる。
抜群にうまい刺身群と料理群。特に印象に残っているのは「クジラのうね酢」「ブリ味噌」「鵡川のオスししゃもの小さいのの炙り」。ゴマサバやミル貝のヒモの炙りもうまかった。
握りはどれもこれもバランスよいもの。ヒラメとスミイカが鮮烈。酒は北雪のみ。ひとりだったのでカンカンと飲んだ。全体に伝統の江戸前的に塩がきついので、お酒がよく進む。

ご主人とは新津さんの話やキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」の話で盛り上がった。新津さんの握りを数年前に西麻布の「青木」で食べた話をしたらえらく喜んでくれた。「新津親方に一歩でも近づきたい。その想いで日々握っている」「親方のようなすっきりした鮨が目標」とのことである。店名もやっぱり「きよ田」を意識したようで、ひらがら二文字に「田」をつけたとのこと。唐津でも江戸前でやろうと決め(1990年代中盤だと、それはとても勇気がいることで、周りの理解がまるでなかったころである)、「佃」というお江戸の地名をもらおうと考えたらしいのだけど、中里隆さんや嵐山幸三郎さんに「つくだ、と濁らない方がいい」と言われ「つくた」と発音するようにしたとか。

唐津22時発最終電車で博多へ帰った。
美味しくて楽しい時間。人生ってこういうことでいいよなって思う。満ち足りて夢の中へ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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