また鳩山首相とご飯することになった

2009年11月29日(日) 14:44:59

また鳩山首相とご飯することになった。今晩これからご一緒する。

前回、鳩山さんと会食したとき、「これからもネットのこととかブログのこととかツイッターのこととか定期的に教えてください」と言われていたので、その一環だと思う。

もう5年以上友人として親しくつきあっている松井孝治官房副長官(同年代)には、会食以降、求められるままにいろいろ意見を言わせてもらってきた。政策のあれこれについてではなく、「政治と国民とのコミュニケーションのあり方」についての意見である。コミュニケーション・デザインはボクの専門分野であり、ネットについても1995年から長く個人サイトをやってきているので(ブログ形態としては2001年から毎日更新)、政府広報のあり方や首相のネット利用についてはいろいろ意見がある。その辺のことを「友人として」率直に伝えてきた。

で、それが間接的に鳩山さんに伝わり、「じゃぁまたご飯でも食べながら」となったようである。

貴重な機会だから、ブログやユーチューブやツイッターなどの「ソーシャル・メディア」の普及による「to People から with Peopleへ」の変化(平たく言うとトップダウンからボトムアップへの変化)をくわしく説明し、ネットによって可能になることをしっかり訴えたいと思う。

ネットによって可能になることと言っても、別にネット選挙のこととかネット選挙活動解禁のことではない(それらも関連してくるのだが、今回の主題はそれではない)。

ネットには、フラットでオープンであるという以外に、人と人との物理的距離をなくし、生身の人間の体温を直接相手に伝えることができるという特性がある。
これらの特性をポジティブに活用することで、たとえば「政治と国民の距離を近づける」「政治家はモンスターではなく、切れば血が出る普通の人間であることを国民に伝える」「政治家の本音や考えを(マスコミのフィルターを通さずに)国民に直接届ける」「従来不透明だった政治過程を限りなく透明にする」などのことが可能になる。このことについて、専門家の視点から、そしていちブロガーの視点から、ご説明したいと思う。

ソーシャル・メディアを有効に活用することで、いままで遠かった政治家と国民の距離が近くなり、届きにくかった国民の気持ちが政治家に直接伝わり、わかりにくかった政治家の想いや活動が等身大で国民に伝わる可能性が広がりはじめる。

このことによって、「国民の政治不信」「政治への無気力感」「政治家へのそこはかとない嫌悪」「魑魅魍魎が跋扈していそうな永田町イメージ」なども、少しずつ改善されてくるのではないかとボクは思っている。というか、いままで政治家の存在が遠すぎた。それを近づけることは悪いことでは決してない。


ここ1年、政治家数人と飲む機会が何度かあった。
少なくとも「若手」と言われている政治家たちは、普通の感性を持った謙虚で真摯な人たちであった。違いは他の人より「志」を強く持っているというところだけ。特に民主党の人たちはずっと野党だったこともあり、利権や既得権益に(まだ)まみれていない。一緒に飲みに行くのも毎回安い居酒屋である(別にマスコミが取材に来るわけではないから庶民派パフォーマンスではない)。そんな彼らの生身の姿がネットの活用で国民から見えやすくなることは(その政策の良し悪しは別にして)国民の政治家イメージを劇的に変えると思うし、政治不信の払拭なども含めて、一国の政治のありようを根本的に変える可能性を広げると思う。

その先頭を首相自ら走ってもらいたい、というのが今回の「伝えたいこと」かな。

首相には緊急にやらないといけない案件が他にもたくさんあるのはもちろん知っている。
が、この「変革」もそのうちのひとつであるとボクは思う。政治と国民の距離を縮めることによって変わることはたくさんある。「国家予算の査定をすべて国民に公開するというのは世界初で、ほとんど革命的な出来事(by 池田信夫blog)」と言われる「事業仕分け」と同じくらい意味あることであると(コミュ二ケーション分野を専門とする)ボクは思う。


ボクは政治信条的に民主党寄りというわけではない。かといって自民党寄りでもない。無理矢理言うなら「世の中が少しでもよくなるならなんでもいい党」。小泉改革も支持したし(あのままちゃんと継承・実行できていれば…)、今回の鳩山変革も支持している。両者への期待として共通しているのは「昭和の政治には一定の評価はするが、いろいろな意味でこれからはもう通用しない。だから改革・変革が必要であり、それを支持する」ということ。

もちろんなんでも変革すればいいというものではないが、世界的な大きな変化のうねりの中、官僚主導に象徴されるような「昭和のやり方」を営々と続けるだけでは対応できないのは自明のこと。古くて優れたものもたくさんあるが、壊して新しくしないと成り立たない分野も多い。コミュニケーション分野はその最たるものだ。拙著「明日の広告」でも書いたが、ここ10年の生活者のコミュニケーションの変化は激烈なものがある。それに対応するお手伝いが出来るのであれば、民主・自民関係なく、フラットに協力してみたいと思っている。

ちなみに、広告会社社員であるボクが首相と会ったりするとわけわからない邪推(しかも自信たっぷり)をする人たちが必ず出てくるのでしつこく言うが、会社の仕事絡みではない。個人として、友人(松井さん)とのつきあいの延長線上にたまたま首相がいただけの話。民主党が政権を取って松井さんが官房副長官にならなかったら、首相に会えるなんてことは絶対おこらなかった。
というか、広告会社の仕事としてであれば、「日本という組織のトップ」である首相と打ち合わせするなんてことはありえませんから。広報担当者と打ち合わせるのがせいぜいである。その辺、常識的に考えていただきたいと思う。


ということで、とりあえず行ってきます(早めに着いて話すことの予習をする!)。
今回の同席者は平田オリザさん(と、もちろん松井さん)。オリザさんは劇作家であるが、阪大でコミュニケーション・デザインを教えており、政治と国民のコミュニケーションについてよく松井さんと3人で話している仲である。

上記のようなことをいろいろ具体的に提言してこようとは思ってるけど、とはいえ政治の世界、提言がそのまま受け入れられるわけはないだろうし、いろんな事情や障壁もあると思う。変わるとしても少しずつかもしれない。でも焦りは禁物。少しずつ。今日よりマシな明日になればよろし。

ちなみに今回はわりと真面目な会になるので、「ツイッター実況」する余裕はないと思う。会食の始まりと終わりにはつぶやくかもしれないけど。
ただ、前回のツイッター実況時にいただいた膨大な返信(@やRT)はプリントアウトして首相に渡すし(その場で読んでいただく予定)、みなさんからいただいた意見もいろいろ伝えるつもり。

ではちょいと行ってきます。
ええと、デニムでは失礼かな。でもまぁ前回もデニムだったからまぁいいか。休日だし。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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