ふと気がつくと、昨日と同じような一日を送っている。
昨日と同じように会社に通い、昨日と同じようにテレビを見、昨日と同じようにビールをグビる。
生活のためとはいえ、そんな毎日を送って老いぼれてくのはゴメン、だよね?

同じ顔した毎日に、ほんの小さな無理ない刺激。

機械的な毎日に人生を牛耳られないために。「オサニチ」。連載中。

 


第2回「小学校ぶりに『科学と学習』してみる」(2002年3月)


誰でも、とは言わない。
でも、昭和30年代40年代50年代に小学生だったほとんどの人が一度ははまった雑誌、それが学研の月刊誌『科学』と『学習』ではないだろうか。
特に『科学』。毎回ついてくる付録の多彩さ、圧倒的クオリティ、次の号が出るまでの待ち遠しさ、学校から帰って家に届いていたときのあの胸が詰まるような喜び……あんなに発売を楽しみにしていた雑誌は他に思い当たらない。

『科学』の付録は子供を子供扱いしていない匂いがあった。
試験管やフラスコ、プラスティックを使った高級そうな部品の数々。回りに高級そうな物がなかった貧しい昭和中期の子供たちにはまさに夢の付録だった。各学年、付録が違った。当然のように、高学年用の方が付録が高度だった。近くの高学年の家で宝物のように見せてもらった高学年用の付録の数々。早く高学年になりたかった。先輩は先輩で低学年用の「アリ飼育セット」(巣穴が横から見えるようになっているヤツ)をうらやましがった。

いろんな付録を覚えている。「顕微鏡実験セット」「コイルで作るラジオ」「リトマス試験紙」「チョウ飼育セット」「簡易カメラ」「豆腐造りセット」「エレキギター」「潜水艦」「太陽を見るためのレンズ」……試験管セットについていた試薬を使うのがもったいなくて、ずっと取っておき、母親に間違って捨てられてしまったときの涙の味も覚えている。

学研の『科学』を読んで科学者を志した人は(潜在的に)多いと思う。日本が「ものづくり」で世界のトップを走ったのも、『科学』の付録のワクワク感の影響がとても大きい気がする。実際に開発者・研究者になった人も多いかもしれない。
でも、何かが違う。 日々のルーティンワークに子供の頃の夢の匂いがしない。
そりゃそうだ、それが生活というものだ。ただ、あの頃の気持ちを思い出すことで少し気分が変わるかもしれない。あの頃のワクワク感が蘇るかもしれない……。


もうとっくにご存じの方も多いだろうが、学研は大人向けに『科学』をリニューアルした『大人の科学』()というシリーズを出している。
2001年に発売され、ボクは予約までして購入した。隠れたブームになっているらしいが、敢えてご紹介しよう。

 ●大人の科学シリーズ1・・・エジソン式コップ蓄音機
 ●大人の科学シリーズ2・・・マルコーニ式電磁波カー
 ●大人の科学シリーズ3・・・ボルタ式&備長炭電池実験キット
 ●大人の科学シリーズ4・・・地球環境分析キット
 ●大人の科学シリーズ5・・・プログラム・ロボットデジロボ01
 ●大人の科学シリーズ6・・・磁界探知式 鉱石ラジオ

ひと言でいえば、「科学の付録の大人版」である。部品を組み立てて行くうちに構造が理解でき目からウロコが何枚も剥がれる高度なキット。2900円〜5500円とちょっと高いが、バーや居酒屋で金を使うよりも、オサニチ効果は高いのである。

シリーズの中でボクが最も気に入っているのはエジソン式コップ蓄音機。
なにしろ市販の透明ビニールコップに「音を録音」でき、「再生も出来る」のだ。ビックリである。
酒を飲みながら「エジソンは流石だなー」と組み立てる。
科学に憧れた幼き日々を思い出す。日常の垢がペラペラ剥がれていく。


 おさまりがちな日常と、生活のために曇った好奇心を、ちょっとだけ変えてくれる『大人の科学』。書店で注文すればすぐ手に入る。ちょっといじってみたくない?



※)『大人の科学』ホームページ (メイキングのコーナーも面白い!)
  http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/index.html




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