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「ロング・グッドバイ」

amazon20数年ぶりにチャンドラーを再読した。しかも村上春樹の新訳。ノーベル文学賞に一番近い日本人作家と言われる彼がこうして様々な海外文学を翻訳して出版してくれる幸せをまずは感謝したい。日本人はとても恵まれている。
清水俊二訳の「長いお別れ」(実は抄訳だったらしい)を読んだのは高校の時だったか。わかったふりをしていたが実はよくわかっていなかったと思う。今回熟読してみてこの本が名作と言われる理由がすんなりわかった。やっぱある程度の年齢は必要なんだなぁ。歳とることも悪くない。
というか、何人もの人が指摘しているが、村上春樹の「羊をめぐる冒険」って「ロング・グッドバイ」へのオマージュだったんだと初めてわかった。ストーリーだけでなく、登場人物の似通い方が尋常ではない。訳者あとがきでも彼は影響を認めているが、わざわざ自ら訳してそこを明かしてくるのか、と、この作品への愛の深さに打たれたくらいである。そう、それと「ロング・グッドバイ」と「グレート・ギャツビー」は同じ話であったことも初めてわかった。ちょうど村上春樹訳の「グレート・ギャツビー」を読もうとしているところなので、実に刺激的。この素晴らしい三作の連関性をゆっくり掘り下げて遊ぶだけで1年くらいは暇つぶしが出来そうなくらい。
ちなみに、素晴らしい訳だとは思ったが、会話の部分で違和感があったところも多かった。特に「でしたました調」のところ。会話のリズムが壊れ、キャラまで壊れている気がする。どうなんだろう。
2007年05月05日(土) 18:07:48・リンク用URL
「文体練習」

amazon文学は文体がすべてだと思う。
でもたかが「1人の男がバスに乗っているのを見た。二時間後その男をまた見かけた」という10行ほどの内容を99通り(正確には102通り)の文体に書き分けられるとただ呆然とするしかない。つまり同じ内容でも無限に書き方があるわけで、これは作家にある種の安心と極度の反省を促すのではないだろうか。味覚視覚などの五感シリーズや罵倒体、下手糞体や語中音消失体、付録の反動老人なんか面白かったなぁ。
著者は「地下鉄のザジ」の作者だが、なによりも訳者が偉い。偉すぎる!また、いろんなフォント、カラー、デザインに対応した出版社(編集者)も偉い。偉すぎる!
1997年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)




