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森博嗣
「墜ちていく僕たち」

amazon森博嗣は、これから少しずつジワジワと全部読んでいくかもしれないな、と思っている作家のひとりだ。これは新作だが、いつもの感じと少し趣が違う。ま、橋本治風文体から始まるからそう感じるだけなのかもしれないけど、ちょっと実験的な匂いのする短編集である。
ラーメンを食べたらいきなり性転換してしまう、という荒唐無稽な短編5つなのだが、それぞれの主人公の立場と文体が変わるので、わりと快調に読む進む。描写も主観表現もうまい。遊びな部分も気がきいている。で、ラストの短編で、、、うーむ。このラストの仕掛けがもっともっと面白ければかなりいい本に仕上がるのだが、肩すかしが中途半端で、どうにも乗り切れないままに終わってしまうのが残念。もっと知性的頭脳的にドンッと落としてほしかったな。
しかし……このラストにしたいがために、4編引きずったのだろうか。ま、小説すばるへの連載なので、全体俯瞰のオチではなさそうだが、そうでないにしてもそう見えてしまうあたりが難。悪ふざけを楽しんでもいいけど、1575円払って受ける悪ふざけとしては、もう気持ち凝ってほしかった感じ。
2001年10月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
「女王の百年密室」

amazon「すべてがFになる」で好印象の著者の新作。
その頭の良さと斬新さには注目していたので、ちょっとウキウキ読み始めたのだ。結果としてはとても面白かった。でも、なんつうか、現代のゲイツやジャガーと結びつかれると(う、ネタばれか?)ちょっと白けてしまう。そこがボクにとっては惜しい部分。そういう「お遊び」はいらなかったと思うなぁ。でも妙に印象に残る一編だ。変なところもありつつ、ゆっくり再読してみたい気持ちにもなる感じ。
近い未来のリアリティをここまで表現しきったのは賞賛に値する。
なんというか、技術に対するニックネームの付け方や主人公にとっての「未来の常識」の読者への説明のし加減がとっても上手。どのポイントを表現すれば未来が妙にリアルになってくるか、というあたりのセンスが素晴らしいのである。SF作家も見習ってもらいたい鮮やかさ。この世界観だけでも読む価値はある。
2000年09月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「すべてがFになる」

amazon実によく出来たミステリー。
出だしはなんだか絵空事っぽくてうまく馴染めなかったが、中盤から一気に目が離せなくなる。
簡単に言うとコンピューター系ミステリーなのだが、これが面白いのだ。ショッキングな仕掛けと魅力的な人物造形、謎解き。いままで著者の本は読んだことがなかったが、これから続々文庫化されるそうなのでじっくり読み続けてみようと思う。
ただ、主人公のひとりである女子学生の造形だけはちょっと下手かも。そこが惜しい。なんとなくその下手さ加減が真保裕一の初期を思い出させる。こういう女性キャラって、実際書くのが難しいとは思うんだけど、他のキャラ造形が見事なだけにマジ惜しい。
1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー




