トップ > おもしろ本 > 著者別一覧 > も > 森絵都 >
森絵都
「DIVE!!」

amazon「飛び込み」という全く縁がなかったスポーツの実際を教えてくれる青春小説。
「一瞬の風になれ」で陸上に親近感を持ったように(そういえば佐藤多佳子はこの文庫の解説を書いていて、こんな本が書きたい、と言っている。その後「一瞬…」が生まれたわけね)、この本以降、ボクは飛び込みという競技をかなり注目して見るだろうな。世界が広がった。それだけでも読んだ価値があったと思う。
もちろんこの本の魅力はそれだけではない。
知己、飛沫、要一という3人の少年の気持ちによりそうように丁寧に描かれていて、思春期小説としても秀逸である。3人の視点、そして最終章では脇役たちによる客観視点、と、視点をぐりぐり変化させる手法もよい。いろんな青春を体験できるお得感もあり、楽しい。いろんなタイプの読者の共感を引きつける構成とわかりやすいエンタテインメント感がいい意味でテレビっぽい印象だった。
逆にそこがこの本の弱いところでもある。テレビドラマっぽすぎる。それぞれのエピソードがステロタイプぽすぎる部分があり、ボクみたいなスレっからし読者にとっては物足りない。もう少し突っ込みようも深めようもあると思うのだ。惜しいなぁ。
でも、ハッキリ言ってボクはターゲットじゃないので仕方がない(笑)。基本的に児童&若者がターゲットだろう。彼らに読みやすく理解しやすい展開にわざとしていると思う。若者に対する強い応援歌にもなっている。その辺、さすがだなぁ、と思う。若者はもちろん、ちょっと昔の熱い気持ちを思い出したい人や飛び込みを知りたいという人、サッと読めるスポーツ小説で時間を潰したい人などに最適。
2007年03月01日(木) 9:20:32・リンク用URL
「いつかパラソルの下で」

amazon児童小説の第一人者である著者のターニングポイントになったと言われる長編。もちろん児童用ではない。
病的なまでに厳格な父と、その影響を理由にひねくれて(?)生きている兄姉妹。父の突然の死をきっかけにバラバラになった家族が集いだし、ひょんなことから父の人生を探しに佐渡へ渡る…。
わかりやすい設定と典型的な「SEEK & FIND」展開に強い既視感がある。あぁこう展開してこうなるんだろうなぁと途中で読める感じ。ただ、細部の表現や会話が上手なのと、絶妙な脇役の存在、主人公のイマっぽいのほほんさなどがそれを救い、結果としてとてもいい佳品となっている。わりと好ましかった。
ラストの方で主題みたいなことをわかりやすく言い過ぎなのが難かな。あと、一番最後の「手紙」はちょっと蛇足かも。これだけわかりやすい「SEEK & FIND」なら、あまり説明はしなくても読者はわかる気がする。
2007年02月21日(水) 23:28:55・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)




