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馬場康夫

LV5「『エンタメ』の夜明け」

馬場康夫著/講談社/1400円

「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た!
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副題が「ディズニーランドが日本に来た!」。
ホイチョイ・プロダクションズのリーダー馬場康夫の書き下ろし。日本のエンタテインメント・ビジネスを「始めた人」へのオマージュであり、日本のエンタテインメント草創期の記録でもある。

まず文章がいい。事実との距離のとり方が絶妙。客観的で独白的でハードボイルドだ。たぶん(たぶんだけど)森山周一郎の声を意識して書いたんじゃないかな(笑)。彼が読むとびったりハマル感じ。そんな文章である。変に熱いドキュメンタリーにせず、ちょっと上から硬派かつ冷めた目で俯瞰している。これはたぶん著者自身がこの題材に惚れ込んでいるからこそ、なのだろう。いくらでも熱く書けるからこそ、逆にきっちり客観的に距離を置いた感じ。そしてその手法は成功している。

内容は、小谷正一と堀貞一郎という2人のプロデューサーを軸にしたノンフィクション。
ふたりとも広告会社の電通にいて大阪万博、そしてディズニーランドの立ち上げに関わった。その半生と仕事を丹念に追った上で著者はこう言い切っている。「ディズニーランドの出現ほど、日本の行方を変えたできごとはなかった」と。このちょっと鼻白む結論もこの本を読んだあとだとすとんと胃の腑に落ちる。そして一般的には「無名」であるこのふたりが日本にボディーブロー的に与えた影響の大きさに感動するのである。

あえて言えば、盛り上げたあげくのディズニー誘致顛末を多少端折ったのが残念。そこがこの本の骨ではないとはいえ、ちょっとだけはぐらかされた感も残る。また、小谷正一の記述ももう少し読みたい。特に引退前後からの記述が(資料が少ないとはいえ)もう少し欲しいのも事実だ。

ホイチョイでの活躍を含めて、著者は「時代の空気とそれを作っている人々」が本当に好きなんだろうな。時代の観察者として馬場康夫という逸材を持っている我々はとても幸せなんだろうと改めて思う。
これからエンタメを目指す若手は特に必読。現在普通に享受しているエンタメの裏にある歴史を知りたい人もぜひ読んで欲しい本。

2007年04月10日(火) 19:28:11・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 自伝・評伝

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