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中島義道

LV0「愛という試練 マイナスのナルシスの告白」

中島義道著/紀伊国屋書店/1400円

愛という試練
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冒頭を少しだけ引用しよう。
「はじめから告白するが、『ひとを愛する』とはどういうことか、私にはよくわからない。私もいままでの人生で多少の男女を愛してきた(と思う)が、それがいかなる種類の愛に属するのかよくわからない。というより、さらに私は懐疑的であり、私ははたしてひとを愛することができるのか、私が愛だと思ってきたもの、体験してきたものは、じつは愛ではなく愛に似たほかの何かではないのか、という疑いを消すことができない」「これは抽象的な懐疑ではない。自分の中の深いところに巣くっている『自己愛』のおぞましさに悲鳴を上げているからである」

さて、この後、240ページに渡って、えげつないまでの私事の露出と内省と自慢と後悔と分析が続く。
著者がある種独特の哲学者であり、そこが好きで著作をかなり読んでいるボクではあるのだが、こういう「ゲロ」をヒトに見せるのはやっぱりどうかと思う。冒頭の自己分析は大いに共感できる部分もあり、ヒトが「愛」と呼ぶもののほとんどは「自己愛」だとボクも思ってはいるが、そこから深い精神的旅路が始まるのかと期待して買って、ゲロを見せられるのはたまらない。
表現とは、自分の中から出てくる吐瀉物を何かに昇華させて、ヒトが見るに足るものに変える作業をいうのではないのだろうか、などとちょっと思った。偉そうで申し訳ないのだけど。

2003年09月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV3「私の嫌いな10の言葉」

中島義道著/新潮社/1200円

私の嫌いな10の言葉
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池田晶子と中島義道の本は目につけば買うようにしている。この「戦う哲学者」である著者の本はこれで5冊目かな。「孤独について」「うるさい日本の私」などカラミ系の本が印象深い。

この本は彼の嫌いな言葉を10あげて、どこが間違っていてどう嫌いなのか、を詳細に論じた本。
その言葉とは「相手の気持ちを考えろよ!」「ひとりで生きてるんじゃないからな!」「おまえのためを思って言ってるんだぞ!」などなど、人が日常な~んの考えもなく発している偽善かつ欺瞞かつ傲慢な言葉の数々だ。

言葉の選び方と嫌いな理由には、ほぼすべてに深い共感。
ボクも「相手の気持ちになれ」みたいな言葉の欺瞞加減がイヤでイヤでたまらなかったので、深く頷くばかり。ただ、全体に文章が軽くてワイドショーみたいなのが難。言っていることはいいんだけど、話が横道に逸れた途端、いきなり駄文体になってしまうのはナゼ? なんだか言っている筋がよくわからなくなる。急に個人攻撃したり中野翠を激賞したり。簡潔に深く、例示も的確にそれらの言葉を語ってくれたら、ひょっとしたら名著になったかもしれないのに。言いたいことが頭の中に充満しちゃって結局なに言っているかわからなくなる人っているけど、この本、ちょっとそんな感じにもなってしまっているのだ。「うるさい日本の私」以降、本を出せば出すほどそんな感が深くなる著者。うーむ。次作はどうしよう。

2001年01月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV4「孤独について」

中島義道著/文春新書/660円

孤独について―生きるのが困難な人々へ
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副題は「生きるのが困難な人々へ」。

孤独を自分に課せられた重い荷物と取るのではなく、自分が積極的に選び取った大事な時間なのだととらえることによって得られる価値の転換について、著者自身の半生を赤裸々につづりながら説いている。いや「孤独」という言葉よりは「ジコチュー(自己中心主義)」という言葉の方が内容に近いかも。「孤独になる」=「なるべく他人のためにではなく自分のために時間を使うこと」と明記してあるくらいだし。

なにしろ著者は「うるさい日本の私」を書いた難物。一筋縄なる孤独論ではない。
もちろんお説教含みの「生き方指南本」ではないし、わけのわかったような「机上の哲学書」でもない。だから実際に苦しんでいる読者はかなり共感できると思う。今の生活に違和感を感じている人はすべからく読むべし。読んで損はしないと思う。ただし、後半は少々ヒステリック。

1999年01月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV3「うるさい日本の私、それから」

中島義道著/洋泉社/1600円

うるさい日本の私、それから
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97年1月に読んでとても気に入った「うるさい日本の私」の続編。

前著は、著者が無意味で無神経な「騒音」に戦いを挑んだ戦記であり、幼稚国家日本についての社会学的分析でもあるのだが、この本はそこからもう五歩くらい突っ込んで「私の敵は日本および日本人なのだ」と、一見めちゃくちゃな論が展開されていく。

その根底に流れるのは著者独自なる「個人主義」、そして既存の考え方に束縛されない自由なる「哲学の心」だ。
彼の真の自由は「孤独」にある。もう途中からこの本は著者の(孤独という自由ゆえの)ワガママ自慢みたいになっていき、「ついてこれないのならついてこなくていい」という突き放しまで出てきて、なんだか飲み屋の長時間説教みたいになっていくのだが、実はそのはちゃめちゃの根底に流れる精神にボクはわりと共感を覚える。説教しっぱなしではなくて一応改善策も最後に載せているところがまた微笑ましい。

前著を社会的提案の書と読んだ人はかなりとまどうだろう。でも、前著を「考えヒント」と見た人にはそんなに違和感がない続編である。

1998年12月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「うるさい日本の私」

中島義道著/洋泉社/1700円

うるさい日本の私―「音漬け社会」との果てしなき戦い
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副題は「音漬け社会との果てしなき戦い」。
電気通信大の教授が無意味で無神経な「騒音」に戦いを挑んだ戦記であり、幼稚国家日本についての社会学的分析でもある。

ここでいう「騒音」とはあの電車やバスや横断歩道や商店街に氾濫するアナウンスの嵐のこと。著者はこれら自立精神を阻害する「騒音」に唖然とするほど決然と抗議していく。そういう行動の結果浮かび上がるのは日本という国の幼稚さ、独り立ちしていなさ、管理されたさであり、そしてまた驚異的なる甘えの構造なのである。

少々コワイオジサンではあるが、言っていることはまったく膝を打つ論理展開で納得のいくことばかり。‘平明に見る目’と‘決然と語る口’をしっかり持って生きていこうと思わせる、これは人生論の書なのです。ちなみに「自分がされて嫌なことを他人にはするな」というごく一般的しつけすら甘えの構造なのだとこの本は気付かせてくれた。子供を持つ親としてはたいへん感謝している。

1997年01月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

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