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中野翠
「私は臓器を提供しない」

amazon「ドナーカードに承諾のサインをしなかったら、それは人道にかなわないことになるのか」というテーマのもと、「私は臓器を提供しない」という立場をとる執筆者が集まり、それぞれの論を展開し、読者が自分の立場を選択するための材料提供をしてくれている新書。
企画とてもよし。執筆者まぁまぁよし。ヒューマニズムという美名のもと「なんとなくいいこと」と思われ押し進められている「臓器提供」をもう一度考え直すきっかけになる。
が、どうも読後感が散漫だ。もちろん複数執筆者が好き勝手自分の意見を書いているだけなのだから散漫になるのは仕方がないし、いろんな切り口でこの問題を切っていこうという編集方針も正しい。ただ、ことは「死とはなにか」という根本的問題にぶちあたらざるをえないため、それぞれの執筆者の死生観が中途半端な枚数で中途半端に語られてしまう。それがこの本をとても居心地の悪いものにしている。もうちょっと執筆者の数を絞って(10人書いている)、じっくり書かせてみてもよかったのではないだろうか。
個人的には橋本克彦による論の展開が一番しっくり来た。そう、そうなのだ。肉体にも自我は宿っているのである。うん。
2000年05月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
「クダラン」

amazonボクが団長を務める「ジバラン」と語感が似ているなぁ。関係ないけど。
その体温、考え方が似ていることもあってかなり無条件に信頼している数少ない人である中野翠の最新コラム集。
主にサンデー毎日・クレアに連載のものを集めたもの。題名通り、くだらないもの、嘆かわしいものに対する怒りの集積だが、そこに平明な知性というフィルターがかかっているだけでこうも痛快になるのか、と実感させる。相変わらずの切れ味で素晴らしい。
1997年04月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
「会いたかった人」

amazonのっけから関係ない話だが、ボクは向田邦子がかなり好きで、彼女の言うことなら無条件に信じてしまうところがある。厚かましくいえば、物の見方、その含羞、関心の方向性、基調体温などが似ているから信頼できるのである。他に無条件降伏している人に山口瞳、曽野綾子などがいるのだが、実はこの中野翠もその一人。中野翠の平明な知性をかなり信頼しているのである。
この本はその信頼に足る著者が「関心の方向が似ていてとても他人とは思えない」のにもう死んでしまって会えない人達を書いた本。つまりボクにとっても「会いたかった人」になるはずでとてもうれしい本なのだ。
オーウェルから左卜全、志ん生、露八に夢聲……またうれしくなるようないい選択。いい本である。
1996年07月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ




