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2003年11月

LV5「14歳からの哲学」

池田晶子著/トランスビュー/1200円

14歳からの哲学―考えるための教科書
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副題が「考えるための教科書」。
池田晶子が14歳のために「考えるとは」「言葉とは」「自分とは」「死とは」「他人とは」などを対話体で一緒に考えていってくれている本。
かといって14歳を子供扱いしていない。というか充分大人向け。14歳からの、という題名のニュアンスには「14歳のころにちゃんと考えてこなかった人たちへ」という感じも含まれている気がするくらい大人向け。すべて一度はきちんと考えないといけない命題ゆえ、なんとなくここまで生きてきちゃった大人も必読だ。全体に、答えを提示するのではなく一緒に考えるカタチをとっているから思考訓練にもなる。まぁ考えること自体が哲学だから当たり前といえば当たり前だが。

第三章では「17歳からの哲学」と題してより深い問題に取り組んでいる。最後の方の「人生の意味とは」など、42歳のボクにとっても非常に刺激的な思考展開で、そこに美すら感じる。極上の音楽を聴いているような陶酔すら感じる。なんつうか、本当の意味の「説教」をされて、肌から垢がはらはらと落ちていくような爽快感。

悩み深いけど、悩みの方向性が漠然としていてわからない、みたいなわけわからないあの頃、14歳。ボクが14歳だったころ、この本があったら世界はずっとクリアだっただろうなと思う反面、こういう風に整理して説かれてしまうとあのドロドロ悩んだ自分はなかったわけでそれはそれで自分ではないのではないかという思い、そして、実際に14歳の時に読んだらわりと反発したかもという思いもある。ま、とにかく、14歳以上のすべての人間、必読。小さな思い悩みや自殺願望など、この一冊で吹き飛ぶだろう。だって生きていることそれ自体奇跡に近いことなのだから。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「FLY, DADDY, FLY」

金城一紀著/文藝春秋/1200円

フライ,ダディ,フライ
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「対話篇」を読んで金城一紀恐るべし、と震えたボクの金城一紀体験第二弾。

つか直木賞をとった「GO」を先に読めよという感じだが。まぁとりあえずコレから。「対話篇」とはずいぶん違う筆致の明るいエンターテイメントである。で、後でわかったがこの本の前作であり著者デビュー作の「レボリューションNo.3」に出てくる少年たちが深く関係している。そういう意味では「レボリューションNo.3」をもっと先に読んだ方がよかったかも。

題名見て、映画「ロッキー2(だったかな)」の中でロッキーが「WIN, ROCKY, WIN」というTシャツを着て縄跳びしている姿がいきなり思い出された。映画の中で1分と映っていない場面なのだが、なぜか印象的で覚えていたわけ。あのTシャツみたいな題名だなぁ…そんな記憶とともにこの本を読みはじめたわけなのだが、これがまた、なんつうか、まさに「ロッキー」なのだな。著者もあのTシャツの印象が強かったのだろうか、とちょっと思ってしまったくらいロッキーだった。

主人公は父親。平凡なサラリーマン。ある事件で破綻してしまった幸せな生活を取り戻すためにささやかな復讐を誓う。そしてあるキッカケで知り合った少年たちに教えを請い、体を鍛え直して自分を変え、復讐に成功するのだ。その過程が感動的。特にルーティンの象徴であったバスとの競争は涙すら誘う。うまいなぁ金城一紀。少年たちの描き方もリアリティあり楽しい。甘いとかありがちとかいう批判もあるかもしれないが、ボクはこの本、好きです。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV4「涙はふくな、凍るまで」

大沢在昌著/講談社文庫/619円

涙はふくな、凍るまで
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ある日、娘のおつきあいで天敵であるネズミーランドに行った。
ネズミーにわりと批判的でアトラクションなんか別に見たくもないボクは、「ボクはファストパス並び係になるからもうボクのことは忘れてくれ」と言って、とにかく行列に並びまくったのだが(現実逃避)、その際何か読むものが必要だろうと行く前に書店で買ったのがコレである。大沢在昌はこういう時、時間を忘れさせてくれるはず…ということで読み始めたが、期待は裏切られなかった。夢とマジックを売るネズミーの嘘くさい空間はいきなり絶望と不運漂う北海道の極寒漁港に早変わりし、ボクは見事に現実逃避できた。ありがとう、大沢在昌。

知らなかったが「走らなあかん、夜明けまで」という本の続編らしい。知らずとも充分楽しめる。
通称日本一不運なサラリーマンである主人公が北海道で見舞われる不運の数々。前作は大阪ヤクザとの戦いだったらしいが、今回はロシア・マフィア。読むだけでカラダが冷えてくる描写の数々だが、中身は熱い。わざとっぽくB級にしてあるのもよい。ちょっと黒川博行のシリーズを思い出したりした。こういうの好きかも。時間つぶしには持ってこい。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV4「KAKIBAKA 描く男」

黒田征太郎著/求龍堂/2200円

黒田征太郎 KAKIBAKA 描く男
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1995年に出した「KAKIBAKA」の第二弾になるのかな。
5000円もした大判の第一弾に比べると小振りだが、中身はギュウと詰まっている。分厚い本にイラストが数万点規模。巻末に「本書掲載のモノクロページのイラストは、黒田征太郎が絵を描いている以外の日々の暮らしのなか、電話をしながらや食事中などに無意識のうちに手が動いて、身近にある紙切れなどに書き残していたもの」とある。それが数万点。

圧倒的なKAKIBAKAであり「手が走るッ」という帯コピー通りの本なのだ。
確かに書き殴ったような絵の集合だが、目的やメッセージを持った絵とはまた違う何かが伝わってくる。黒田征太郎を身近で知っている人やファンにとっては時間を忘れて見続けられるイラスト&エッセイ集。だが、黒田征太郎を知らない人には何がなんだかわからないかもしれない。そういう意味で微妙な本。

ちなみに挿入されている彼の一言一言がとてもイイ。これはいろんな本や雑誌で彼が語ったことの抜粋らしいが、抜粋したヒトがわりとセンスいいな。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:写真集・イラスト集

LV4「食わず嫌いのためのバレエ入門」

守山実花著/光文社新書/740円

食わず嫌いのためのバレエ入門
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「バレエに連れてって!」と同じ著者による新書。あの内容がより手軽に、という感じ。
「バレエに連れてって!」を持っているヒトは「なんだ同じ内容じゃん」と思うかもしれないが、こっちの方がより古舘伊知郎チックになっており、なにやらテンション高めミーハー度爆発なのである。
構成は「なぜあなたは食わず嫌いになったのか」の処方箋から始まり、「まずは作品について知ろう」と作品概観があり、劇場デビューの詳細、いま旬のダンサーや振付家たちの紹介、世界の劇場紹介、と続く。それらがミーハー度高く読みやすく書いてある。この著者は、バレエは楽しければいいのだとりあえず観に行こう、という姿勢で一貫されていて気持ちがいい。かなり具体的な実用ガイドになっているので、少し興味がある人などいいかもしれない。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV3「4TEEN」

石田衣良著/新潮社/1400円

4TEEN
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14歳の4人組が傷つき、協力し、恋をし、死に出会い、友情を確認し…という8つの短編。こう書くとありきたりな感じだが、著者は読者の心のツボを押す術を心得ており、実に上手に彼らの世界へ誘導していく。ええとこの本で第129回直木賞だったっけ。んー。実はそこまでイイとは思わなかったのだが、こういう本が直木賞を取ること自体は歓迎。

たとえば川上弘美ならこの少年たちにもっと漠然と生きるリアリティを与えるだろうなと思う。
もちろん著者の個性でもあるが、ここに出てくる少年たちはあまりに小説的中学生であり、希望と期待と「こうあってほしい」を込めて年長者が書いた感じがプンプンしてしまい、それがボクには最後まで違和感として残った。ある意味既視感があるし、厳しく言えば嘘くさい部分がある。感動させる場面もあるのだが、その後の会話とかにちょっとリアリティがない感じ。そこそこ楽しんだのだが、巷で話題になっているほどのものを感じなかった。

ちなみに同じ青春群像なら、「FLY, DADDY, FLY」などで金城一紀が書いている一連の少年たちの方が好き。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV2「バレエの見方」

長野由紀著/新書館/1800円

バレエの見方
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この本は初心者には少しきつい。
10月にロシアの本場で立て続けに8演目観る前にこの本を読んでいたら、そのマニアックな感じに「やっぱボクにバレエは無理かも」と思ったと思うのだ。いろいろ観ていろいろ知ったあとに読むと、書いてあることが少しずつわかってきて、楽しめる部分も出てくる。それでも中級者上級者が読んだ方がきっと面白いんだろうなぁ。振付にいろんな版があって、同じ演目でどう変わってくるかを実際に知ったあとに読むべき本かもしれない。それも頭でバレエを見がちな人のみ。

こう書くと小難しい本と思われるかもしれないがそうでもない。
代表的バレエを14演目選んで、その筋、見所、版の違い、演者の違い、歴史、音楽などがコンパクトにわかりやすい文体でまとめてある。全体に分析的で「楽しもう!」という方向性ではないので、合う人と合わない人がいると思うだけ。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV2「蕎麦屋の系図」

岩崎信也著/光文社新書/720円

蕎麦屋の系図
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これはかなりマニアックな本。系譜系が好きなヒト(たとえばボク)にはとてもいいが、一般的ではないだろうなぁ。
ただ、興味ないヒトもさすがに「蕎麦屋って更科とか砂場とか藪とか、どうも系列があるらしい」ということくらい気がついているだろう。その系図を歴史的に丁寧に追い、名店を紹介したのがこの本なのだ。とりあげているのは5つの系図。前出の3つと東家、一茶庵の5つ。北海道系に広がる東家は行ったことがないが、その他の4つはお馴染みである。もう蕎麦蘊蓄などはやらないが、興味ある人はこれ一冊でずいぶん頭の中が整理できるだろう。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

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