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2003年05月

LV5「温泉教授の温泉ゼミナール」

松田忠徳著/光文社新書/680円

温泉教授の温泉ゼミナール
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この本はショッキングだった。もう温泉になんか入れない、とすら思った。
だって、なんの疑問もなく浸かっていた温泉たちが、実は「ヘドロのような単なる汚いお湯」だったなんて…(!)。

問題は循環湯である。温泉の使い回し。人が入ったあとのお湯を濾過して何度も何度も使っているのである。で、夜中に循環装置を止めると、湯船のお湯はヘドロ状になるという。そして朝にまたスイッチ入れると30分ほどで透明なお湯になるというのだ。うげげげげ。そこに入って顔とか拭いてたのかよーーー! 循環装置が湯船もしくは排水溝についている温泉宿はほとんど全滅。ヘドロ湯に浸かって「はぁ〜極楽ぅ〜」と言っていたと思って良い。また、源泉量が少ない温泉地帯で必要以上に温泉宿があるところもやばい。町をあげて循環している場合が多いというのだ。うあー。なんということ……。

もう二度と温泉なんか行かない、とすら思い込んだが、日本にもまだまだ循環湯に侵されてないちゃんとした温泉宿があるという。それはどこなのだー!と思っていたら、同じ著者がちゃんとそういう本を出していました。それが次に取り上げた「カラー版温泉教授の日本全国温泉ガイド」。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル: , 雑学・その他 , 実用・ホビー

LV4「カラー版温泉教授の日本全国温泉ガイド」

松田忠徳著/光文社新書/1200円

温泉教授の日本全国温泉ガイド―カラー版
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ということで、上の「温泉教授の温泉ゼミナール」の著者が書いた温泉ガイド本。
宿のホスピタリティとか食事とかを無視して温泉の質だけを考えた場合、この本だけ読んでいればいいのかもしれない。いや、もちろんホスピタリティや食事もいいところが選ばれているのだが、優先順位の一は「温泉の質」なのだ。著者が肌で選んだ227湯378軒。この中で、この数年で循環湯化する宿もあるかもしれないが、とりあえず2002年(初版)では上質な温泉だ。あとは読者である我々がこの温泉宿たちを育てていくしかないのだろう。温泉好きには必携かも。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル: , 実用・ホビー

LV4「殺人症候群」

貫井徳郎著/双葉社/2200円

殺人症候群
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とても深いメッセージを持った本である。ニュースで毎日のように見る悲惨な事件の加害者たち。なんの反省もしていないような虫けらのような彼らを個人的に断罪することの是非を、周辺を丹念に描くことで読者に迫ってくる。

復讐は悪なのか。人を裁くとはどういうことなのか。愛する人を殺されても泣き寝入りするしかないのか……。いくつものエピソードが交錯しつつ、それらの主題に迫っていくのだが、それらがひとつひとつ実に重い。そしてラスト近くの衝撃。つらいなぁ。貧血起こしそうだったよ。どうしてこういう筋にしたんだろう、と、ちょっと著者を恨んだ。

ただ、話の展開が多岐に渡った分、全体に印象が少し薄くなってしまった気がする。物語のために無理矢理構築したエピソード群、みたいに見えてきてしまう。もう少しエピソードを絞った方が良かったかも。それと、題名がなぁ。症候群シリーズのひとつらしいが、もっと全然違う題名にした方がいいと思う。題が内容を表していない。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV4「コットンが好き」

高峰秀子著/文春文庫/724円

コットンが好き
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高峰秀子のエッセイを読んだことある人はみんな、彼女が『捨てる人』であることを知っている。
身辺を整理しすぎるほど整理して、シンプルに生きていることを知っている。その中で彼女が捨てていない(捨てられない)小物たちを集めて、その写真とともに小文にしているのがこの本である。指輪、はんこ、飾り棚、腕時計、風呂敷、台本……著者が思い出とともにそれらを語るわけ。著者ファンなら見逃せないでしょ?

とても滋味溢れた名文揃い。
実は1983年に出された単行本の復刻版文庫なのだが、2002年(ほぼ現在)に書かれた「あと書き」も瑞々しい。彼女は鴨長明みたいな暮らしと精神性に憧れているようだが、ボクにとっては彼女の生き方こそ憧れだ。女優業のときの栄光を捨て、身丈にあったシンプルな暮らしを心がけ、人の評価などどこ吹く風と自分の生き方を貫いている潔さ……。人気稼業にいた人で、歳取ってもなかなか「人気の魔力」から逃れられない人がいるが(人気稼業ではなくても、他人の評価で自分の価値を決めている人は多い)、そこともっとも離れたところで生きている彼女。見習いたし。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV3「ラッシュライフ」

伊坂幸太郎著/新潮社/1700円

ラッシュライフ
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ひと言でいうと、とても頭のいいミステリー。
時間軸を上手に切り貼りして作り上げた見事なパズル。いくつもの人生が併走していく話なのだが、それが最後に「あー、なるほど!」と収まっていく。謎も伏線も感情も含めて、すべての不可思議なミステリーが仙台駅前のある時間に収束していく様がなんとも快感だ。仙台という場所設定も面白い。独特の雰囲気を作っている。

ただ、感心はするけど感動はしないかな。
精妙なパズルを作ってみましたーどうですかー、という軽さがいろんなところに感じられる。でもそこが良いのだ。そこが良いのに、感心だけでなく感動を狙ったエピソードがちょっとずつ中途半端に入ってくる。それが邪魔かなぁ。いっそのこと完全に感心だけを追って、精妙精巧なパズルに徹した方が壮快だった気がする。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV3「キャッチャー・イン・ザ・ライ」

J・D・サリンジャー著/村上春樹訳/白水社/1600円

キャッチャー・イン・ザ・ライ
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村上春樹訳のライ麦畑。
サリンジャーマニアだった大学時代を持つボクとしては見逃せない企画。というか2000年11月に読んだ「翻訳夜話」の中で予告はされていたので、じぃっと息を潜めて待っていた感じである。やっと出た出た。

読むにあたって、野崎孝訳の本も本棚から出してきて読み比べたりした。
最大の興味は、一世を風靡した「インチキ」を村上がどう訳しているかだったが、やっぱり「インチキ」だった(笑)。これにはちょっとこけたが、あとは村上特有の言い回し(やれやれ、とか)が多用されていたり、現代風に読みやすくなっていたり、訳も時代によって変えていくことにちゃんと意味があるのだなぁと実感。つか、改めて読んだ野崎訳がめちゃくちゃ古びていたことにビックリした。言葉は生き物だなぁ。

それと、敢えて言えば、題名を新訳してほしかった気持ちはある。そのまんまかよ、と。「つかまえて」という題名を訳としてどうなのだろうと思い続けて四半世紀。村上春樹なりに答えを出してほしかった。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV1「犬を飼う」

谷口ジロー著/小学館文庫/457円

犬を飼う
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実は期待が大きすぎた部分がある。第37回小学館漫画賞審査委員特別賞受賞のマンガなのだ。で、評判も高く、涙なしには読めないという噂を聞いていたので、イヤでも期待高まるじゃんねぇ。
表題作は短編。愛犬の最期を看取る物語で、絵はとても丁寧で瑞々しいもの。人間の老期と重ね合わせつつ、じっくり読ませる。淡々として味わい深いのだが、それでも評判ほどではないかなぁと思った。ボクが感性不足なのかしら。

2003年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:漫画

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