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2003年03月

LV5「アホでマヌケなアメリカ白人」

マイケル・ムーア著/松田和也訳/柏書房/1600円

アホでマヌケなアメリカ白人
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なんだかんだ言っても、この本が全米でミリオンセラーになっていることをひとつの希望にしたいと思った。
非常にエキセントリックな文章と展開で、慣れるまではちょいと鼻白む部分もあるのだが、慣れるととても素直に心に入ってくる主張の数々。とはいえ、ブッシュ批判の数々は日本人ならちょいと引くかな。感情的すぎる。でもこのくらい言わないと対抗できないのかもしれない。日本だとここまであからさまな批判は嫌われるが、アメリカではこのくらいやらないと主張は伝わらない部分もあるだろう。
ブッシュ大統領選出問題(話がすべて事実だったらマジで酷い)、イラク問題、教育問題、環境問題などなど、それぞれの主張はとても説得力がある。書名はおふざけだが、内容はまさに真の愛国書。イラク問題を語るなら必読の書かもしれない。

ちなみにマイケル・ムーアは映画監督でもある。もうすぐ公開する「ボウリング・フォー・コロンバイン」はコロンバインでの銃乱射事件を題材に社会風刺をしているという。必見。
※追記:2003年アカデミー賞ドキュメンタリー長編映画賞をこの映画が受賞。授賞式でめちゃめちゃ過激なブッシュ批判をして痛快だった。勇気あるな。全文を載せておこう。

「Whoa. On behalf of our producers Kathleen Glynn and Michael Donovan from Canada, I'd like to thank the Academy for this. I have invited my fellow documentary nominees on the stage with us, and we would like to ? they're here in solidarity with me because we like nonfiction. We like nonfiction and we live in fictitious times. We live in the time where we have fictitious election results that elects a fictitious president. We live in a time where we have a man sending us to war for fictitious reasons. Whether it's the fictition of duct tape or fictition of orange alerts we are against this war, Mr. Bush. Shame on you, Mr. Bush, shame on you. And any time you got the Pope and the Dixie Chicks against you, your time is up. Thank you very much.」

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際

LV5「イラクの小さな橋を渡って」

池澤夏樹著/本橋成一写真/光文社/952円

イラクの小さな橋を渡って
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アメリカによるイラク侵略戦争(とあえて呼びたい)がいまにも起こりそうな雰囲気の中、ひとりの作家がペンの力を持って戦争への流れを止めようとした気高い試みとして評価したい本。本橋成一の写真に池澤夏樹の文章がつき、「この子たちをアメリカの爆弾が殺す理由はなにもない」と訴えている。

本は「もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか、そこが知りたかった」と始まる。実際にイラクを訪れ、人々の生活を見、それをウェブと本で世界に伝えた。国際政治的に進行する戦争について思考していくと、ふと、人々の暮らしという身近なレイヤーを忘れそうになる。作家の目はそこを鋭く突き、ボクたちに「想像力を取り戻せ」と訴える。そしてアメリカとの関係についても平明な論点で訴える。戦争を正当化する理由など、やっぱり何もないではないか、と。巻末の年表も役に立つ。イラクがいままで何をやってきたか。客観的事実も出しておくことでより狙いが明確になっていると思う。

国際政治を情緒で語るなと思う人もいるかもしれない。でもこの本に実は情緒はほとんどない。理系の目と感じるくらいである(写真はちょっと情緒的)。しかし、人を殺すかもしれない戦争に、情緒的になって何が悪い?ビジネスライクに考えていて良いのか? そんな反省を強く求められる一冊でもある。
※英語版・フランス語版・ドイツ語版が無料でダウンロードできます。

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 写真集・イラスト集

LV5「壬生義士伝」

浅田次郎著/文春文庫/上下各590円

壬生義士伝 上   文春文庫 あ 39-2
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いつからか、あんなに好きだった浅田次郎を読まなくなった。「鉄道員」あたりからかな。ひと言で言うと食傷した感じ。もうひと言言うと泣かせがあざとくてちょっと困っちゃった感じ(著者のは明日への希望がわくタイプの泣かせではあるのだが)。
で、久しぶりに読んだ浅田次郎。ネタが新撰組であるのが読んだ理由のすべて。なにしろ中学以来の幕末フェチであるボクだもの。でも、そう思いながら文庫になるまで読まなかったのだから、よっぽど食傷してたのね、浅田次郎に。

さて、久しぶりに読んだ感想はというと……さすがと言うしかないなぁ。
まぁうまいのはわかっていたのだけど。それにしても、だ。方言の一人称語りだけで、幕末の空気から新撰組の真実から人の道とは何かというテーマまですべてを描ききるこの筆力はどうだ。先人が掘り尽くした新撰組という鉱脈に堂々と挑み、新たな命を吹き込んで余りある。斎藤一を描きこみ坂本龍馬暗殺に新解釈(?)を与えただけでも幕末フェチとしては評価する。時代の変わり目を捉え、昭和・平成の現代までつなげ、現代人が失いつつある「日本人の精神性」までしっかり感じさせたその野心もすごい。いやはや。やっぱり浅田次郎は抜群だわ。

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:歴史小説

LV5「ラッキーマン」

マイケル・J・フォックス著/入江真佐子訳/ソフトバンク・パブリッシング/1600円

ラッキーマン
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言わずと知れたハリウッド大スター、マイケル・J・フォックスの自叙伝。

まぁあれだけのスターなのだから本が売れるのはわかるが、この本がアメリカで大ベストセラーになったのには違う理由がある。著者にとって人生の頂点でもあった30歳のとき、彼はパーキンソン病に冒され、俳優生命もあと10年持たないと告知されたのである。その内情を含め、これからの人生、仕事、家族への思い、闘病生活などが彼のスターな半生とともに語られるのだもの、そりゃ売れるわ。そしてボクも買ってしまった。それほどファンでもないのに。

パーキンソン病に冒されたのに、題名がラッキーマンである理由を彼はこう言っている。
「この病気にならなければ、ぼくはこれほど深くて豊かな気持ちになれなかったはずだ。だから、ぼくは自分をラッキーマンだと思うのだ」。
思い上がっていた大スターとしての生活から一変してどん底へ。そして人生の深みを知りそれを本にする……厳しく言えばとってもありがちな本でもあるのだが、この本がそこらへんのありがちな回顧本と違うのは、文章と内省具合とその後の立ち直り、そしてパーキンソン病への理解と貢献がとてもよく書けているから。これは彼の性格の良さもあるのだろう。

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝

LV3「だからアメリカは嫌われる」

マーク・ハーツガード著/忠平美幸訳/草思社/1600円

だからアメリカは嫌われる
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原題は「The Eagle's Shadow:Why America Fascinates and Infuriates the World」。邦題とはニュアンスが違うが、反語的でどちらも面白い。

帯に「米国人ジャーナリストが、あえて自国の無知・非常識ぶりを明らかにする!」とあるように、著者は世界19カ国を巡った経験からアメリカの勘違いと非常識ぶりを事実に基づいて書いていく。世界の人々がアメリカをどう思っているか。アメリカが世界になにをやっているか。それをアメリカ人は知っているのか…。本書の中盤に出てくる「じつに厄介なことに、アメリカ人の大半は外の世界のことをほどんど知らず、とりわけ、政府がアメリカ人の名を借りて何をしているかという情報が不足しているのである」という一文がこの本の嘆きのほとんどを言い尽くしている。

なるほどな。アメリカ人は無知でマッチョなだけなのだな。一般アメリカ人の本音は「われわれはこんなに世界に貢献し、ちっとも悪いことをしていないのに、なぜ一部の国から嫌われ攻撃されるのか。ぜーんぜん理解できん!」なのだ。それが本書でよくわかった。そして著者は「いやいや、こうこうこうだから、アメリカは嫌われているのだ」と愛国者の立場で客観的に語っている。アメリカ人たちに是非読んで欲しいが、どうなのかな、売れているのだろうか?

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際

LV3「現代アート入門の入門」

山口裕美著/光文社新書/750円

現代アート入門の入門
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アート・プロデューサーである著者による現代アート入門。
よく出来た新書である。ちょっと小難しく感じがちな現代アートの現状を知る入門書としても、アート自体の見方を養う教科書としても、現代アートとのつきあい方を知る実用書としても、アート美術館はどこへ行けばいいのかを知る旅行書としても、アートを蝕む現代風潮の告発書としても、現代アートとは何かを知る哲学書としても、すべてにそれなりに使える。広範囲にサービス精神を発揮したところがこの本の良さでもあり弱さでもある。ボクには少々物足りなかったが、表題にあるとおり「入門の入門」としてはとてもよく出来ている。

著者は「現代アートのチアリーダー」として現代アートを応援するウェブを立ち上げているが、その中の「トウキョウトラッシュ宣言」が素晴らしい。是非読んで欲しい。その中の一節に「アートは問いかけであり、答えや結果ではありません。」とある。個人的に肝に銘じたい言葉である。

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台

LV3「HARRY POTTER and the Chamber of Secrets」

J.K.Rowling/Bloomsbury/£5.99

Harry Potter and the Chamber of Secrets (UK) (Paper) (2)
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原書読み。
シリーズ2巻目だが、この本が後回しになってしまっていた。現刊ハリー・ポッター・シリーズはこれで全部原書を読み終わったことになる。4巻目の「炎のゴブレット」の方がずっとずっと分厚いのに、この本の方が時間がかかってしまったな。面白さが一番劣るから、という理由が大きい。途中のダレ方がとてもつらかった。次は5巻が夏に出るのを待つばかり。ただ、噂では「炎のゴブレット」の倍近く長いらしい。分厚いと通勤で持っていくのにうざいし、ベッドで読むにも腕が疲れる。ちょっとイヤだなぁ。

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 小説(海外)

LV1「ブッシュ妄言録」

FUGAFUGA Lab.編/ぺんぎん書房/900円

ブッシュ妄言録
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ブッシュ現大統領の、失言というにはあまりにつたない語録の数々を集めた本。
もうね、ホントに呆然とします。いくつか例を上げようと思ったが、どれを選んでいいかわからない。笑える本、として興味本位で買ったが、真ん中あたりまで読んで気分は暗黒。このアホが「世界の実質的トップ」である不幸をどう受け取ればいいかわからなくなる。もちろん1日24時間マスコミに監視されていて、失言しないわけにはいかないが、これはもう失言のレベルを超え、アホが滲み出ている。アホの坂田なら芸ですむが、アホのブッシュは洒落にならん。

が、最後まで読み通すと、逆に「これはこれで逆にオオモノなのかもしれない」と思い始める自分もいる。いわゆる大愚な人はある意味人格者でもあるしな。ただ、このアホさ加減は平和な時代ならまだしも、戦争や人殺しが絡むとやっぱりヤバイ。ヤバすぎる。ま、なんつうか、思ったより笑えない。暗い気分になる本だ。悲しーくなる。そういう意味でボクのLOVE度合いは低い。

2003年03月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際

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