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2002年12月

LV5「最悪」

奥田英朗著/講談社文庫/876円

最悪
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サスペンス小説になるのかな。おもしろい。こんなにおもしろいのに文庫になるまでなぜ知らなかったのだろう、奥田英朗をなんで全く知らなかったのだろう、と我ながら疑問。

個人経営の鉄工所の社長、普通の銀行OL、無職の自堕落な青年。この三人の人生がどんどん最悪状態まで転がっていき、しまいには交差していくのだが、その最悪状態に転がっていく様が実に良く書けている。登場人物たちと一緒に読者も「どうしてこうも悪い方へ転んでいくんだぁー!」と頭を抱え、胃が痛くなることだろう。かなりのリアリティで身につまされる。ボクらの人生も紙一重だなと思う。

特に鉄工所の社長の人生がよく描けている。中小企業・零細工場などの経営者をこの本を読んだあとでは尊敬のまなざしで見てしまう。よくやってるなぁ…。いやマジで。
前半・中盤に比べて、ラストあたりの急展開がいまひとつな感じではあるのだが、それを差し引いても素晴らしい。読後、人生なんとでもなるな、という勇気すらもらった。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「三人噺 志ん生・馬生・志ん朝」

美濃部美津子著/扶桑社/1400円

三人噺―志ん生・馬生・志ん朝
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中野翠がどこかで「美濃部一家こそ日本のセレブ」みたいなことを書いていたが、志ん生(美濃部孝蔵)とその息子である馬生(清)・志ん朝(強次)の人生を、志ん生の娘である美津子が書いたこの本を読み終わるとまさにその感に満たされる。

落語の世界そのままのどん底貧乏長屋生活を送った志ん生の半生を中心に、美濃部親子の人生が淡々と綴られている。貴重な話も笑えるエピソードもいろいろ出てくる。ゆっくり味読するにたる実に魅力的な本だ。ラストの志ん朝の死の場面では涙を通り越して嗚咽を漏らしてしまった(←歳ですな)。

中身とは直接関係ないが、口絵の写真を何度見ても見飽きない。特に志ん生。こんな顔のジジイになりたいと熱望する。無理だろうが。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , アート・舞台

LV5「十一月の扉」

高楼方子著/リブリオ出版/1900円

十一月の扉
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著者は「たかどのほうこ」と読む。帯に「小学校高学年から」と書いてあるしルビも多いし内容も女子中学生の成長小説なのでジュブナイル小説系に分類されるのだろうが、大人が読んでも充分おもしろい。
つか、35歳以上くらいの方が楽しめるかも。とうの昔に忘れてしまった中学生のころのみずみずしい気持ちが読み進むに従ってどんどん蘇ってくる。その感じはある程度歳をとった人の方がより新鮮に思えるだろうし、そろそろ思い出すべき年齢でもあるから。

ある十一月、ある中学生が二ヶ月だけ十一月荘で暮らすことになった・・・そこで起こるいろいろなふれあいを丁寧に丁寧に描いた本。女性作家が女性向けに書いたのだろうが、オッサンのボクでもそこここで「あぁそうだったよなぁ」と感慨を覚える(悪いか?)。窓の外に枯葉舞う11月に、ゆっっっくり読みたいいい本である。ちなみに第47回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞している。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , 児童・ティーンズ

LV5「HARRY POTTER and the Philosopher's Stone」

J.K.ROWLING著/BLOOMSBURY/£5.99

Harry Potter and the Philosopher's Stone (UK) (Paper) (1)
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原書読み。
3巻4巻と原書を読了したので、どうせなら全巻読了!と目標を立て、まずは第1巻。筋はよく了解しているし、第1巻のせいかわりと読みやすい英語だったのか、すぃすぃ読了。読み慣れてきたのかなともちょっと思うが、少し難しい文章になるとまるでわからないので、単に筋を知らなかった第4巻の苦労に比べて読みやすく感じたってだけのことのようだ。次は第2巻「秘密の部屋」。映画が来月公開されるヤツ。公開までには読めないだろうが、筋を良い具合に忘れているのでわりと勉強になるかも。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV4「ナイフ」

重松清著/新潮社/1700円

ナイフ
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なぜか著者の本を敬遠してしまっているボクであるが(「定年ゴジラ」しか読んだことなく、しかも最高点にしてるのに)、その理由がこれを読んでわかった。時代の切り取り方やリアリティの出し方、泣かせの持って行き方などが予想ついてしまうのだ。つまり、たぶんボクと感じ方が非常に近いのだろう。同年代ということもあるかもしれない。
で、著者は必ず「励まし」をテーマのどこかに潜ませるのだが、その潜ませ方もとても「わかってしまう」。で、照れてしまう。落ち着いて読めなかったりする。でも感心してるしうまいなぁとも思っている。でも照れてしまう。そんな感じ。わかる?

帯に「重松文学、初期の大傑作」と二重三重に持ち上げてあるが、初期にさりげなくこのような短編を書ける筆力はやっぱりたいしたものだ。
家族のそれぞれの気持ちに寄り添いながら丁寧にその想いを紡いでいっている短編集。リアリティも会話の上手さも少年少女の気持ちへの寄り添い方も、それぞれ一流。「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」「キャッチボール日和」「エビスくん」「ビタースィート・ホーム」の5編それぞれ、こうして表題を書くだけで筋やニュアンスが頭に思い浮かぶ。つまりそれぞれとても印象的なのだ。

オススメ。とてもいい。けどボクはこれからも重松作品はそんなに読まないかも(「小さき者へ」を買ってあるのでこれは読むが)。微妙な気持ちで説明しがたいのだが、こういう芸風から脱却した後の彼を読みたい。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV4「アッシュと歩いたヨーロッパ」

坂本徹也著/主婦の友社/1600円

アッシュと歩いたヨーロッパ
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帯に「あなたも愛犬を連れて海外に行ける!」とあるように、これは著者が愛犬(ミニチュア・シュナウザーのアッシュ)とともにヨーロッパを65日間旅した記録である。

「おー、犬をつれて海外旅行に行けるんだー!」という驚きがまずあり、そのやり方やノウハウを読んでいくうちに自分もやってみたくなり、最後にはヨーロッパ人の犬文化の深さにため息をつく。そんな本。ちなみにサイトはこちら。サイトもとてもすばらしい。

基本的に旅エッセイ。
フランスやイタリアを旅したことのある人(もしくは興味がある人)にはとても楽しい旅エッセイになっているうえに、もちろん犬と旅行するための実用情報が盛りだくさんに入っている。読んでいくうちに自分にも出来る気になってくるのがいい。そういう読者気配りがかなり上手な著者である。愛犬と海外旅行が出来たらいいなぁと少しでも思う人は読んで損はない。ただし、この本には「海外旅行に堪えられるように犬をしつける方法」だけは書いてないので、まずはしつけないといけないが。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル: , 実用・ホビー

LV3「一目でわかる国際紛争地図」

伊藤芳明監修/ダイヤモンド社/1400円

一目でわかる国際紛争地図
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「世界の紛争がよくわかる本」を愛用してきたボクであるが、あれから2年、国際事情はいろいろ変わっている。で、今度はこれを購入。「世界の紛争がよくわかる本」は毎日新聞外信部編著だが、この本の監修は毎日新聞東京本社外信部長ゆえ、ま、同じ著者が編集したようなものと思ってもいいかも。作りもとても似ているし。

前書きに「それぞれの当事者が掲げる『正義』がいかに独りよがりで危ういものか、理解していただければ幸いである」とある。そういう視点に共感。ただ、編者の主観は極力排除してあり、客観的事実重視の作りなので偏向は特には感じられなかった。各紛争を短くまとめているので、事実の羅列に近くなってしまっているが、状況を頭に入れるにはなんの問題もない。1〜2年は愛用する予定。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際

LV2「勝見洋一の美食講座」

勝見洋一著/海竜社/1500円

勝見洋一の美食講座
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日本を代表する美食家である著者が正面切ってこういう題名で出してきたからにはこれは読まねばなるまい。
読めば読むほど、美食は才能である、との思いがひしひし。金持ちも才能であると同じ意味で。うはは。ほとんど嫉妬してます。まぁ正直ボクには彼と同じレベルの美食は無理だな。財布的にも環境的にも人生的にも。

ま、それは置いておくとして、内容的には「美食講座」という題名から予想されるものではなく、著者の美食遍歴の一端が上質なエッセイとして披瀝されているもの。こういう食べ方・生き方を美食と呼ぶのだよ、という静かな主張が行間ににじみ出ている。けど、文章がいいので嫌味ではない。そこらへんがこの著者の強み。

場所によって味が変わって感じられるワインの話や、ラセールでのダリの話など、印象的な話も多い。各章最後に書かれているおまけの文章もとても良い。全体にオススメな本なのだが、うーん、題名がちょっとなぁ。もっとエスプリの効いた題名にしてくれたらバイアスかからず読めたのにな、と、少し残念。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , , エッセイ

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