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2000年03月

LV5「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」

ダン・シモンズ著/酒井昭伸訳/早川書房/各2900円 3000円

ハイペリオン
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96年2月以来の再読。
ええ、読み返してしまいましたよ、両方合わせて1130ページ、しかも二段組を再読してしまいました。理由はひとつ。先月の「エンディミオン」の項でも書いたけど、このシリーズ4部作最終作の「エンディミオンの覚醒」を読むための予習ですよ。なにしろこの4作目ではいままでの重要出演人物総出演のうえ、すべてのナゾが解かれるというんだから、過去の忘れている細かい筋や伏線までも読み返したくなるではないですか。

で、読み返したんだけど、再読のくせに読み終わるのが惜しい出来。
やっぱり大傑作だあぁ。
ただ、4年前に読んだ時と印象が違う章がいろいろあったりして、それはそれで面白かった。再読の2冊が今月の最高というのも情けないけど、でもこの2冊を抜く本はそうはないから、仕方ない。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:SF

LV5「図説・世界の紛争がよくわかる本」

毎日新聞社外信部編著/東京書籍/1700円

図説 世界の紛争がよくわかる本
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待っていたなぁ、こういう本。帯に「テレビの横にこの一冊」とある。そのとおり! なにしろ世界中でおこっている内戦・紛争のほぼすべてが実にわかりやすく解説してあるのである。

ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦やチェチェン紛争、クロアチアの独立、ルワンダ内戦、カシミール紛争・・・わかる? よくわからんことだらけだよね?(ボクだけ?)  毎日毎日新聞紙面を賑わせているわりにはまるでよくわからんこれらの紛争たち。「どうしていちいち紙面で解説し直してくれないのだ!」といっつも憤っていたのだが、この本があればすべての悩み・知識欲が解決される。文体のノリとしては中学の教科書的(ですます調でサルでもわかる風)でわかりやすく、図や絵も多用してあって実に丁寧親切。すばらしい。こんな本を待っていたのだ!

苦言も言おう。新聞記者としてはかなりの譲歩なのだろうが、これでもまだ漢字が多い。
こういう本を読むのは「消極的知識欲の持ち主」なのだ(積極果敢な人はもっと難しいのに行く)。だから、たとえばルワンダ内戦を読もうとしても、せっかくやる気だったのに漢字の多さにまずめげる。専門用語もまだ多い。もう一歩噛み砕いて欲しい。記者たちは社会事情優等生かもしれないが、社会事情劣等生の気持ちになってもう少しだけわかりやすく書いてくれればより良かった。まぁそれでも「待っていた感」で三ツ星。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際

LV4「恋は肉色」

菜摘ひかる著/光文社文庫/495円

恋は肉色
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なんというか、生きる姿勢みたいなものを見直させられる本。オーバーに言えば「生きるということに対するプロ意識」を思い起こさせられる。
ウェブの世界では有名な彼女のホームページ(「菜摘ひかるの性的体験」※著者の死去により閉鎖)は、ずいぶん前から(日記猿人に登録するずっと前から)の愛読者であるボクだが、こうして一冊にまとまったものを読むとまた面白い。オレは誇りを持って生きているかなどと急に見直しモードに入ってしまったりして。

いや、内容的には決して重くない。というか軽い。さらっと読める。風俗嬢である著者の毎日が書いてある日記エッセイに近いもの。
でも、風俗業界の裏がわかるとか、風俗嬢の本音が覗けるとか、そんなことではなくて、起きて遊んで仕事してクソして寝る、というような普通のことに対しての背筋の伸び方が行間から立ち上がってくるところがスゴイ。まぁ個人的に彼女の生き方が好きなのだろうな。この頃の日記より、この本の頃の日記の方が好きではあるが。

あと、職業にではなくて、職業に対するプロ意識にこそ貴賤はあるんだ、みたいなことを思った。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV3「食べる--七通の手紙」

ドリアン・T・助川著/文春文庫/543円

食べる―七通の手紙
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七人に宛てた手紙型エッセイ。叫ぶ詩人の会のドリアン助川が、食べ物に触発されて書いた手紙エッセイなのだ。

宮沢賢治、川崎のぼる、ポル・ポト、兼高かおる、青島幸男、チャールズ・ダーウィン、そして無名のギンズバーグに似た釣り人…。
語りかけ文体と独白文体が混ざり合って不思議な手紙になっているのだが、体温の高いその文章は読者にある種の昂揚感をもたらす。著者の個人的体験と読者の個人的体験が重なったときは特に強いカタルシスを感じさせる力がある(ボクにとっては川崎のぼるの項)。おもしろい。
でも、リズムに乗り切れないときもあって、そういうときは著者は平気で読者を置き去りにする。残念といえばそこらへんが残念。リズムにだけは乗せてほしかったな、と思うのだ。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , エッセイ

LV1「菊次郎とさき」

ビートたけし著/新潮社/1000円

菊次郎とさき
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ビートたけしが父母について書いたエッセイ。
評判の高いエッセイだが、これがビートたけしの本でもなく、著者に好意を持ってもいなければ、やっぱり駄作かもしれない。
いや、駄作まではいかないか。要は普通、であった。著者に対して「一目を置いて」読んだり、最初から好意まるだしで行間を探っていったりすると、なかなかに感動的な部分もあるのだが、一歩距離を置いて読むと…。

残念なのは、あれだけ表現力が多彩な人なのに、非常に陳腐な比喩や言い回しをたまに使うこと。それも展開の骨の部分で。えー、そういうふうな表現でこの文章を締めるわけー?とがっかりすることも多々あった。
ビートたけしだからこそ厳しい目で読んでいる部分もある。一目置かれたり、厳しく読まれたり、著者もいろいろたいへんなのだ。でも、なんだか「いまオイラが母親を語ったらとりあえずせつなくはさせられる」みたいな安易さを感じてしまった。ちょっとイジワルな視点でゴメンだけど。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV1「知の休日」

五木寛之著/集英社新書/640円

知の休日―退屈な時間をどう遊ぶか
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五木寛之を読むのって「青春の門」以来かも。
副題は「退屈な時間をどう遊ぶか」。人生は短いのに退屈は長い、という矛盾を、遊ぶ、という切り口でさらっと書いているのだが、まぁ敢えて言うなら「退屈」であった。
ただし、退屈を楽しもうというコンセプトの本だから、この退屈は正しい退屈であって…、まぁ著者は上手に逃げている気がするな。退屈な本を書こうという確信犯的著述なのかもしれない、とちょっと思わせる。

著者のエッセイを面白いという人は年輩の方に多い。エッセイはこれしか読んだことないのだが、どうなのだろう。著者に興味がないせいもあるが、なんともはや中途半端な読後感が残った。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV0「死を誘うロケ地」

ジェフリー・ディーヴァー著/飛田野裕子訳/ハヤカワ・ミステリ文庫/680円

死を誘うロケ地
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「ボーンコレクター」の著者のずいぶん前の作品。

本棚に死蔵されていたものだが、「ボーンコレクター」が面白かったから読んだみた…が、うーん、大化けする前の桐野夏生を読んでいる時に感じるような、なんだかいたたまれない感じが漂う。なんだか完成度が低い、というよりも、主人公を最後まで魅力的に思えなかったのが一番の問題であろう。

映画のロケーションハンティング業自体を取り上げたのは面白かったが、その世界をそれなりに知っているボクですらどうしてものめりこめなかった。どうしてかな。やっぱり主人公の書き込みが特に前半部で足りないせいだと思う。んでもって、のめりこめないうちに殺人がおこってしまったのも敗因かもしれない。わりと時間の無駄だった作品。

2000年03月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

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