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2000年02月

LV5「エンディミオン」

ダン・シモンズ著/酒井昭伸訳/早川書房/3000円

エンディミオン
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はぁ。やっと読めた。
大傑作「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」を読んで以来ずっとずっと続編のコレが読みたかったのだけど、去年の2月に発売になってすぐ買ったにも関わらず、その分厚さ(二段組600ページ)と、「ハイペリオン」を読んでから3年経っていて筋を忘れている、という障壁に阻まれて手を着けなかったのでした。
で、正月休み。ここで読まねばいつ読むの !? と前の筋を忘れているのもものともせず読み始めたんだけど、これがまた期待に違わぬ面白さ。読み進むに従って筋や世界観、登場人物たちもどんどん思いだしてきて…つまりは堪能したのでした。やっぱりダン・シモンズ! さすがはダン・シモンズ!

「ハイペリオン」二作は要所要所にSFファン用のお遊びが隠されていたりしたが、今回はそれが少なかったな。わりと一直線的ストーリー展開。デ・ソヤとロールの交互展開は効果的で、物語に奥行きを与えている。ただ、もう少し強くデ・ソヤにカタルシスを感じさせてくれたらもっと深くなったと思う。妙に主観的な描写と妙に客観的な描写との乖離があって、デ・ソヤの部分はちょっと中途半端感があるのが残念。

次作「エンディミオンの覚醒」で4部作堂々の完結、となるのだが、「エンディミオンの覚醒」では過去の登場人物がすべて出てきて、すべての謎が解き明かされるらしい。
こうなったら「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」ももう一度読み返しておかねば!と、いまこの分厚い二冊を読み返しているところ。つまりはそのくらいは夢中になれる大傑作シリーズ。読んで損はないから、まだの人は「ハイペリオン」からじっくり、どうぞ。(このシリーズを初読する喜びが人生に残されている人がうらやましい)

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:SF

LV5「ボーン・コレクター」

ジェフリー・ディーヴァー著/池田真紀子訳/文藝春秋/1857円

ボーン・コレクター
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去年の海外ミステリー物のベスト1を総なめした感があるこの本、なんとなく怖そうだったから敬遠していたのだが、読んでみたらちゃんとした正統ミステリーでした。

いやまぁ怖いことは怖いんだけど、想像していたスプラッター的怖さではなくてホッ。全体に登場人物のキャラがそれぞれ深く掘り下げられていて見事だし、ストーリーも練りに練られているし、どんでん返しも鮮やかだし、ベスト1を総なめするのも理解できる。ま、めちゃめちゃすげーとは思わなかったけど、誰にでも安心して推薦できる良質ミステリーだ。

主人公的役割のハリー・ライムは四肢麻痺で左手の薬指一本しか動かないという設定。
ここで「うーん、障害者ものかぁ」と敬遠するなかれ。彼は障害者主役にありがちな人格者として書かれていない。いまひとつカタルシスまで持っていけなかったのが残念だが、欠点が多い普通の人として描かれる。いやむしろ健常者よりも性格的欠点が多いくらい。こういう主人公を設定してストーリーを進めるのは並みの筆力ではできないだろう。また現代科学捜査についての記述も詳細でそれはそれで面白い。

著者の名前を見てどこかで見たことがあると思い本棚をあさってみたら「死を誘うロケ地」という本が出てきた。つん読状態でまだ読んでないが、早速読んでみよう。CMを生業にしている身にはめちゃめちゃ不吉な題名なのだが・・・。

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「ハリー・ポッターと賢者の石」

J・K・ローリング著/松岡佑子訳/静山社/1900円

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
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全世界で800万部売れていて、来年夏にはワーナーが映画化すると言われている話題のファンタジー。
全7巻完結らしく、これから順々に読んでいけるわけですね。まぁ面白かったからそれはそれで楽しみだ。ちなみに初邦訳。日本では無名小出版社が世界的超ベストセラー本の翻訳を勝ち取ったことでも話題になった。

ひと言で言えば、ロンドンの子供魔法使いの話。魔法学校に通って魔法を覚えていくうちにまき起こる事件の数々…。こう書くとちょっと「ゲド戦記」を思い出す。硬派な「ゲド戦記」をリンドグレーン風に料理して、ディズニーのスパイスを散りばめた、みたいな印象をボクは受けた。

ストーリーはよく出来ている。夢中で読める。一巻完結ならちょっと「ぬるいな」と思う構成も、七巻続くならもちろん許せる。いまひとつカタルシスを感じられない主人公もだんだんに成長していくのだろう。子供の活字離れを嘆く前に、そう、こういう風にテレビゲームに勝てるような本を大人は書くべきなのだ(活字離れを嘆くなら、ね)。

まぁ童話的なものなので比べようもないが、日本にも小野不由美の「十二国記シリーズ」という「世界的ベストセラーになったっていいじゃん的大名作ファンタジー」があるんだがなぁ…と読後に思った。ハリー・ポッターに全然勝っているぞ、十二国記!

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「夢果つる街」

トレヴェニアン著/北村太郎訳/角川文庫/640円

夢果つる街
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再読。
初読はいつだったかな。ホームページを始めるずっと以前。10年ほど前。当時はこの本の著者、トレヴェニアンに凝っていた。この頃新作出てないよね? どなたか知っていたら教えてください。

正月ころ、ちょっと自己憐憫に浸りたい気分に陥っていて、新作よりもなにか懐かしいのが読みたいな、と、本棚前をうろうろしていて久しぶりに手に取った本。
まさに気分ぴったり。ラポワント警部補と一緒に自己憐憫の嵐に一緒に浸ってみたい…。読み返してよかった。やっぱり大名作ミステリーだ。いや、ミステリー的ストーリーよりも、この小説は細部がいい。ラポワント警部補と一緒に「ザ・メイン」の裏通りを歩くだけでなんか人生のどうしようもなさみたいな気分が襲ってきて、自己憐憫希望者には最適なのだ。あ、もちろん普通の気分で読んでも大名作ですよ。好きだなぁ、この本。この頃あまり著者の名前を聞かないから、絶版になっていたりして…。

まだ読んだことがない人は、ぜひどうぞ。失望させません。絶版になっていないことを願います。

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV4「芸能界一発屋外伝」

宝泉薫編著/彩流社/1200円

芸能界「一発屋」外伝―“笑いと哀しみ”の一発屋ワールド
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労作。前作「歌謡界一発屋伝説」よりもずっと面白い。

前作は歌謡界の一発屋について書いているが、たぶん歌謡界の方が得意分野だったのだろう、ちょっと読者レベルに合わせて手加減したような所があった気がする。今回の芸能界全般編は、逆に目一杯がんばっている感じ。これでもかこれでもかと雑学的オタク的知識をぶちこんであり非常に読み応えがあった。お笑い、ドラマ、CF、お色気、文化人、異能者…、いろんな分野での一発屋たち。一発屋に対する愛も充分に感じられてとてもいい。(中谷彰宏を「著者が唯一、本当の一発屋になってほしいと願う男」と位置づけているあたりも共感)

ただこの感想は単にボクが「芸能界全般より歌謡界の方が圧倒的に詳しい」ということも影響しているかも知れない。
前作についてボクは「題材によっては突っ込み不足」などと偉そうに書いているが、芸能界編も詳しい人に言わせるとコッチも「突っ込み不足」な部分があるのかもしれない。それはわからない。ボクにとってはコッチの方が熱を感じたし感心させられるところが多かった、ということ。

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:雑学・その他 , 映画・映像

LV2「ニューヨークの錠前屋、街を行く」

ジョエル・コストマン著/常盤新平訳/グリーンアロー出版社/1857円

ニューヨークの錠前屋、街を行く
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著者自身が実際にニューヨークの錠前屋である。
つまりこの本はノンフィクション的小説で、錠前屋が街のいろんなところで経験するちょっと小洒落たエピソードを14編集めた短編集となっている。

硬質な文章で上手にニューヨークの空気を再現しているとは思う。ニューヨークというある種特殊な街に生きる普通の人々が活写され、錠前屋主観のその文章は、被写体との距離感が見事に取れている。でもなぁ、でもでも、なんつうかこういう「ボブ・グリーン的世界」ってちょっと古くない? つうか、飽きない? あ、ボクだけ? よくわからないけど、よく出来ているとは思うけどつまらなかった、みたいな印象。錠前屋、という職業にはとても興味が湧いたけど。

ちなみにこの頃ちょっとだけ常盤新平の著書・訳書にアタリは少ない、と思い始めている。なんだか「ぬるい」のだ。

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ノンフィクション

LV1「食の女」

渡辺由美子著/扶桑社/1400円

食の女(ひと)―食のプロと呼ばれる女性十人の生きる知恵
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副題は「食のプロと呼ばれる女性十人の生きる知恵」。
岸朝子、今田美奈子、本間るみ子などの著名な食の女(ひと)を生き方、そしてその半生をさらりとルポタージュした本だ。

読めばその人の大ざっぱな半生や考え方は知れる。それはそれでこの本の目的は達しているのだと思う。十人の中に無名な人もいるから、そういう意味では総花的にその人を紹介せざるを得ないのもわかる。字数が限られているという事情(雑誌の連載コラムをまとめたものらしい)もわかる。それらをわかった上で書くが、その総花的さ加減がやっぱり物足りない。手のひらでさらりと撫でるだけなら履歴の域を出ない。食の女ばかり十人インタビューしたのだから、あるテーマを持って(たとえばそれは「なぜ食なのか」でもいいし「男社会を生き抜く辛さ」でもいいし「プロ根性」についてでもいい)掘り下げて欲しかった。
求心力があまりなくて、さらりと他人の半生を読まされて、読み終わっての印象がほとんど残らないのが残念。

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 食・酒

LV1「科学鑑定」

石山いく夫著/文春新書/660円

科学鑑定―ひき逃げ車種からDNAまで
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最近読んだ「ボーン・コレクター」は科学捜査を駆使したミステリーだった。こういうのを読むと俄然「科学捜査」や「鑑定」についていろいろ読みたくなる性分のボクは、早速本屋に出かけていき、まさに読んで字のごとし、希望にピッタリの本をここに見つけたわけです。

が、一読するのに時間がかかったことといったら! 
なにせ専門的すぎる。漢字も多い。読み慣れない専門用語にキョトキョトしながら読み進めるが、その専門用語自体が画数の多い漢字で、そのうえ著者が熟語を多用するからなんか文章がめちゃめちゃ詰まった感じになって非常に辛かった。ボクに読解力がないといえばそれまでだが、学術論文でも専門書でもなく「新書」でしょ? もっと噛み砕いてよ、もっと平易に書いてよ、興味ある初心者に対してもっともっと易しく書いてよ…つうのは贅沢なのか? 内容は誠意あるものだったが、やっぱり読者に対しての親切に欠けると思う。

ちなみに著者名の「いく」は日かんむりに立。漢字検索でもなかったのでご勘弁。

2000年02月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:科学 , ノンフィクション

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