1999年08月
「フロスト日和」

amazon「クリスマスのフトスト」に続く著者の第二弾。
前作が面白かったからこの本も買ってはあったのだが、文庫とはいえ700ページ超の厚さになんとなくほってあった。
けど読んだらやっぱり面白いなぁ。名物刑事というかボンクラオヤジというか、とにかく個性豊かな主人公フロスト警部の忙しすぎる毎日を描いていて、単なる推理ものではない魅力を放っている。なにしろメインの事件以外にも別の事件が次々起こっていき、それとは別に内部資料、残業統計などのデスクワークもたまりにたまり……フロスト警部のみならず読者もその忙しい日々に翻弄され疲れ切っていく。この、読者の上手な巻き込み方もこのシリーズの勝因のひとつだろう。うまい。
第三弾、第四弾と訳が進んでいることを願っている。早く次が読みたい。
1999年08月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「永遠の仔」

amazonあまりの評判の高さに天の邪鬼になっていたんだけどやっと読んだ。
メールもたくさんいただいた。早く読め、と。こういうふうにせかされるのは初めてかも。それだけ多くの人を感動させたのですね、この本は。99年ダントツの名作と評価している書評も多いし。
で、感想は? と言われると……期待したほどではなかったかな、正直言って。
こんなふうに書くと「この本で感動しないお前の感性って!」とか言われてしまうのだろうか。
もちろんなかなかに感動はした。十分三ツ星だろう。丹念に描かれた心の傷と少年達の想い。読者の気持ちの根っこを主人公たちの心の中にしっかりと下ろさせるその筆力も見事だ。せつないしやるせないし美しい。ただ「魂を揺すぶる」的書評をたくさん読んだ後ではちょっと物足りなく思うのも事実。特に後半。うたいあげすぎている。ちょっと冗長の感がある。読者に伝わっているか心配になりすぎたのかなぁ。ラストなど特に。こうくるだろうなぁと思わせてやっぱりそういう結末なのだが、はっきり言葉にして説明しなくても読者には伝わると思う。ちょっと自己陶酔的になってしまったと思うのはボクだけ?
それと、しっかり二重三重のミステリーしているのだが、誰もこの本に複雑なプロットを望んでいない。中盤からは主人公達の魂の物語として読んでいるから、もう少し単純なミステリーにしてくれた方が良かったかもしれない。さらに「幼年期のトラウマ」という題材は少し飽き気味というのも個人的には、ある。
1999年08月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
「東亰異聞」

amazonあぁ、まだ「屍鬼」読んでいないなぁ、と思いつつ、文庫化されたこれを先に読んだ。
相変わらずの小野不由美ホラーだが、江戸の情緒が満天に残る異次元の東亰(とうけいと読む)の書き込みが素晴らしく、読者は「まだ夜が夜であった頃の大都市」へしっかりワープ出来る。さすがな描写力だ。ミステリーであり幽霊物でもあるのだが、そんなことより異次元東京の夜を著者と一緒に徘徊できる魅力の方が上だろう。
残念なのは「東亰」を舞台にした分だけ読者は最初からあまりミステリーと思っていないのだ。怪談的な物とミステリー的な物の中間な気分で読み進むから、ラストとかが逆に中途半端に思えてしまう。どうせなら舞台設定を本当の明治東京にすれば良かったのに、と思うのだが。
1999年08月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
「赤塚不二夫1000ページ」

amazonなるほどー、赤塚不二夫の天才さってこういうことを言うのだなぁ!と再納得できる本。
彼のめちゃめちゃ多い作品の中から和田誠が1000ページ分選び出したもので、「おそ松くん」「もーれつア太郎」「天才バカボン」「天才バカボンのおやじ」「レッツラゴン」「ギャグ・ゲリラ」から数編ずつ収録してある。
キャラの造形力がものすごいこともあるが、なによりその思考停止的展開力が素晴らしい。なんでそうなるの?的、なにも考えてないでしょ!的、そんなハチャメチャなのアリ?的な展開に呆然とすることしきり。以降のギャグ系はすべて赤塚のマネであると言われるのが納得できるその作品力。
「おそ松くん」あたりにはさすがに古さを感じるし、超真面目な昭和時代あってこそのギャグも多いし、冗長な作品も見受けられる。そういう意味でただ赤塚賛美するものでもないが、この人の凄さにまだ触れていない人はぜひ。入門編にはいい。というか、いまから「おそ松くん」「もーれつア太郎」あたりを手に入れるのも大変だろうから、まずこれからどうぞ、ってところかな。
1999年08月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:漫画
「買ってはいけない」

amazonいまや大ベストセラーですね。
企業が出している商品について添加物やら製品上の問題やらを暴き「おすすめできない」と断じた「週刊金曜日」人気のシリーズを一つにまとめたもの。広告を取っていない雑誌だからこそ出来たシリーズで(スポンサーから圧力がかからないから)、こういう草の根アンチテーゼ的情報はいままでメジャーになったことがないからそういう意味ではとてもいいことではないかと思う。こういう情報が一方で拮抗してこそ、民主主義国家なのだ。
が、そういう意味で、こういう本こそ無批判に読んでしまいやすいから注意が必要だ。アンチテーゼ的なものは耳に心地良いのだ。大企業が出している商品が「必ずしも正しくない」ことと同様に、この本が言っていることも「必ずしも正しくない」だろう。それを自覚した上で客観的に「こういう見方もあるのか」と冷静に読むべき本である。
この本の大きな主題は「疑え!」ということだと思う。ヒット商品を疑え。みんなが使ってるからって信用するな。CMも疑え。自分で自分の身を守る知識を持て。自覚を持て。…つまりは、この本の内容も「疑え!」なのだ。この本の主題を理解するならそういうことだ。我々はこうして成熟した消費者になっていくべき。「At Your Own Risk」こそ、消費の原点である(民主主義の原点でもある)。
1999年08月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310




