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1999年07月

LV5「女盗賊プーラン」

プーラン・デヴィ著/武者圭子訳/草思社/上1600円下1648円

女盗賊プーラン〈上巻〉
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インドのカースト制度の現実が肌に迫って感じられる、有名な女盗賊の自伝。

村八分、白昼のレイプ、犬以下の扱い、そして復讐のため盗賊へ…。プーランの半生が淡々と綴られていく。実際にあった話とはいえ彼我の人生の差をいろいろ考えさせられる一冊。文体的にも展開的にも特に際だった物はないからオススメかどうかと言われれば、うーん、だが、その事実自体の衝撃度はなかなかボクの中に重く残った。ただ、インドの投降制度がよくわからなくて最後の方はわりと冷めてしまったかも。
ノンフィクション好きで自分と全然遠い人生を読んでみたい方にはわりとおすすめ、かな。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝

LV5「コマネチ!~ビートたけし全記録」

北野武編/新潮文庫/705円

コマネチ!―ビートたけし全記録
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しばらく前に出た「新潮45別冊」の文庫化。

松本人志、今村昌平、古田敦也との対談や、映画「HANA-BI」が出来上がるまでのドキュメント(監督手法が面白い)や、吉川潮や中野翠という手練れが書くたけし論や、軍団によるたけし評とか、フォトアルバムや賞罰一覧、年譜など、目一杯「たけし」が浮かび上がる「雑誌」となっている。

対談もたけし論もおもしろいが、やっぱり要所要所で出てくるたけし語録が一番おもしろいし刺激的だ。こうして読んでいるとたけしって「過剰の人」ではなくて「省略の人」なんだな、と再認識。うーむ。

「おいらの好きな小説」という項で1位が「次郎物語」だったのを見てなんだか北野武がよくわかった気がした。実はボクも「次郎物語」が一番かも。ちなみにたけしの2位は「青春の蹉跌」。3位は「罪と罰」。洋画の1位は「フェリーニの道化師」(わかるー!)。洋楽の1位はビートルズの「ドン・レッミー・ダウン」(これまたわかる!)

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 映画・映像 , 自伝・評伝

LV4「柳生十兵衛死す」

山田風太郎著/小学館文庫/上657円下657円

柳生十兵衛死す〈上〉
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なにをいまさら、の有名本。
実は山田風太郎って読みたい読みたいと思いながら初読。文庫になったのを機に読んでみた、というわけです。

剣あり、能あり、250年のタイムトラベルあり、一休さんあり、足利義満あり、そして世阿弥に二人の柳生十兵衛あり…。
「奇想天外の大幻魔戦」というのはウソではなく、まぁ時代劇を現代のエンターテイメントで塗り直して見事に再構築した逸品なのでした。全体的に作者の淡白さが目につくし、ラストがどうもあっけないのが腑に落ちないし、後日談ももうちょっと読みたいと思うのだけど。くだらない、と言う人もいるかもしれないが、これはこれ。ちゃんと値段以上分楽しめた。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:歴史小説 , SF

LV4「双頭の鷲」

佐藤賢一著/新潮社/2400円

双頭の鷲
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二段組616ページの分厚い本。
実在のベルトラン・デュ・ゲクランという不世出の「戦の天才」を主人公にフランスの戦国時代というべきものを描いたエンターテイメント。

筋は面白いし読み応えもあるのだが、この著者、わりとはぐらかす。盛り上げるだけ盛り上げておいて「そこを読みたい!」という部分をはぐらかして飛ばしちゃう。読んでいる側にはストレスが残って最後まで本当のカタルシスが感じられないまま筋を追うことになる。しかも表現が少し足りない部分がある。これだけの大部を書ききった構成力はめちゃめちゃ認めるが、じゃぁ「大デュマの興奮と司馬遼太郎の面白さを足した書。自信を持って今年度のベスト1に推す」と北上次郎(目黒考二)が大絶賛するほど面白いかと言われれば、答えは否。

著者はまだ31歳。その事実には驚くなぁ。フランス史をエンターテイメントにしたのはユニークだし素材の選び方もさすが。人物造形もうまいし、筋の持って行き方も悪くない。でも、これだけの大部を時間かけて読んだのに読後感やカタルシスがイマイチなのはちょと痛い。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:歴史小説

LV3「メイク・ミー・シック」

山田詠美著/集英社文庫/419円

メイク・ミー・シック
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時間つぶしのために書店に入り題名が気に入って買ったのだが、短編集かなと思ったらエッセイ&写真集の文庫化だった。

山田詠美ファンにはたまらないであろう写真がいっぱい入っている。
ああボクは山田詠美ファンかも、と再確認してしまった。内容的には恋愛指南的エッセイが多い。ちょっと時代的に古いのが難だが、作者がやんちゃに書いている様が匂ってきて好ましい。一般的に恋愛指南的エッセイは愚劣な物が多くほとんど読まないボクであるが、山田詠美が書くとひと味違って感じられるから不思議だなぁ。

退廃、自堕落、享楽的…、そんな生活の中でしっかり地に足が着いていて流されない生き方。恋愛指南と別の面でなんだか参考になってしまった。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 写真集・イラスト集

LV3「決定版快楽温泉201」

嵐山光三郎著/講談社/1800円

決定版(とっておき)快楽温泉201
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「週刊現代」にグラビア連載していた温泉紀行が一冊になった。
写真もふんだんな実用書だが、あれを読んだことがある人はわかるだろうが単なる温泉紹介ではない。作者の視点がしっかりそこに根付いていてちょっと文学的ですらある。卓越した温泉人生論だ。

前書きに「私は大学を中退してどこかの山の湯の下足番でもやろうと考えていた。いまでも、私と同年代の湯守りに会うと『ああ、この人は私だったかもしれない』と思う」とある。『ああ、この人は私だったかもしれない』という感慨はボクの中にも常にあって、そういう感慨で温泉を見られる人の書く文章は普通以上にボクの中で響くのである。

本にまとめるにあたって「とびっきり8」という大オススメ温泉を抄出したのも感じが良い。どの温泉も結局気持ちがいいのだ、というような予定調和で終わっていないところが特に。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル: , エッセイ

LV2「TOKYO RESTAURANTS」

ZAGAT SURVEY/賃貸住宅ニュース社/1000円

zagatニューヨークなどでいつもお世話になっているザガットの東京版がついに出来た。ジバランの団長をやっている身としてはなかなかに複雑だが、冷静に考えて次のことを思う。

さすがだなと評価できる点は次の3つ。
労作であること。地区別索引、目的別索引、地図などが充実していること。コンパクトな外観であること。

それに対して全く評価できない点は次の3つ。
客の年齢層やレベルを徹底的に無視して平均点を取ったこと。5000円を高いと思うかどうかのレベルも合わさずどうやって評価するのだろう。20才のお嬢さんと40才のオヤジでは舌や雰囲気に対する印象もまるで違う。それらを無視して平均してしまったことで「ぴあランキンググルメ」とさして変わらない内容になっていると思われる。
二つ目は最新データとはとても言えないこと。ザガットのアンケート用紙を見る機会があったが、文中に小さく「最近一年の」とは書いてはあるが、記入者はそんなこと気にせず「いままで行った店すべてについて点をつける」であろう。まぁ表題に1999年版と書いてないのでいいのかもしれないが、10年前に一回行っただけという店を平気で書いている人がいっぱいいると思う。いいのか?
三つ目は同じくアンケート用紙で「評価基準がまるで定かでないこと」。適当に気軽に「あー、味は6点かな、雰囲気はそうね8点!」とかつけちゃえる。そんな適当な評価を人々から集めたとしてもその結果はいったい何かを語るのであろうか。

アンケート用紙もわりと業界系若手に多く流れており、レベルも金銭感覚もばらばら。まぁスノッブ版ぴあランキンググルメと思っていれば間違いはないだろう。でもまぁ労作だしコンパクトな電話帳がわりにはなる。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「デパートB1物語」

吉田菊次郎著/平凡社新書/660円

デパートB1物語
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帯に「デパ地下ファン、必読! シビアな商戦、泣き笑いのドラマ。デパート食料品売場の全貌と魅惑がここに!」とある。うーん、読みたくなるでしょ? ならない? でもまぁそんなに興味がわかなかったら読まなくてもいいかも。

作者は渋谷の「ブールミッシュ」という洋菓子店の社長で、彼の一人称で書かれているのが新書的ではなく面白いと思ったけど、内容的には一人称な分ちょっと中途半端になってしまった。
最終章の「世界の名店たち」がわりと個人的には興味深かったけど、それ以外はなんだかあり得る展開で、もっといろんな客との確執やら事件やらなにやらで盛り上げてくれる物とばかり思っていたボクはまるではぐらかされてしまった。総花的すぎる気がする。

でも、ドラマとかになるかもね、この題材。表題は魅力的だし。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「神が忘れた町」

ロス・トーマス著/藤本和子訳/ハヤカワ文庫/757円

神が忘れた町
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ミステリー。ロス・トーマスは初読だが「巨匠」なのね。知らなかった。

淡々と硬質でありながらどこかで甘い文章は破綻もなく安定感を持って結末まで導いてくれるが、読者と不思議な距離感がありいまひとつのめり込めないところがある。訳のせいでもあるのだろうか。

物語的にはアメリカの司法制度をちゃんと知らないとなんだかよくわからないところが多々ある。
元最高裁判事も冒頭でかなり魅力的なキャラとして出てくるわりには最後までそのキャラが爆発しない。犯人像にしても書き込みが足りないし、怖くもない。元弁護士のキャラも最後まで立ってこない。うーん。いまいちかも。

1999年07月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

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