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1999年05月

LV5「おじいちゃん 戦争のことを教えて」

中條高徳著/致知出版社/1400円

おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状
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全日本国民は刮目して読むべし! などと書くと右翼っぽいか。えーと、もしあなたがボクの言うことを少しでも信頼してくださっているのなら、絶対読んでください。っていうか、読め! 必読! 日本に少しでも愛があるなら、読め! いや、愛がない人こそ、読め!

正式題名は「〔孫娘からの質問状〕おじいちゃん 戦争のことを教えて」である。ある日、アメリカに住んでいる孫娘から著者のもとに手紙が届く。ハイスクールの歴史の授業課題で「身近な戦争体験者に話を聞く」というのが出て、おじいちゃんが経験した戦争についての細かい質問状が届くのである。これに著者は姿勢を正して真摯に丁寧にわかりやすく答えていく。戦争当時の日本人の考え方、空気、状況が実に細やかに著者の人生を通して書かれていくのだ。

で、これがまたまるで説教臭くなく、押しつけがましくもなく、実に達意の文章で書いてあるのである。著者の目を通して、もやもやしていた近代史が実にクリアに見通せるようになる。まぁ確かにこれは著者という戦争体験者の個人的意見ではあるのだが、ボクはこの意見を、歴史の捉え方を支持する。というか、いままでずっと疑問に思ってきたことがこの本でかなりクリアになったのだ。

自虐史観に陥っている日本人に、いまこそ読んでほしい達意の名著である。少なくとも、戦争とは何か、を考える始点にはなるだろう。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 教育・環境・福祉 , ノンフィクション , 児童・ティーンズ

LV5「ミア・ファロー自伝 去りゆくものたち」

ミア・ファロー著/渡辺葉訳/集英社/2500円

ミア・ファロー自伝―去りゆくものたち
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ボクはミア・ファローが好きである。
知らない人もいるのかな? 実に素晴らしい映画女優だ。どちらかといえば地味系。真面目系。で自伝を読む限りにおいて本当に地味で真面目で真摯である。でも。でもでも。結婚相手が派手なのだ。一人目がフランク・シナトラ、それからアンドレ・プレヴィン、そしてウッディ・アレン。あ、ウッディ・アレンとは長年に渡る同棲だけど。

で、シナトラやプレヴィンとのエピソードも興味深いが、なんといってもアレンによる性犯罪の赤裸々な記録が書かれているのがショッキングである。文章が静かで達意なのであまりワイドショー的にはなっていないが、十分扇情的。あら、結局告発の書だったの? と、そんなことをまるで期待していなかったボクはちょっと鼻白んだんだけど、個人的にはビートルズとのインドでの共同生活やアレンの監督手法が読めたのが特に面白かった。

ちなみに訳者は椎名誠と渡辺一枝の娘。労訳です。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 映画・映像

LV5「すべてがFになる」

森博嗣著/講談社文庫/714円

すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER
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実によく出来たミステリー。
出だしはなんだか絵空事っぽくてうまく馴染めなかったが、中盤から一気に目が離せなくなる。

簡単に言うとコンピューター系ミステリーなのだが、これが面白いのだ。ショッキングな仕掛けと魅力的な人物造形、謎解き。いままで著者の本は読んだことがなかったが、これから続々文庫化されるそうなのでじっくり読み続けてみようと思う。
ただ、主人公のひとりである女子学生の造形だけはちょっと下手かも。そこが惜しい。なんとなくその下手さ加減が真保裕一の初期を思い出させる。こういう女性キャラって、実際書くのが難しいとは思うんだけど、他のキャラ造形が見事なだけにマジ惜しい。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV4「味覚の探求」

森枝卓士著/河出書房新社/1700円

味覚の探究
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4年前の出版物だが、初読。

著者の本はいままでに何冊か読んでいるが、これが一番読んでいて楽しく面白かった。
食に関するルポルタージュで、旨いの基準を探ったり、食べる仕事の本音を語ったり、美味しいとはなにかをさぐったり、とても興味深い掘り下げが随所にある。労作だと思う。こういう本を書くのは大変だろうなぁと素直に感じる。著者が素直に語っているからだろう、内容的にいろんな本音がかいま見られて、共感するところも多かったし、へーと驚くことも多かった。
あぁ、なんだか小学生の感想文みたいになってしまった。いや、なんだかちょっと他人と思えなくて。なんとなくですけど。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV4「おたんこナース」全6巻 

佐々木倫子著・小林光恵原案/小学館/各999円

おたんこナース (1)
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あるきっかけがあって、久しぶりに漫画を単行本でぶっ続けて読んだ。
昔はそれなりに漫画に凝ったのだが、この頃時間がなくてずっと離れていたのだ。でも、やっぱり面白いな。日本の漫画は実によく出来ていることを再認識。この「おたんこナース」は綿密な取材と構想で非常にしっかり作ってある人気シリーズ(今頃読んだのかって言うなー)。要所要所のギャグも面白いし、なにより作画が秀逸である。

難しいところだが、なんというか、こういう題材って人生語りやすい部分がある。なんだか、シリーズ初期の軽く情けないノリで最後までずずずっと引っ張っていってくれたらもっとよかったな、とちょっと思った。人生語ったり説教臭くなったりしないで。贅沢かもしれないけど。それだけ。
あ、ちなみに定価の999円って「救急」とかとかけている? いや、なんだか珍しい定価なので。漫画単行本では普通なのだろうか?

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:漫画

LV3「さらに、美味しい方程式」

野崎洋光著/文化出版局/1600円

さらに、美味しい方程式―「分とく山」野崎洋光が明かす
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名作「美味しい方程式」の続編。
前作であそこまで完璧に方程式化している分、続編はどうしても細かく各論的になってしまい、なかなかつらい。ものすごく整理してくれた前作に比べて、シンプルさが壊れてしまっているのである。文字数も思ったより多くて、前作のシンプルさを愛していた者としては違和感がある。

内容的には「美味しい二次方程式」といった感じで、より難易度が高くなっている。それはいいと思うのだが、難易度が高い部分を強烈に整理してくれた前作との差がその分明確になりすぎてしまったかもしれない。

それと、どこに何が書かれているのかがわからないから(目次のつけようがなかったのかもしれないが)、あらこれは1ページ目からしっかり読む暇がないと読めないな、と思ってしまってちょっと気が重くなるところが難である。各論的に展開するなら、方程式ごとに見出しをつけて、目次かなにかでわかりやすくしてくれないと、山がどのくらいの高いのかがわからない。そこもちょっと残念だ。いっそのこと「チャート式」参考書的にするとか。

逆に言うと、腰を据えてじっくり読み出すと、かなり面白い。台所に立って実験してみたくなる。そこらへんはさすが。
次は画期的な「応用問題集」「練習問題集」を期待する。なにしろこちとら受験世代にて、方程式を覚えたら問題集がやってみたくてしょうがないのだ。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 実用・ホビー

LV3「熊谷キヨ子最後の旅」

ねじめ正一著/文藝春秋/1429円

熊谷キヨ子最後の旅
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「熊谷突撃商店」の続編。
前作からもう2年半も経つのか、と驚いてしまうくらい主人公のキヨ子の印象は強く心に残っていた。だからすっと物語に入れる。

基本的にはノンフィクションで、女優熊谷真実・美由紀の母の最期をキヨ子の妹・佐智子の視点からじっくり追っている。
やり方は成功していると思うし、前作をきれいに納めたかったのだろうということもわかるが、前作ほどキヨ子の魅力が光っていないのがどうしても弱い。前作に使用したエピソードでもいいから、若い時のキヨ子の魅力をもう一度描き、読者にカタルシスを感じさせながらストーリーを進めて欲しい、と思った。直球だけど、コースもスピードも甘い、そんな感じ。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 小説(日本)

LV2「それでも真っ当な料理店」

田中康夫著/ぴあ/1500円

それでも真っ当な料理店
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前作「いまどき真っ当な料理店」の最新版。なかなか粘着質な批評で思わず「真っ当ではなくて納豆か」と思ったりしたりして(ツマラン!)。

相変わらず言いたい放題であり、その視点の中に共感できるもの、納得できるものがあるのも認める。
が、ちょっとイヤな部分も目につく。例えば、シェフなどの私生活的裏話をして、それをもってそういう姿勢でやっている店もダメ、みたいな評価の下し方。そのスタンスは頷けない。また、ある項で「僕が来たから力を込めて作ったんだと友人に言われた」みたいな記述が出てくるが、著者ならそれは当たり前である。そういうことが他の店でも十分起こりえ、また実際に起こっていることにどのくらい気がついているのであろうか。基本的に著者と一般人とでは出てくる料理は違うと思った方がいい。なのにどこをもって「真っ当」の判断をするのだろうか。わからない。
シェフの腕がいい、とかの判断は出来よう。でも「真っ当」となるとまた別ではないか。辛口批評が存在しない日本においてこの本の功績は認める。が、前作よりも、ちょっと一般人の「真っ当」と著者の「真っ当」の視点がズレ始めていると感じる。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV2「新潟はイタリアだ」

柳生直子著/ネスコ/1700円

新潟はイタリアだ―躍る食材テンコ盛り
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副題「躍る食材テンコ盛り」。
新潟の食を「イタリア」に見立てて詳しく深く掘り下げている本で、内容的には興味ある人には面白い部分も多い。新潟を見直すにも役立つ。行ってみたくなる。

ただ、惜しいのは「レポーター文体」だ。
きゃーきゃー騒いでいるテレビのレポーターがそのまま紙の上に乗り移ったかのようである。なんというか、バラエティ文体とでも言うのか…。まぁ実際に著者はBSN新潟放送のレポーターなのだから、それが個性だと言われればそれまでなのだが、読んでいてちょっと辛い部分が多かった。マイクを筆に持ち替えてここまで書くのはかなり大変であったと推察させられるのだが、全体にもう少しだけトーンを抑えて欲しかったかも。新潟に行ってみたくはなるのだが…。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 ,

LV0「電脳暮し」

水上勉著/哲学書房/1900円

電脳暮し
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高齢にして原稿用紙をコンピューターに換え、電脳の恩恵に預かりだした水上勉がその顛末を書きつづっている。

当然読者はそこに著者なりの電脳生活への考え、想い、思想、人生観への影響、などを期待する。
が、すべてはもろくも裏切られるであろう。普通すぎる。思わせぶりにこんな題名をつけないで欲しい。字のサイズがめちゃくちゃ大きいのは許容するが(逆にDTP的シズルがある)、この内容と字数で1900円は暴利だと思う。高すぎる。内容も繰り返しが多く、うんざりする部分が多い。著者が悪いのではない。編集者が悪いのだ。そう思う。

1999年05月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

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