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1999年04月

LV4「あほらし屋の鐘が鳴る」

斉藤美奈子著/朝日新聞社/1500円

あほらし屋の鐘が鳴る
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書評界で話題の人。初読。ちなみに斉藤澪奈子女王様とは別人。

なんというか、中野翠みたいな鋭利な刃物。
ただ、甘粕りりこやナンシー関、ひいては山本夏彦も少し入っている。そこらへんが著者の人気がある所以だろう(マネをしているという意味ではなくて、もとからそういうキャラであるという意味)。かなり辛口だけど自己満足的でなく実にわかりやすい分析が魅力的。サルでもわかる論理構成なのに、とっても鋭利。なかなか難しい技なのだ。

本書に限っていえば、女性誌の分析が面白い。門外漢のボクでもなぜか膝をうって納得してしまう。そのくらいは分析がツボをついている。あ、「もののけ姫」に対する考察も非常に共感できるところだったな。次は長い書評を読んでみよう。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV3「五体不満足」

乙武洋匡著/講談社/1600円

五体不満足
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大ベストセラー。
本屋に行くと平積みドサドサ。テレビにも出演してどこでも常に乙武スマイルで、それはそれでとっても喜ばしいことだと素直に思う。

両手両足がない著者が書いた半生記なんだけど、愚痴らない、嘆かない、ハンデを特徴と考える、みたいなプラス思考かつマイペースで生きていく様がストレートに書かれている。大学生なのに非常に文章もうまい。達意の文章だ。なのに読んでいて感じるこの違和感はなんなんだろう。なんだかピンとはりきったピアノ線みたいな危うさを感じる。がんばりすぎてない?

身障者ということで暖かく批評するのは簡単だが、本当にこの本から著者の半生が見えてくるだろうか? 
なんというか体臭・体温みたいなものが伝わってこない。内にこもりがちな身障者達へのメッセージでもあるのだろうが、ただ笑顔なだけでは「特殊な性格な例」として片づけられてしまわないとも限らない。そりゃめちゃくちゃ立派よ。立派な本人、立派な家族、立派な周囲、の例なんだけど、そこに読者側として入り込む余地がない。共感しにくい。想像はできるけど。この「想像はできる」という部分をもうちょっと書き込んでより実感をもたせてくれたら、と贅沢を思う。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝

LV3「愚連」

中場利一著/講談社/1600円

愚連―岸和田のカオルちゃん
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副題が「岸和田のカオルちゃん」。

「岸和田少年愚連隊」の超魅力的脇役カオルちゃん(男)が出ずっぱり。愛読者にとっては待望の「カオルちゃん特集」なのである。すげーうれしー。とにかくうれしー。
ただ、こうしてカオルちゃんの話をぶっ続けて読むと、カオルちゃんはやっぱり脇役でこそ、なのだなぁと思ってしまうところはある。他の話があって、たまにカオルちゃんがちらっと出てくる…その程度がほどがよいのかも。ちょっとTOO MUCHなのだ。表現もオーバーすぎてちょいとついていけない。笑えるんだけど、もうひとつ哄笑できない感じ。

著者の文章は大好きなのだが、ちょっと芸風を変えて違うテーマで書いた方がいい気もする。とはいえリクエストが多いのだろうなぁ。カオルちゃんはやっぱり魅力的だしなぁ。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV3「憂鬱な希望としてのインターネット」

村上龍著/メディアファクトリー/1400円

憂鬱な希望としてのインターネット
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「人間はなんでこんなにコミュニケーションしたがるのだろう」という実感はボクにもある。実質的には妻や子供とのコミュニケーションだけで満足している面もあるのだが、こうしてホームページやら何やらで「さもしく」「憂鬱に」コニュニケーションを広げようとしている。
そして、インターネット上でのコミュニケーションが増大すればするほど、実生活上の家族以外の人とのコミュニケーションが面倒になっていっている。人間のコミュニケート量は上限があるのか? コミュニケーションにも満腹中枢があるのか? でも満腹だけど、食欲はあるぞ。この感覚はどうなっているんだ?

人間という存在はコミュニケーションそのもの、と考えるならば、インターネットは素晴らしい道具だ。
なんやらかんやら文句を付けてこの道具を使おうとしない人たちはコミュニケーションということを軽視している。ただ、満腹だけど飢餓である、というある種の病気にかかりやすくはある。そこらへんが著者にとっても「憂鬱な希望」なのかもしれない。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:IT・ネット , エッセイ

LV1「貧乏だけど贅沢」

沢木耕太郎著/文藝春秋/1524円

貧乏だけど贅沢
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著者がテレビに出ないのは正解である。
だって紙上対談ですらこんなに面白くない。アドリブの人ではないのだ、沢木耕太郎は。これはたぶん対談相手のことを調べすぎていることも一因だ。対談に際して準備しすぎ。著者自身も「納得するまで相手の作品を読んだり見たりしたうえでないと安心してその人に会うことができない」と書いている。うーん…それでは対談でも対話でもなくてインタビューだろう。

内容は「旅をめぐる対談集」といったところ。
井上陽水、阿川弘之、高倉健、群ようこ、田村光昭など、魅力的な人選なのだが…。対談者のことはいっぱい調べているかもしれないけど、著者自身はわりとワンパターンなしゃべりだから、なんだか読んでいてつまらない。インタビューでもない、アドリブ的な対談でもない、中途半端さ。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 ,

LV1「戦争論争戦」

小林よしのり×田原総一朗著/ぶんか社/1500円

戦争論争戦―小林よしのりVS.田原総一朗
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田原総一朗の「仕切能力だけで論を展開する技術」が白昼のもとにさらけ出されてしまう様がかなり恥ずかしい一冊。

自分が展開したくない方に話が行くと、「それは違う!」と大声で発言を遮ったり話題をめちゃ強引に変えてしまったりする。その技術に乗せられてしまう小林よしのりはオコチャマに見えてしまうくらい人が好い。いや、わざとでも乗せられとかないと単にケンカになるだけか…。田原総一朗は別に好きでも嫌いでもないが、誰か言ってやれ、大声戦法で議論に勝とうとしている時点でそれは戦争肯定なんだ、と。声を使うか武器を使うかの違いだけじゃないか。

内容的には近代史を勉強し直したくなる一冊、ってところかな。まだボクは戦争に対する自分の意見が確立していないから(そろそろ確固たるものを持たないとなぁ)、そういう意味では参考になった。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 対談

LV1「社交界たいがい」

山本夏彦著/文藝春秋/1429円

「社交界」たいがい
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山本夏彦が「文藝春秋」や「諸君!」に掲載した文章を集めたもの。

週刊新潮の名物連載「写真コラム」と同じネタがものすごく多いのだが、文字数を削りに削りまくった新潮連載の方がずぅっと面白い。長く書くとつまらない。なぜだ? やっぱり老人(失礼!)のお説教のたぐいは簡潔な方がいいからだろうか。長いと妙にダラダラするのである。

ボクは山本夏彦が大好きで常々応援しているが、なんというか、この本はもうひとつでしょう。あ、「山田正吾」を知ったのは良かったな。うん、良かった。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV0「君等の人生に乾盃だ!」

山口瞳著/講談社/1700円

君等の人生に乾盃だ!
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95年に亡くなった山口瞳の「新刊」である。
というか、編集者よ、頼むからこんなもの出すな。サントリーの広告に書いたものを含めていろんなところに掲出した文章から警句・名言と言われそうなものだけ短く引っ張ってきただけのもの。帯に「スピーチ、贈る言葉に最適」とある。笑止千万。

というか、いくら山口瞳ファンだからって、こんなの買うなよオレ。山口瞳全集まで持っているのに。なんというか、本屋で山口瞳という背文字を見ただけで舞い上がって買ってしまったんだけど、こうして部分部分だけ抜き出したものを読むと、これはボクの好きな山口瞳ではない、という苦い後味が残るだけ。著者も草葉の陰で泣いておろう。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

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