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1998年08月

LV5「くっすん大黒」

町田康著/文藝春秋/1429円

くっすん大黒
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パンク歌手「町田町蔵」が書くぶっとびの純文学。
漫画とロックとTVドラマのスピード感を持った文体で無意味なる倦怠を突っ走る出色の現代文学。読んでいて映画「ストレンジャー・ザン・バラダイス」を思い浮かべた。あの倦怠感が紙面にしっかり定着しているのだ。そして連続する語り。生活・精神にメリハリがなく気分で流れていくイマの気分がその連続語りできれいに切りとられていく。

表題作は亀の爆発から笑い転げるまでのイメージが鮮烈だし、表題作より面白い「河原のアパラ」もラストの爆発が強烈な印象を残す。あー、面白かった。いけるじゃん。文学でもロックが出来るじゃん。そんな感じ。評判は聞いていたんだけどようやく読めた。お気に入りのひとりになりそうである。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV5「サラリーマン転覆隊が行く!」

本田亮著/フレーベル館/上下各1600円

サラリーマン転覆隊が行く!〈上〉こいつら日本で一番、過激でヘタなカヌイスト達。
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ある会社のサラリーマンたちが日本の様々なる川をカヌーで下っていくお笑いカヌー紀行である。

ロードムービーのような臨場感がありいつのまにか読者は登場人物たちと一緒に泣き笑いをしながら読む続けることになる。全体に非常におもしろい。これは著者のおもしろ文体と、上手なデフォルメによるものが大きいと思う。

ただボクは下巻の北山川の項のところでのあまりの無反省ぶり・脳天気ぶりにちょっと気分がしらけてしまった。
同じトーンで書き続ける狙いはわかるが、落ち着く所は落ち着かないと読んでいる方はなかなかつらい。それと、サラリーマン、サラリーマンとあまり強調しなくても十分面白い。なにか最後の方は説教くさく聞えてくるのが惜しいところ。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル: , スポーツ

LV5「どつきどづかれ」

中場利一著/徳間書店/1600円

どつきどづかれ―岸和田ケンカ青春記
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今月は中場利一を2冊読んだ。
クスリで著者が捕まってしまい「もうチュンバを読めないのか!」と嘆いたボクであったがなんとか新作を出してくれ、それだけで幸せ気分。そのくらいは著者が好きである。

副題は「岸和田ケンカ青春記」。
岸和田3部作の外伝みたいなものだ。岸和田シリーズのファンにとってはたまらないエピソードが続く。今月もう一冊読んだその3部作の完結編は父親のことを書いたせいかちょっと歯切れが悪いのだが、これは大丈夫。チュンバ節がしっかりよみがえっている。ただ厳しく言えば、昔より考えオチみたいのが少し多くなったかな。しょうがないんだけど。

これからもちゃんと書き続けて欲しい作家のひとり。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , 自伝・評伝

LV4「魔性の子」

小野不由美著/新潮文庫/552円

魔性の子
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「十二国記」の外伝が新潮文庫から出ていたとは知らなかった。メールで教えてくれなかったら読まなかっただろうなぁ。

内容は…「十二国記」だから面白くないわけがない。文句なし。というか「十二国記」ファンには感涙もの。
ただ、これ「十二国記」を読んでない人が単独で読んでわかるのだろうか。充分面白いとは思ってくれるだろうけど内容的にイマイチ納得がいかないままに終わるのではないだろうか。新潮文庫のための書き下ろしらしいが、なんだかそこがとても気になった。
よい子のみんなは「十二国記」を全部読んでから読みましょうね。ゾクゾクが違います。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV4「JAZZオーディオ快楽地獄ガイド」

寺島靖国著/講談社/1800円

JAZZオーディオ「快楽地獄」ガイド
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ああ、ずいぶんと冷めたはずのオーディオ熱が再燃しそうだぁ! 感想終わり(わからんて!)。

いやいや、これを読むとオーディオにのめり込むことがどれほどおそろしくも哀しいものかがよくわかります。
そのうえオーディオの奥深さ、再生芸術の凄さが臨場感を持って体感できるから「オーディオってさぁ結局ライブにはかなわないんじゃないの〜」とかほざいているオーディオ無知人間に読ませてやりたい本でもありますね。それに、なかなかオーディオの表現って難しいのによく書けているよなぁ。

ボクは著者のジャズ本をいろいろ読んでいるから彼の偏見的毒舌は笑って読めるんだけど、著者の本これが初めての人にはちょっと鼻に付くかもしれません。前半はなかなかの名著。後半はちょい散漫。前半のみで終わったなら三ツ星。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:音楽

LV4「岸和田少年愚連隊~望郷篇」

中場利一著/本の雑誌社/1800円

岸和田少年愚連隊 望郷篇
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「岸和田少年愚連隊」3部作の完結編である。
暴力と笑いバリバリのこのシリーズであるが、この完結編は父親のこと・家族のことを書いたせいかちょっと歯切れが悪い。おなじみの登場人物の幼少期やら小学生の頃の著者の姿が読めて面白いことは面白いのだが、なんかひとつ抜けきれていないところがあるのが残念。まぁ気持ちはわかるし、こういう傑作シリーズの完結編が多少ウェットになるのもわかる。収め方としてそっちの方が落ち着く場合もある。でも、このシリーズの場合は最後まで暴力と笑いバリバリで駆け抜けきって欲しかった。あの破天荒なまでの前2作の抜け方がない。うーん、ちょっと残念かな。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , 自伝・評伝

LV3「密告」

真保裕一著/講談社/1800円

密告
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元オリンピック候補の警察官に降りかかった密告者の汚名。警察組織の腐敗を描く長編である。

相変わらず真保裕一は読ませる。面白い。
が、これに関してはちょっと読後感が悪すぎる。それに主人公の行動がいまいち読者として納得いかないのが難だ。
例えばゴダードの本に出てくる主人公もおバカな行動をとるけど、どこかで納得がいく。それは人物造形の違いだろうか。いや、ちょっとしたセリフの違いなんだろうな。とにかくカタルシスがあまり感じられず、読んでいる間も読後もなんだか気分がすぐれなかった。惜しい感じ。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV3「時のかけらたち」

須賀敦子著/青土社/1600円

時のかけらたち
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ボクの愛する須賀敦子が生前にいろいろな所に残した小文を集めたもの。
もう本当に最後の作品集かもしれないし相変わらず文体は静かで美しいからほめちぎりたいところではあるが、他作に比べて内容的にイマイチ質が落ちると思う。どこか散漫でまとまりきっていない印象を受けるのだ。
彼女自身作品集にしようとしなかった作品群かもしれないから何ともいえないが、もう少しこなれたものを読みたかったなぁ、最後の作品として。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV2「見知らぬ妻へ」

浅田次郎著/光文社/1500円

見知らぬ妻へ
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おーい、浅田次郎さーん、どこ行っちゃうのー!と叫びたくなる一冊。

「鉄道員」の流れを汲む泣かし短編集なのだが、泣かしってこんなに安売りしてしまっていいの?となんか居心地が悪くなる部分がある。時代的にこういうものが求められ、また、著者も求められるままに必死で書いているのだろう。ボクがケチつけることもないのだが、なんというか、その、筆が荒れないだろうか。

歌がうまい歌手がそのうまさを誇示した歌い方をするようになると、聴いている側としては鼻につきだすものである。ビブラートをきかせすぎたりすると歌が安くなっていく。で、その安い癖は簡単には取れなかったりするのだ。
なんかこの頃の著者はそんなことを思わせる。いくつかはとてもいい短編はあったし、涙するものもあった。でも、浅田ファンとしては物足りない。というか、そっちにあまり行って欲しくない思いである。個人的に。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV1「懐石料理の知恵」

串岡慶子著/ちくま新書/660円

懐石料理の知恵
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懐石料理についていろいろ知りたいとずっと思っていたので、新書判で手軽に知識が得られるこの本は最適だった。通勤途上の電車で読めるからね。とにかくその精神、しくみ、さまざまな茶事などがギュッと詰め込んであるので資料としてはなかなかいい。

が、詰め込もうとした分だけ読みづらい。
新書にするのだったらもう少しイイタイコト・伝えたいことを絞ってやさしく書いてほしいと思う。あれもこれもと(グラフなどの資料も含めて)言及しすぎている。捨てるところは捨てて、ボクみたいな初心者でもその根本的精神にじっくり触れられるような仕組みにしてほしかったと思う。贅沢かな。

1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

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