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1998年05月

LV5「不実な美女か貞淑な醜女か」

米原万里著/新潮文庫/514円

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か
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同時通訳って職業をいままであんまり意識したことがなかったけど、この本を読んでからはかなり意識して通訳を聞いてしまうと思う。ロシア語通訳としては第一人者でありニュースショーなどでコメンテーターもこなす著者の初エッセイで95年刊。ボクは今回初めて彼女を読んだ。

前半は初エッセイということもあるのかかなり肩にチカラが入っておりちょっと読みにくいが、ほかの同時通訳者のエピソードなどをちりばめた中盤以降かなり快調に読み進める。
同時通訳という職業の難しさなどを実例に即して読んでいるうちに言葉というものの摩訶不思議さまで突っ込んで理解されてくるあたりがなかなか上手。語り口も軽くなく重くなく素晴らしい。こういう新しい世界を覗かせてくれる本は好きです。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV5「私のひめゆり戦記」

宮良ルリ著/ニライ社/1236円

私のひめゆり戦記
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沖縄戦の第三外科壕、今のひめゆりの塔がある場所で奇跡的に生き残った著者の手記である。

沖縄出張の予定が入ったボクは沖縄戦についてあまりに知らないのを恥じて、まずこの本を読んだのだが、途中つらくて読めなくなるところが数カ所。淡々と綴ってある分だけ文章の意味は重く心にのしかかってくる。もし手に入ったらぜひ読んでほしい本だ。

ただ、これを読むとわかるのだが、彼女らは立派な戦士であった。女学生だからということで後生の人がお涙頂戴的に「ひめゆり」などと名を付けてたたえたことについてはちょっと違和感が残る。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 自伝・評伝 ,

LV5「初年兵の沖縄戦記」

仲本潤宏著/那覇出版社/1000円

初年兵の沖縄戦記
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第二次世界大戦の沖縄戦で戦った兵隊さんの手記。負傷しながらほぼ奇跡的に沖縄南部戦線で生き残った初年兵の戦記である。淡々と事実を綴っているが、非常に感動的。もちろん文章を生業としている著者ではないのでかなりこちらの想像をたくましくしないといけない部分はある。が、実体験の迫力がそれを補って余りあるのだ。
こういう本を読んだからって「戦争はいけない」などと大声で叫ぶ気はない。ただ、こういう汚辱にまみれた戦争の現場を生の声で聞いておくのは戦争の次の世代である我々の義務でもあるかな、と思う。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 自伝・評伝 ,

LV4「ひめゆり教師の手紙」

玉代勢秀文・玉代勢秀子著/ニライ社/1236円

ひめゆり教師の手紙
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第二次世界大戦の沖縄戦で、「私のひめゆり戦記」の著者である宮良ルリなどと同じ壕にいて女子学生などを指導した教師・玉代勢秀文。宮良ルリと共にガス弾からは奇跡的に助かったがその後消息を絶ったこの教師が宮崎に疎開した妻に送り続けた手紙を中心に、妻がその想いを綴っている。
「私のひめゆり戦記」や「初年兵の沖縄戦記」などと比べるとどうしても逼迫した感が薄いのだが、切々とした想いが静かに伝わってくる。沖縄戦の現実を外から感じることが出来て、これも必読だろう。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 自伝・評伝 ,

LV4「平和への証言」

沖縄県立平和祈念資料館編/1000円

ひめゆり平和祈念資料館公式ガイドブックひめゆりの塔から東に数キロ。玉砕地に平和祈念公園があり、その中の資料館の公式ガイドブック。
「ひめゆり平和祈念資料館公式ガイドブック」と同じように証言がたくさんおさめられている。
こちらの方が大人の文章が多く長い手記が多いので読みごたえがある。宿に帰って熟読したが、腰が抜けそうな迫力であった。丁寧に作られておりそこらのおざなりのガイドブックとは一線も二線も画す出来である。これも涙なしでは読めないもの。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 ,

LV3「ひめゆり平和祈念資料館公式ガイドブック」

平和祈念資料館編/1000円

ひめゆり平和祈念資料館公式ガイドブック「私のひめゆり戦記」「初年兵の沖縄戦記」「ひめゆり教師の手紙」などをテキストに、ボクは沖縄戦の跡を実際にたどった。
まずひめゆりの塔に行き、同じ敷地にある資料館に入ったが、ここの公式ガイドブックがとても良く出来ていたのでここで紹介する。ひめゆり関係だけでなくいろいろな証言がいろいろな人から集められていて、貴重な資料になっている。
まぁ、涙なしでは読めないガイドブックというのも珍しい。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 ,

LV3「沖縄 平和の礎」

大田昌秀著/岩波新書/640円

沖縄 平和の礎
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沖縄戦関係の本をいろいろ読んだまとめとして、現知事であり沖縄戦では学徒動員されて戦った著者による県を代表する訴えを読んだ。
沖縄戦とはなんだったのか、基地問題とはどういうことか、21世紀の沖縄はどうなっていくのか…。
分断された知識がこれを読むことですっきり整理されボクの心の中におさまった感じである。やはり現職であるだけにちょっと演説臭いところはあるのだが、よくまとまっていると思う。マスコミの東京発想については阪神大震災で身に染みているが、ボク自身あまりに沖縄については他人事でありすぎたことを反省している。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際

LV3「テレビジョン」

ジャン=フィリップ・トゥーサン著/野崎歓訳/集英社/1575円

テレビジョン
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著者5年ぶりの新作。
「浴室」「ムッシュー」以来の文体はそのままに今回は著者にしてはかなりの長編となった。

ある日テレビを見るのをやめたある男の物語であるが、テレビをやめることで逆にテレビという概念に縛られていく様が面白い。テレビがあるからテレビを消したときの安息があるのであり、テレビをなくすと逆に安息がどんどん奪われはじめるのだ。
この本はテレビをはじめとする「受け身媒体」と現代人との関わり方を現代の生活の中で丁寧に描きこんでおり、その丁寧さが読者を退屈させることを除けばなかなかの傑作である。特徴的な垂れ流し文体も主題とよくあっていたが、ちょっと読みづらいのが難。著者を好きな人にはたまらない本かもしれないけど。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV3「クリック」

佐藤雅彦著/講談社/1300円

クリック―佐藤雅彦 超・短編集
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超売れっこCMプランナーである著者の初・超・短編集。
CMというのは15秒30秒の勝負ゆえ、著者にとっての表現法として「超・短編集」はうってつけであったろう。63編それぞれに小さな発見をちりばめてあっておもしろい。映像的お遊びを活字でやってみた、という趣のものも多い。
が、ちょっと玉石混合でもある。音楽がのったり映像がのったりしたら面白いんだろうけどなぁ…が多いのだ。でも読者の脳みそをちょっと刺激(クリック)する素材集としては良く出来ていると思う。たぶんそういう目的で作られていると思うし。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV2「お受験」

片山かおる著/文藝春秋/1333円

お受験
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前から興味があった世界だが、娘が幼稚園に入園したのを機に「そろそろどんな世界なのか読んでおくか」と、読んだ。

お受験とは幼稚園・小学校受験を主に言う。娘にさせる気はないが、これを読んでもっとさせる気をなくした。まったくもって異様な世界である。ただ、親の見栄だけと言いきれない事情も読んでいるうちにわかってきて身につまされるのも確か。まぁとりあえずうちは「出遅れた」ということだけはよくわかったなぁ。いいんだけど。

ええと、本としてはなかなか良く出来ている。お受験失敗組の著者がいろんなお受験成功者にインタビューしてまとめているもので、いまの日本のプチブルの現状がよく見えてくる。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV1「全国380軒 ラーメン鑑定書」

米塚功著/読売新聞社/1200円

全国380軒 ラーメン鑑定書
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労作である。
全国380軒のラーメン屋を食べ歩きその味を5段階で評価している。

ある種「どんな店でも誉めまくるマスコミへのアンチテーゼ」であると思う。その姿勢はボクとかなり近いところにあるし、独断具合も好きであるが、ちょっと筆圧が強く読者が引いてしまうところがあるのが残念。ここまでするなら筆を押さえて冷静に書いた方が効果的であったと思う。後半の「ラーメン紀行」なる紀行文も期待したほどではなかった。惜しい感じ。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「カスハガの世界」

みうらじゅん著/講談社/1600円

カスハガの世界
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「週刊モーニング」連載時から大変楽しみにしていた読み物。
カスハガとは「カスのような絵ハガキ」のことで、とにかく異様に腰が砕けるカスハガが満載されている。コンセプトや良し。発見や良し。非常に好きな世界である。
ただ、読み終わって、どうしても「は?それだけ?」というカスな気分に陥る。もっとなにか突っ込みようがないのだろうか……まぁないか。というか、カスの腰砕けを説明したりエッセイにしたりするのも、本格的カスとは言えないだろう。仕方ないのかも。
とにかくカスな本だが、そういうコンセプトな本なのだからカスでいいや。

1998年05月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:写真集・イラスト集 , 雑学・その他

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