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1996年06月

LV5「アニマル・ロジック」

山田詠美著/新潮社/2500円

アニマル・ロジック
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前半は大傑作、後半は普通の小説である。
一人称でも三人称でも神の視点でもない新たなる視点を創作・導入したうえに、日本人が書いたとはとても思えない(読みながら何度も「これって山田詠美の本だったよなぁ」と表紙を見直してしまった)切り口でシャープに展開していく前半部に比べて、後半はちょっと「おセンチ」になってしまったのが残念。
読者は「ここまで来たならもうどうにでもして!」ともだえているのに、妙にまとめてしまった印象。惜しいなぁ。読者はそこまで念押ししなくても理解できるんだけどなぁ。空前絶後の大傑作を目の前にしていたのに……。でもね、やっぱり三ツ星クラス。前半部を読むだけでも買い。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV5「英語になったニッポン小説」

青山南著/集英社/1800円

英語になったニッポン小説
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吉本ばななの「キッチン」がアメリカでよく売れたらしい、というのは知っているよね。で、その英訳をまた邦訳してみるとその原作との違いに愕然とするわけ。ばななだけでなく春樹も龍も詠美も誠も……。

当代随一の翻訳家がそれを分析したこの本はそういう読み比べだけでも面白いうえに「翻訳」の実際が浮き彫りされて非常に興味深いものがある。よくできた文化比較論にもなっている。
内容もショックだけど、「日本の今を代表する作家達」として海外に紹介されているラインナップもショック。小林恭二だの津島佑子だの李良枝だの……代表するかなぁ?

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV5「星に憑かれた男」

ウィリアム・エチクソン著/小林千枝子訳/青山出版社/1800円

星に憑かれた男
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フランスはブルゴーニュ地方の三ツ星レストラン「ラ・コート・ドール」のシェフ、ベルナール・ロワゾーの半生記。

ただヨイショするだけの伝記物ではないところが買い。シェフの成り上がり物語だけでなく、厨房での毎日やチーズ、ワインの仕入れ、ソムリエをはじめとするサービス陣の裏側、ミシュランやゴーミヨなどの取材の実際など、適度な平易さで丹念に書き込んであり、あまりこの世界に興味ない人が読んでも十分楽しめる。
料理についての記述に突っ込みが足りないと思ったが、構成上この方が良かったのかもしれない。知識もつくし楽しめる一冊。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 自伝・評伝 ,

LV3「ポワルの微笑み」

中村勝宏著/講談社/1600円

ポワルの微笑み―わがパリ料理修業記
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「わがパリ料理修業記」と副題にある。現在東京のホテルエドモントの総料理長である著者の自伝。

見習いが最後には見事独立してフランスで星を獲得するまでを書いていて宇田川悟の「パリの調理場は戦場だった」の自伝版とでもいおうか。ロワゾーの評伝「星に憑かれた男」を含めこの3冊を読むとフレンチ業界の通になれること請け合い。

ちなみにポワルとはフライパンのこと。ちょっと題名が気取っているけど、これもご愛敬。フレンチっぽいし。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 自伝・評伝

LV3「動物は世界をどう見るか」

鈴木光太郎著/新曜社/3000円

動物は世界をどう見るか
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ハエは世界をどう見ているのだろう。アリは? ねこは? ミツバチは? 100個近い目を持つホタテ貝は? じゃあ人間がハエの目を持ったらどうなる? 動きや奥行きを動物はどう捉えている? 鳩はどうしてあんな視界が届かない遠いところからでも帰ってくる?

ね、面白そうでしょ? 夜寝る前に少しずつ読む、みたいな読み方が適している知的睡眠誘導ブック。
学術用語を減らしてもう少しわかりやすく書いてくれたら完璧なのだけど。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:科学

LV3「豚の死なない日」

ロバート・N・ペック著/金原瑞人訳/白水社/1500円

豚の死なない日
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帯に「全米150万人が感動した大ロングセラー、待望の邦訳!」とある。
こういった帯の本はわりと裏切られることが多くて、あまり読まないようにしているのだが、新幹線の中で読むものがなかったから「3時間で読めそう」と思って買った。

第一章が素晴らしい。でもその後はちょっとリズムをなくしてしまうのが残念。いい意味でも悪い意味でも実にアメリカ的な本。アメリカのおばさん達がこれを読んで泣くのはわかる気がする。でも日本人は泣かないと思うけどどうなんだろう。ボクはわりとさらっと読んでしまった。んー、好きかどうか微妙なところ。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV2「リンボウ先生のへそまがりなる生活」

林望著/PHP/1500円

リンボウ先生のへそまがりなる生活
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林望の新作。著者が個人的に嫌だと思うことについてのエッセイである。

世の中全く怪しからん、とご意見老人みたいなへそ曲がり論を繰り出しながら、結局自分をヨイショするという手法に長けていてしかも嫌みに感じないという高等手法を身につけた著者だが、この本は少しだけ嫌みかな(笑)。「ハッハハ」「トホホ」「フーム」など著者がよく使用する合いの手の効果も初期よりだいぶ薄れたかも。面白いことは面白い本なのだが、林望ファンとしてはもう少し奮起を望む感じ。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV2「種まく人」

玉村豊男著/新潮社/1680円

種まく人―ヴィラデスト物語
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副題は「ヴィラデスト物語」。

林望と双璧の自慢上手、玉村豊男の一年前の本。
何となく今まで読まなかった。他の本でもいっぱいネタにしている新居-ヴィラデスト-が出来るまでの物語だが、「死」を底流のテーマにしている分、他著とは違う。変に読者におもねっていない分とてもいいエッセイになっている。帯に「玉村豊男の人生論」とある。ちょっとオーバーな感じではあるが、生き方、という意味ではとてもよくわかる。内容の濃いエッセイ。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV1「僕の父はこうして死んだ」

山口正介著/新潮社/1200円

ぼくの父はこうして死んだ―男性自身外伝
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ここでいう父とはもちろん作家・山口瞳のことである。となると山口瞳ファンとしては読まざるをえないじゃないですか。

息子として父の死を書くのがどれだけ大変なことか理解は出来るが、著者も作家のはしくれ、もう少し整理して冷徹に書いて欲しかった。そんなに著者に悲しまれては読んでいる方は入り込めない。編集者のディレクションもまずいのかもしれない。テーマが行ったり来たりするし、同じ描写が多々出てくるし最後の方なんかもうヨレヨレ。もっと時間を置いて冷静に書くべきだと思う。

1996年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝

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