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須賀敦子
「本に読まれて」

amazonこの頃「須賀敦子追悼企画」みたいなのが多すぎてちょっと辟易。
いや、彼女が書いた文はなんであれ読みたい。でも、彼女はこういう形での出版を絶対認めなかっただろうな、と思われるようなお手軽企画が多すぎる気がする。ある意味、彼女の著作の全体レベルをさげてしまう出版が続いている。
これは生前著者がいろんなところに書き残した書評集、そして読書日記。
いい出来のものもあれば、おやどうしたの? と思わせるものもある。こうしてそれをモザイク状に並べても散漫な印象しか残らない。彼女の遺したものは読みたい。でもなんだか読みたくない。そんな複雑な想いで読み終えた。
1998年10月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
「時のかけらたち」

amazonボクの愛する須賀敦子が生前にいろいろな所に残した小文を集めたもの。
もう本当に最後の作品集かもしれないし相変わらず文体は静かで美しいからほめちぎりたいところではあるが、他作に比べて内容的にイマイチ質が落ちると思う。どこか散漫でまとまりきっていない印象を受けるのだ。
彼女自身作品集にしようとしなかった作品群かもしれないから何ともいえないが、もう少しこなれたものを読みたかったなぁ、最後の作品として。
1998年08月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
「遠い朝の本たち」

amazon98年3月20日に急逝された著者の遺作である。
ボクは本当に彼女の本を愛していたので悲しくてたまらない。これを最後にもう彼女の作品は読めないことになる。なんということだろうか。
内容は著者が若い頃に愛した本たちについての随筆である。相変わらず読者の心を静かにそして透明にしてくれるその筆致。名文の連続でありとても速読はできない。その「まやかしのない言葉の束」が読者の心に直接に入ってくる。そして読者をして「私ってこんなに感性豊かだったかしら?」と錯覚させてしまうような効果すらある。
手を洗って背筋を伸ばしてゆっくりページをめくりたい名作だ。
向田邦子のように小道具が散りばめられてはいないしオチもないのだが、どこかで彼女の静謐な魅力に通じるところがある。文体の素晴らしさがそう感じさせるのか…。とにかく、日本語をここまで品よく書ける人を我々は失ってしまった。実に哀しい。
1998年06月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
「ユルスナールの靴」

amazonこの人の本は必ず読んでいるが、今回はちょっと肩の力が入りすぎているようだった。
フランスを代表する作家ユルスナールの人生を縦軸に、著者の人生を横軸に、見事に紡ぎ上げてはいるのだが、思い入れが強すぎるのかそれともその構成に縛られ過ぎたのか、ちょっと全体に硬直して感じられる。静謐な文体は相変わらずだけど。
ちなみに出だしの一文は名文でした。
1997年05月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
「トリエステの坂道」

amazonひとを静かな気持ちにさせる須賀敦子の待望の新作。
「ミラノ霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」「ヴェネツィアの宿」と、名作続きだし、ボクもとても好きな作家なのだが、今回も裏切らなかった。夜、家族が寝静まったあと、ゆっくりゆっくり紐解きたい本。電車の中で読むなんてもったいなさすぎる。
一見喧噪に満ちて見えるイタリアが、彼女にかかると静謐に満ちた神の地に思えてくる。得難い極上エッセイ。次作をすぐにでも読みたい。
1996年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ




