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サイモン・シン
「暗号解読」

amazon「フェルマーの最終定理」を書いたサイモン・シンが、今度は暗号に取り組んだ……というだけで「フェルマー…」を読んだ人にとっては是非とも読みたい一冊になるだろう。
そのくらい「フェルマー…」は面白かったし、著者の取材力と再構成力は信頼がおけるのである。ただ、前回と違うのは、「暗号」というメソッドの複雑さがボクの理解をかなり超えるということだ。「暗号理論を学びながらその歴史と現状を理解し最前線を知る」ということが、数学得意でないボクにはどうにも苦痛になってしまうのである。
「16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号」も暗号を扱っていたが、これは非常に簡略化して素人でもわかるように書いてあり、ボクは「暗号の現状ってこうなんだぜ」と知ったかぶりしてヒトに話したくらいである。が、サイモン・シンのこれは、確かにわかりやすく咀嚼して書かれてはあるものの、玄人の領域まで突っ込んだ記述になっていて途中で混乱してしまう。つまり詳しすぎてわからなくなっちゃうのだ。うーむ。
こういう題材が好きな人には大オススメ。相変わらずの構成力と筆力で粘り強く語られているそれは感動的ですらある。暗号のことが(具体的数式を除いて)すべてわかると言っても過言ではない。が、ご自分の数学的素養に疑問を抱いているヒトにはあまり薦めない。分厚いし、苦痛なだけだと思う。
2002年05月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
「フェルマーの最終定理」

amazon友人が面白いよと貸してくれた本。うん、面白かった。
フェルマー系の本は他にもいろいろ出ているが、この本がすごいのはかなりつっこんで数学を書いていること。ある意味フェルマーの最終定理を起点にした数学史になっている。で、その数学史が面白い。身近な命題を持ち出してなんというか「面白い数学の授業を聞いているような」気分になってくる。うーん、数学をちゃんと勉強しておけば良かったよー。こんなに面白い学問、他になさそうな気になってくるではないか。そこらへんがとてもうまい本なのである。ピタゴラスについて突っ込んだ章なんか面白かったな。
もともとはイギリスのテレビ番組のための取材が基本になっている。だから文章も要所要所が映像的で面白い。知的興奮と快感を適度に感じさせるバランス感覚もテレビ的である。そのへんもこの本の成功要因であろう。
日本人の我々にとっては「谷山-志村予想」に深く突っ込んだ章などなかなか愛国心をくすぐられてうれしい。インド系の著者はマイノリティ人種を全く差別しないのも素晴らしい。面白くためになり知的好奇心も満足させてくれる一冊である。おすすめ。
2000年06月01日(木) 12:00:00・リンク用URL




