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斉藤愼爾
「永遠の文庫〈解説〉名作選」

amazonボクたちが中学生高校生だったころの文庫が手に入らなくなってきた。
つまり30年くらい前の古典的文庫群。もちろん小説は再販されたりしてこれからも生き残っていくことが多いだろうが(絶版も多いだろうが)、痛いのは、再版されると解説も変わること。文庫にはさまざまな名解説がある、名文がたくさんあるんだけどなぁ…などと思っていたら奥さん! こんな本が出たですよ!
この本はその「文庫の解説を取り上げた」という切り口がすばらしい。実際に読み始めると、わりとマニアックな小説を取り上げているので鼻白む部分もあるのだが、さすがに選ばれているだけある名文揃い。評論上級者が本編に負けないように書いているせいか、迫力すら感じる。そしてなんだか学生時代の向学心まで戻ってくるような懐かしさすら感じた。
向田邦子の「父の詫び状」を解説する沢木耕太郎や、池澤夏樹の「スティル・ライフ」を解説する須賀敦子、野坂昭如の「エロ事師たち」を解説する澁澤龍彦など、聞いただけで読んでみたいでしょ? 解説とはそういう名文がいっぱい溢れている宝庫であることをわからせてくれるいい本なのである。
2003年12月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:評論
「岡本太郎の世界」

amazon自分を「異化」したい、と、切実に思う今日この頃。岡本太郎の芸術にたどりつくのは必然であったのだろうと思う。
「芸術は気持ち悪くあるべきだ」という彼の主張が、この歳になってやっとわかってきた。理解できてきた。ずっと「ただ美しくあればいい」と思ってきたが、違和感なくしてなんの芸術であろう。見ている人の心を異化し、そこに二次的ななにかを生み出すこと。技術に頼った芸術や安易な感動を呼ぶアートとは一線を画す岡本太郎の凄み。彼のすごさを味わうなら、この本は過不足なく出来ていると思う。
この写真集&研究書&伝記を熟読した後、車窓から太陽の塔を眺める機会があった。年月が経ち、妙に景色と同化してしまった太陽の塔。これは太郎の意思と反するのだろうな、と妙な感慨を覚えたのである。
2000年05月01日(月) 12:00:00・リンク用URL




