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さだまさし

LV5「精霊流し」

さだまさし著/幻冬舎/1429円

精霊流し
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さだまさし初の小説。TV番組「関口宏の本パラ!」での仕掛けに乗って書いた書き下ろしである。
ほとんど自伝と言ってもいい作品で、短編8つからなっているが、どのエピソードも密接に関わり合っており、全体でひとつの作品になっている。8つのエピソードはすべて「死」を題材にしている。そういう意味では8つの精霊船と言えるかもしれない。この本自体が、彼の人生での精霊流しになっているのだ。

期待はしなかった。一部で「泣ける!」「初めて小説を書いたとは思えない」「感動にふるえた!」との評判があったし、中学高校時代にさだまさしをかなり聴いていることもあって興味はあった。ただ、さだまさしは自分の中で封印した過去なので「今」の彼の小説を読むことにちょっと抵抗があったし、照れくさい感じがあった。

結果から言うと、いい本だった。ラストは確かに泣けた。参ったなぁ。実際かなりうまいとは思う。推敲が足りないんだろう、とか、ちょっと自慢めいて鼻につく、とか、ちょいと格好よく書きすぎじゃない?な部分はいろいろある。説明しすぎたりキレイゴトにしすぎたり。でも全体に彼のいい時のいい歌を心を澄まして聴いているような、静かな時が流れる。思ったよりサビを歌い上げず、あっさり書いているのも成功している。表現者としてある意味熟成されているのだ。著者の様々な歌の主題も結果的に解題され、彼の歌をいろいろ知っている人には特に興味深い部分も多いだろう。

読後、さだまさしのCDを無性に聴きたくなる。これは歌の延長なのだ。8曲入ったアルバムなのだ。彼の中では、表現手段として、歌と小説の区別はあまりなかったのだろうと思われる。

2001年10月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , 自伝・評伝

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