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「ワルボロ」

amazon立川の町を舞台にワルでボロな不良中学時代を描いた自伝的小説。
500ページ弱の大部ながら飽きさせずに一気にラストまで。素晴らしい。
この道の先駆者(?)中場利一的な題材なのだが、中場利一よりもリアルな焦燥感と暴力描写で描いていく。全体的にリアルなんだよなぁ。「ケンカに強い人」がいろいろ出てきて、彼らの描写はさすがにオーバー気味なのだけど、この程度のデフォルメがないと面白くならないだろう。中場利一に比べると笑いの部分が少ないけど、これで笑いが多いと「岸和田愚連隊」になってしまうし、笑いでは中場利一に勝てないだろうからちょうどいいかもしれない。
友情と恋を底流テーマにして、中学抗争をスピード感よく描いていく。リズムもよい。キャラ立ちもよい。印象的な山場の持ってき方もよい。ついでに題名のセンスもよい。全体にとても良かった。特にこの本を単なる暴力モノと違うモノにしているのはその友情の描き方。本当の友達とはどういうものかをしっかり描ききっているのがとても好感が持て、感動を呼ぶ。不良でない読者の共感を強く呼ぶのはこの点だろう。
唯一の不満はラストの収め方。あと50ページくらい書き込んで欲しかったなぁ。続編を匂わしているが、それはそれとして、きっちり締めて欲しかった。そうであれば傑作だったかも。
2005年10月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
「シェイクスピアを盗め!」

amazon全米図書館協会最優秀賞受賞の本らしい。
時はシェイクスピアが生きた400年前のロンドン。速記術を仕込まれた丁稚の主人公がロンドンで上演中の「ハムレット」を速記してまるまる盗むことを言いつかい・・・というストーリーでなかなかよく出来ている。当時のイギリス、そして当時の舞台のあり方が活写され、そこにスリルも加わって、ちゃんと面白い。
ただ主人公一人称文体なので、当時の時代考証的説明がどうしてもしにくくなっているのが残念ではある。ちょっと史実的視点からも読みたかった本なので(もちろん一人称だからこそ伝わってくる臨場感はあるから、どっちもどっち)。
そういう意味では、映画「恋に落ちたシェイクスピア」あたりを観てから読んだ方が、より臨場感が味わえると思う。スレてしまったオッサンとしては食い足りない部分も多い本だったけど、じっくり判断するとやっぱりいい本かも。題材も視点もいいしテンポも上々。たまにはこういう善意の本(というか、害のない良書というか)もいいものだ。難を言えば、シェイクスピア自身の登場がもう少し欲しかったかも。
2001年04月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
「誰も教えてくれない聖書の読み方」

amazon実に面白い。
聖書がいままでいかに都合の良い部分だけ取り出されて脚色ふんだんな読み方をされてきたか、がまったくよくわかる。いろんな脚色をゼロにして「聖書原典を書かれているとおりに読んでみるとどうなるか」がこの本で明らかになるのだ。こ、こんなトンデモ本を西洋は長きにわたり繰り返し読み信じてきたのか! 神様ってこんなに残虐非道で心根の狭い自意識過剰オヤジだったのか! イエスやパウロってこんなイカサマっぽい奴らだったのか! き、教会の神父って本当に最初から最後まで聖書を読んだことあるのか? き、キリスト教って…ダイジョブなのか? など、ちょっと愕然とする思いだ。
当然キリスト教徒たちから轟々たる非難がまきおこってるらしいが、著者はシラッと「だって聖書にそのとおりに書いてあるんだもん」と自信たっぷりに言うだけらしい。
そう、著者はただ現代風視点から読み進めただけなのだ。なるほどー。ボクは「マンガ聖書」は読み通したことがあり筋はだいたいわかっているつもりであったが、いま思うとキリスト教に都合のいい部分だけ抜き出したまとめ方だったのね、あれ。
この本をよりユニークにしているのは「アイコン」の存在。
例えば出エジプト記のこんな場面。「神さまはモーゼに、神の祭壇には絶対に階段をつくるなと命令。階段をのぼってる人の性器が見えちゃうかもしれないから」てなところには「なんじゃそりゃ?」アイコンがついてたりするのだ。他に「残念でした」とか「おいおい」とか「おせっくす」とか(旧約はセックス描写だらけ)、いろいろついていて面白い。
ちなみに訳もよい。著者の言い逃げ感がよく出ていて良い。あ、ちなみに聖書を最初から最後まで読まされちゃう本ではないです。聖書のトンデモナイ部分を抜き出してあるからとっても読みやすい。その点は大丈夫。オススメ。
2001年03月01日(木) 12:00:00・リンク用URL




