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車谷長吉
「漂流物」

amazon死後に地獄というものがあるとしたら、こういう生前の醜い想いが漂っている場所のことかもしれない。
この本を読んでそう思った。
短編集だが、著者が吐き出す地獄模様は1ページが10ページ分くらいの密度で読者におそいかかり、読み通すのになかなか力がいる。ある種、私小説であると思うのだが、私小説も行き着くとこういった「心の中の地獄」を描くしかないのだろう。ボクはこの人が書く嫉妬地獄みたいなものを読んでみたい。
1999年10月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
「赤目四十八瀧心中未遂」

amazon久しぶりに心に楔を打ちこまれた気がする。
自らのヒフを剥ぐようなその文体は、題材が自らの経験にもとずくというだけでなく、自分を傷つけて血糊の中でのたうつ様を楽しんでいるようなある種の狂気から来ている気がするほど迫力と魅力に富んでいる。描写される世界の空気感、時代感も抜群だ。日本近代文学がどこかに置き忘れてきつつあった「体臭」みたいなものがプンプン匂ってくる。
それにしてもこれが今年の直木賞か。芥川賞の方がいい気もするが…。それだけ境目がなくなってきたんだろうなぁ。いい意味でごく初期の宮本輝を彷彿とさせて楽しめます。あ、暗い話が嫌いな人は近づかない方がいいかも。まぁ題名がコレだから近づかんか。
1998年10月01日(木) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)




