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大崎善生

LV5「優しい子よ」

大崎善生著/講談社/1300円

優しい子よ
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2005年の2月5日付けの日経新聞に大崎善生氏の「守られている」という長いエッセイが載っていた。
NYに在住する人からメールで教えていただくまで気がつかなかったのだが、探し出して読んでみるとそれはとても感動的なエッセイだった。筆者の奥さんである女流棋士とそのファンである不治の病に冒された少年との手紙の交流を書いたもの。ボクは会社のデスクで人目を忍んで泣いた。いまでもその日の新聞はデスクの上に乗っている。捨てられないのである。

そのエッセイが、先月末に発売になった大崎善生氏の短編集「優しい子よ」の表題作として私小説になっている。
というかこの私小説を元にあの日経エッセイが書かれたという経緯かな。ボクとしては日経のエッセイの方が抑えた筆致で好きだが、それでも家のリビングで家族に気がつかれないように泣き濡れてしまった。

ボクはいろんな愛や優しさを出し惜しみしている。心の中の密閉容器にしまい込みすぎている。照れとか損得とか自分本位とかで出しそびれてる。でもそんなのっていったい何のための人生だろう。もっともっと表出すべきなんだ。みたいな想いが読むに従って激烈に溢れてくる本である。繰り返すが日経新聞のエッセイの方がよい。その点がちょっとだけ残念であるが、心に強く残る一冊であるのは間違いない。

2006年07月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV4「聖の青春」

大崎善生著/講談社/1700円

聖(さとし)の青春
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1998年、わずか29歳で他界した天才棋士村山聖(さとし)の伝記である。

「本の雑誌」で茶木氏が「今年一番の大感涙物!」とベタ誉めしていることもあって読んだが、感涙を目的にするという意味ではイマイチであった。泣けない。ただ、ネフローゼという難病に冒されながら憑かれるように将棋にのめりこんでいった彼の青春の日々はボクの心に確実に何かを残したのだと思う。読み終わってからも妙に彼が脳裏から離れない。彼が生きた大阪は福島界隈をそぞろ歩いてみたくなる。彼が毎日食べた定食を食べてみたくなる。そんな感じ。

著者は彼と親交のあった将棋雑誌編集長。こなれた文体で外から内から村山聖をしっかり活写している。労作。

2000年05月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝

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