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恩田陸

LV4「黒と茶の幻想」

恩田陸著/講談社/2000円

黒と茶の幻想
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600ページ超の大作である。
著者の本は何冊か読んで感想を書いているが、ある日「あなたはまだ恩田陸の代表作を読んでいない」というメールが見知らぬ方から届き、この本を薦められた。で、すぐ買ったのだが分厚かったので長く積ん読状態だった。でも読み始めたらあっという間だった。

おもしろかった。おもしろかったのだが、これが代表作?という感じは残る。会話は相変わらずちょっとずつ甘いし、ストーリーもここまで長編にする意味を感じないもの。ただ、人物の周辺描写やこの年代の微妙な感じ、昔の恋愛へのせつない心情描写などはさすがに著者ならではで、ストーリーと関係ないところで何度も立ち止まって味読した。
4人の主人公それぞれに謎と奥深さがある構成と、屋久島の大自然がそれに重なってくる感じはとても心地よい。ただ、題名が少し遠い。なんでこの題名?という感じ。恩田陸っていつも題名に少し疑問が残るなぁ。

2003年08月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV5「光の帝国」

恩田陸著/集英社文庫/495円

光の帝国―常野物語
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ある日メールが来て「なぜ恩田陸を読んでないの?」とあった。あぁ恩田陸、そういえば気になっていたけど読んでなかったなぁ、ということで数冊取り寄せて読んでみた。

まずは処女作「六番目の小夜子」と「ネバーランド」とこれ。
で、「ネバーランド」の方が完成度高いとは思うけど、一番強く印象に残ったのがこれである。副題に「常野(とこの)物語」とあるが、実際には副題を本題にした方がよかったと思う。「光の帝国」なんて、内容とまるでそぐわないし、第一スターウォーズちっくでなんだかおどろおどろしいではないか。

内容的には不思議な能力を持つ一族の繁栄と存亡の話であり、とても美しく、そして緊張感に満ちた連作短編集である。
滅び行く一族の哀愁と見えぬ敵との闘いに対する悲壮感が物語に深みを与えている。一族の歴史や敵の必然性、逃げていくべきなどもちゃんと書き込んでいけば(今はまったく書かれていず、読者はわからないままラストまで引っ張られる)、ある意味「十二国記」的一大叙事詩にもなりえる題材。そのうちきちんと書き直して欲しいと願ってやまない。

2002年09月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV4「ネバーランド」

恩田陸著/集英社/1500円

ネバーランド
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上記のように恩田陸読み数冊のうちの一冊。
学園ものであるが、妙にリアリティがあってよく出来ている。完成度は「光の帝国」より上だろう。ただ、なんとなく全体に既視感があり、読んでいてもうひとつ乗り切れなかったのも事実。父母の愛やトラウマに振り回される少年たちの桎梏と破綻。それを乗り越える勇気と友情。密室的な冬の学生寮という舞台といい、少年たちの描き方といい、いい物語なのだけど既視感が感動の邪魔をする。天童荒太の「永遠の仔」にもちょっと似ている(初出はどっちが先か調べてないが)。トラウマって題材はあのころのはやりではあったけど。

ネバーランドとは言うまでもなくピーターパンの住む世界。大人になりたくないピーターパンの世界を題名に持ってくるのもちょいと安直。あえて期待するが、あとがきで著者も書いているように、これをもとに違う長編を生み出して欲しい。そのための習作と考えると納得がいく。習作にしては完成度高いが。

2002年09月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー

LV3「六番目の小夜子」

恩田陸著/新潮文庫/514円

六番目の小夜子
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著者の処女作で、あとがきによると「最初に勤めていた会社を辞めて、三週間くらいで書いたこの小説が第三回ファンタジーノベル大賞の候補になり、酷評されてあっさり落選し、文庫として世に出たもののすぐ絶版になった」らしい。
で、大幅に加筆修正して再版したものがこれである。NHKでドラマ化され人気を博したのも記憶に新しい(あれは脚本の宮村優子が大幅に書き直したらしいが)。

酷評された理由も読めばわかる気がするが、要所要所が妙に印象的な本で、全体の筋は忘れても細部がやけに記憶に残る。そういう意味ではとても力がある小説だと思う。キャラがしっかり立っていて、作者はそれを良い勢いを持って書いているから、全体にドライブ感が生まれている。
でもまぁ、ジュブナイルノベル的かな。ボクは嫌いではなく、それなりに楽しんだけど、ミステリー好きが読むとちょいとつらいかもしれない。そんな感じ。

2002年09月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

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