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アン・タイラー

LV5「ここがホームシック・レストラン」

アン・タイラー著/中野恵津子訳/文春文庫/752円

ここがホームシック・レストラン
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このところどしどし文庫化が進むアン・タイラー。これは1982にアメリカで出版された長編の文庫化にして新刊だ。

前半はなんだかとろいな、と感じたが、中盤からは一気に読ませて呆然と空を仰がせる。さすがアン・タイラー、としかいいようがない。心の襞を、まるで標本にするように丁寧に採集していくその手法は、こうして家族をいろんな角度から書かせると特に際だち、なんだか違う人生を生ききったような充実した読後感をもたらす。
この長編に限って言えば、エズラの心の襞にだけ、読んでいて入り込みにくかったのが残念だが、生きている限りついてまわる「家族という小宇宙」をこれほどまでに彫りだして見せた小説は少ない。

読む人によっては甘ったるいソープドラマと取るかもしれないが、ボクはアン・タイラーを支持します。ゆっくり惜しみながら全作読もっと。

1999年02月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

LV5「歳月の梯子」

アン・タイラー著/中野恵津子訳/文藝春秋/3000円

歳月の梯子
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アン・タイラーの新作である。代表作になるのではないだろうか。

もともとしつこくディーテイルを書き込んでいって全体像を浮き彫りにするという作風だったが、この長編ではそれが特に際だっている。細部を徹底的に(良質のユーモアを交えながら)描写しながら全体の流れが少しも細部に引きずられていない。お見事。すごい筆力だ。筋もよく練られていて全く飽きさせないし、なにより主人公をはじめとする登場人物のキャラクター付けが秀逸。いやいや大したものだ。

そしてその性格描写、比喩、形容。それぞれ文字どおり「的を射た」表現で(その的を射かたの打率の高いことといったら!)共感を呼ぶ。特に女性の感情表現が強烈にうまい。男の僕が読んでいてこんなにのめり込むんだから女性が読んだらすごい共感だろうなぁ。女性に生まれ変わってもう一度読んでみたい。傑作。

1996年07月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

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