歌舞伎、文楽
三月大歌舞伎「元禄忠臣蔵」
2009年03月03日(火) 8:23:11
歌舞伎座さよなら公演「元禄忠臣蔵」の初日を観てきた。
さよなら公演といっても、延々とあと1年は続く。でもさよなら公演と銘打つだけあって出演者が豪華(値段も豪華だけど)。この「元禄忠臣蔵」も大石内蔵助を市川團十郎、片岡仁左衛門、松本幸四郎の三人が演じてくれている。なんともお得な感じである。
観に行ったのは夜の部。「南部坂雪の別れ」と「仙石屋敷」と「大石最後の一日」の三編。
「南部坂雪の別れ」は團十郎が大石内蔵助。瑤泉院を中村芝翫。羽倉斎宮を片岡我當。
「仮名手本忠臣蔵」に比べて全体に動きがとても少なく台詞回しばかりが多い「元禄忠臣蔵」ではあるが、この編は内蔵助の台詞も少なく、團十郎の見せ場も少なかった。内蔵助と瑤泉院の別れの場面は美しかったが、全体に平板な舞台。
「仙石屋敷」は仁左衛門が大石内蔵助。仙石伯耆守に中村梅玉。磯谷十郎左衛門に市川染五郎。
ボクは仁左衛門が一番好き。吉右衛門とどっちが好きか迷うけど、んーと迷った挙げ句やっぱり仁左衛門。この編は内蔵助の台詞が多く、見せ場もたっぷり(相変わらず動きは少ないけど)。あー惚れ惚れした。もっと長く仁左衛門の内蔵助を観たかったな。梅玉は初日のせいかまだ台詞がこなれておらず、言い淀みも数回あってちょっと残念。
「大石最後の一日」は幸四郎が大石内蔵助。おみのに中村福助。堀内伝右衛門に中村歌六。磯谷十郎左衛門に市川染五郎。
歌舞伎における松本幸四郎がどうにも苦手なボクであったが(舞台やドラマでは好き)、この内蔵助はとても良かった。あの暗い感じが「最後の一日」にうまくはまっていた。もともとこの「元禄忠臣蔵」はこの「大石最後の一日」が初演された後、大好評につきリクエストされ、あと9編を付け加えて完成したもの。つまり元々の一編であるだけに完成度も高い。見せ場も多く引き込まれた。幸四郎、うまいな。ただ福助のおみのはちょっとブリッコ気味でTOO MUCHだった。ひいた。
席が舞台に近かった(二階東桟敷舞台袖)のもあって、黒子がセリフを読み上げる声が丸聞こえ(稽古が足りない役者はそれを聞きながらしゃべる)。初日だからかな。ただ、さすがに仁左衛門、幸四郎のおふたりは黒子に頼らず朗々と語っていた(團十郎は一部頼っていた)。圧倒的にうまい。やっぱり看板役者なだけはある。
幕間では名物のオリエンタル・カレーを。懐かしい味でうまいよなぁ。このカレーも歌舞伎座改築(改悪築)とともに消えてしまうのかな。新しい歌舞伎座に変にマーケティングされた飲食店が入らないことを願う。
文楽「豊松清十郎襲名披露公演」そして竹本住大夫の講演
2008年09月08日(月) 7:16:23
国立劇場第164回文楽公演を観てきた。
演目は「近頃河原の達引 四条河原の段・堀川猿廻しの段」「吉田清之助改め五世豊松清十郎襲名披露口上」「襲名披露狂言 本朝廿四孝 十種香の段・奥庭狐火の段」。
昨日「闘う三味線」を見て自分の中に流れを作っていたこともあり、いままで観た中で一番ワクワクした。
ただ、見どころを浄瑠璃語りと三味線とのせめぎあいに自己設定した分、いままでで一番忙しい観劇となった。語りを聴き、三味線とのせめぎあいを聞くだけでも精一杯なのに、舞台では人形遣いたちが迫真の演技をするからそっちも観たいし、字幕も読みたいし、イヤホンガイドの解説もちゃんと聴きたいし、と、とにかく忙しいのである。
特に派手な見せ場が多い「奥庭狐火の段」は忙しかった。豊松清十郎と桐竹勘十郎が演じる、キツネが憑いた八重垣姫の動き。これがまた面白く、目は舞台に釘付けに。でも竹本津駒大夫の語りと人間国宝・鶴澤寛治の三味線も気になる。その一方で、字幕とイヤホンガイドで言葉を追わないと筋や見どころを見失うし、もう何がなにやら。眠くなっている暇がなかった。
しかも襲名披露公演なので出演している人たちがスゴイ。
「堀川猿廻しの段」では人間国宝のふたり竹本住大夫と竹本綱大夫が連続で語り、「本朝廿四孝」は人形遣いのオールスター出演で、人間国宝のふたり吉田簑助と吉田文雀が演じ、三味線で人間国宝の鶴澤寛治が弾いた(楽しみにしていた鶴澤清治は夜の部への出演だった)。
他に好きなところでは豊竹嶋大夫、桐竹勘十郎も出演。知らなかったところでは、猿回し与次郎をやった桐竹紋寿も良かった。「襲名披露口上」では前列にずらりと竹本文字久大夫、桐竹勘十郎、吉田簑助、豊松清十郎、竹本住大夫、鶴澤寛治が並ぶという豪華な舞台。それぞれの口上が聞けて楽しかったな。
朝11時に始まって15時前まで。4時間充実して楽しんだ。
まぁド素人ゆえ、変な楽しみ方をしているかもしれないが、きっと文楽好きの誰もが通る道だろうと思う。こうして演者を知り、知っている演目を増やし、語りや三味線のポイントを知り、と、ゆっくり詳しくなっていくのだと思う。ただ、今は人間国宝も多くて充実しているが、どなたもご高齢である。ゆっくりしている暇はないかもなぁという危機感もまたある。
特に竹本住大夫など84歳だ。
元々この人の語りは好きであったが、「闘う三味線」を見てすっかりファンに。そのうえ昨日は贅沢なことに終演後に彼の講演を聞くことができ、もうファンクラブがあったら入ろうかというくらい好きになってしまった(笑) でもあと何年彼の浄瑠璃を聴けるのか。もうあまり時間がないかもと焦ってしまう。
竹本住大夫の講演は、第一部終演後、15時すぎから国立劇場裏の伝統芸能情報館の3階の小さな部屋で行われた。
チケットを斡旋してくれたギリークラブ主催で80人ほどの聴衆。予定では1時間のはずだったが、「いやもう出番が終わると疲労困憊やねん」とおっしゃりつつ興に乗られたのかどんどん話が展開し、結局1時間50分しゃべりっぱなし。最後の方では「こんなに長時間立ちづめで話をして、お体は大丈夫なのか」と聴衆がざわざわ心配しだすくらい。主催者の渡辺さんもハラハラしていた。
でも、有り難かったなぁ。
もうそこに存在して話してくださるだけで有り難い。しかも話が異様に面白く、80人の聴衆は笑ってばかり。5分おきにドッとくる感じ。このままテレビに流してもイケルくらい面白い。舞台を見ているようだった。
今日やった「堀川猿回しの段」の解説や裏話はもちろん、笑いや泣きの演じ分けも実演してくれた(それぞれ顔自体が変形し別人になるのが見事だった)。
でも聞き所は彼の様々なボヤキ(笑)。もうおかしくって笑ってばかり。あとは薬師寺の高田管長とのエピソードやら教訓やらも良かった。文楽についてのトリビアはそれはもう有り難いものばかり。「文楽はもともと大阪のもんやから、語りも三味線も大阪弁やないとあかん。なのに最近は訛っとる(東京弁っぽくなっている)」ということは何度もおっしゃっていた。三味線の音も訛っているらしい。
聞き終わって「とにかく努力が足りない!」と強く思った。
84歳で人間国宝の彼ですら、こんなに毎日勉強し、少しでも上達しようと必死になっている。それに比べて自分は相当甘い。広告も文筆関係も。忙しさを理由にいろいろ怠けている。できる努力を怠っている。性根をたたき直された気分。
生きている世界は相当違うが、久しぶりに目標とできる人生の先輩を見つけた思い。
次に東京に公演に来るのは来年2月だと言う。大阪まで追っかけで観に行こうかな…。大阪には文楽仲間がたくさんいるしな(笑)。終演後いろいろ話し合えたらどれだけ楽しいか。
闘う三味線
2008年09月07日(日) 8:40:57
ずっと見忘れていたNHKのハイビジョン特集 「闘う三味線 人間国宝に挑む 文楽 一期一会の舞台」を見た。
2007年6月24日に放映されたもの。大阪のバー「パイルドライバー」で借りた。文楽三味線の第一人者、鶴澤清治(62)と浄瑠璃語りの名手、人間国宝の竹本住大夫(82)が、難曲「壇浦兜軍記 阿古屋琴責の段」を巡って激しいしのぎを繰り広げる日々を描いたドキュメンタリー。
三浦しをん著「仏果を得ず」を読んでからこれを見ると、いろいろなことがものすごくよく理解できる。もともと浄瑠璃語りと三味線は合わせて演奏していくものではなく、お互いが突っ走った上で「合っていく」もの。そのせめぎ合いが本と映像の両方で理解でき、一気に文楽の楽しさを増幅してくれる。文楽理解の超近道。鶴澤清治の自分との闘いも見事なら、竹本住大夫の自分を削る日々も見事。
というか、名人たちの懊悩と、たった一回の公演に対する念入りな準備、浄瑠璃語りと三味線の奥深い駆け引きなど、もう見ていて圧倒されることばかり。名ドキュメンタリーだ。「第24回ATP賞テレビグランプリ2007」にて総務大臣賞を受賞したというのもよくわかる。そういえば一度レクチャーを聞いたことがある竹本文字久大夫が怒られまくっていた。稽古の鬼の運の竹本住大夫も、食らいついていく竹本文字久大夫も、妙に美しい。ラッキーなことにDVD化もされているようなので、文楽とか芸に興味のある方は必見だ。
もともと、初めて文楽を観たときから、人形遣いよりも義太夫語りの方に目が釘付けになっていたボクである。浄瑠璃語りの世界は興味津々だ。初体験で竹本住大夫を経験できたのがラッキーだが、それから数回、まだ語りにしか耳がいかず、三味線の音まで追えてはいない。でも次回はそこを中心に聴いていくと思う。あぁ楽しみだ。
って、次回というのは実は今日。これから文楽公演を観に行くのだ。国立劇場。
竹本住大夫も鶴澤清治も出演する。しかも終了後、竹本住大夫のレクチャーにも参加できる。シアワセすぎ。もういつ引退してもおかしくない人であるゆえ。
演目は「近頃河原の達引 四条河原の段・堀川猿廻しの段」「吉田清之助改め五世豊松清十郎襲名披露口上」「襲名披露狂言 本朝廿四孝 十種香の段・奥庭狐火の段」である。
行ってきます。
三浦しをん著「仏果を得ず」
2008年04月03日(木) 8:06:18

すっかり「ちりとてブログ」になりつつある昨今だが、ワールド的にとても近い本を読んだのでご紹介。三浦しをん著「仏果を得ず」(双葉社/1500円)。「ちりとてちん」が好きな方ならたぶん好き。といっても小浜家族編ではなく大阪草若一門編の方だけど。
この本は落語ではなく、文楽(人形浄瑠璃)の義太夫を題材にしている現代劇。
義太夫語りは落語「寝床」でも取り上げられるけど、その義太夫節を修行中の若者のお話である。古い芸能を伝承していこうとする若者たちが等身大で瑞々しく描かれている。毎章、テーマとなる文楽の解釈に悩みながら成長する主人公がなかなか魅力的(ある意味これも本歌取り)。知らなかった世界を楽しく知れる、という意味でも、純粋に小説としても、なかなかいい本である。
文楽は去年初めて観に(聞きに)行った。
普通初心者は人形遣いのそのリアルさに関心が向くらしいが、そのときのメモでも書いたように、ボクは最初から義太夫に目が釘付け。人形をあまり見なかったくらいである。竹本住大夫と豊竹嶋大夫。すごかったなぁ。
そういうこともあってか、この本の題材である義太夫は多少身近で、銀大夫の語りなども目に浮かぶようであるし、三味線とのやり合いなども十二分に楽しめた。義太夫語りの舞台裏を楽しく知れるのもうれしい。文楽が急激に身近になる。
とはいえ文楽をまったく知らない人でも楽しめるので大丈夫。読後、きっと文楽が観たくて観たくてたまらなくなること請け合いだ。この本は文楽ファンを急激に増やすだろうなぁ。
全体にさらりと読みやすく、多少漫画チック。というか連続ドラマっぽい(笑)。イケメンを配役すれば充分ドラマ化にも耐えうる内容。
惜しいと思うのは主人公の背景描写がさらりとしすぎている部分。「ちりとて」で言ったら小浜家族編的な部分がほとんど描かれない。その分シンプルにストーリーを楽しめるのは確かなのだが。
それと題名。読み終わってからだと「なるほど」と思うのだが、これは取っつきにくすぎる題名かも。表紙を漫画にするなど、文楽という一般ウケしにくいテーマの本を読者が手に取りやすい工夫はしてあるのに、題名が抹香臭くて一瞬「難しい本か?」と手が止まってしまう。ちょっと残念。
「ちりとて」ファン的には、「この役は加藤虎ノ介しかできん!」という、きわめて四草なキャラが重要人物として出てくるのでお楽しみに。
人形浄瑠璃 文楽「菅原伝授手習鑑」
2007年09月10日(月) 7:30:58
5月以来4ヶ月ぶりに文楽を聞きに行った。国立劇場小劇場。
って、そう、初めて知ったんだけど、文楽は「観る」のではなくて「聞く」んだってね(無知)。要するに太夫が語る義太夫節を聞くのが主で、人形の演劇は従なわけだ。だから太夫の位が一番高いのだとか。次が三味線弾き。人形遣いはその下に位置するらしい。
昨日は吉田玉男一周忌追善公演で「菅原伝授手習鑑」。
人形浄瑠璃の三大名作のひとつと数えられる作品で、主役である菅原道真(菅丞相)が故・吉田玉男の当たり役として有名だったので追善公演に選ばれたという。その初段と二段目を16時から20時半まで4時間半(!)かけて上演。本当は三段目と四段目が一番盛り上がるらしく、初段と二段目だけを上演することは珍しいらしい。それを聞いて「あ〜盛り上がりに欠けるのかぁ…」とちょっと心配したが(寝ちゃいそうで)、杞憂に終わった。実に面白かった。これで盛り上がりに欠けるのなら、三段目四段目はどんななんだ?
ギリークラブという会員組織で一度講義をしたことがあり、その関係でいろんな案内メールをいただけるようになったのだが、今回はその会合「和・倶楽部」に参加したカタチ。
特典として開演前に太夫から1時間弱のレクチャーが受けられる。座学形式とはいえ、間近で太夫のレクチャー、そして義太夫の一部を聞かせていただけるのはなかなか面白かった。教えてくださったのは竹本文字久太夫。町人と武士の演じ分け方なんかも教えてくれたり、「書見台はヤフオクで買った」みたいな裏話を教えてくれたりして楽しかった。で、実際にその数時間後、彼自身が舞台で義太夫節を語ってくれたわけで、なんだか妙なシズル感があったな。思わず応援したんだけど、そんなことが必要ないくらい堂々たる義太夫。今回の太夫の中で豊竹嶋大夫に次いでうまかった気がしたくらい。
さて、開演。会場はほぼ満席。
最初に書いたとおり、初段と二段目は退屈そうだったから心配したが、全くそんなことはなく、特に築地の段、東天紅の段、丞相名残の段あたりは全く飽きなかった。オモロイなぁ文楽。
太夫では、前回「通し狂言 絵本太功記」でも感心した豊竹嶋大夫がやっぱり素晴らしい。人形そっちのけで聞き惚れた。そしてレクチャーしてくださった竹本文字久太夫。素晴らしい。人形遣いでは特別出演でちょっとだけ出た吉田簑助の奴宅内がやっぱ印象的。全部持ってっちゃった感じ。あとは桐竹勘十郎の宿禰太郎も。吉田文雀の覚寿も良かったけど、相当玄人好みな感じで、ボクにはまだわかりきっていない。吉田玉男にかわって菅丞相を演じた吉田玉女もよくわからなかった。目が肥えてくるともっと渋いところを見出すのかも。
さて、文楽はこれで時代物をふたつ観たので、次は世話物を観なければ。
前回もバッタリ会った仕事仲間(着物来て格好良く観劇に来ている)と今回もバッタリ。「さとうさん、世話物はまた違う面白さよ」と頻りに勧めるし。今度はいつ行こうかな。
人形浄瑠璃 文楽「通し狂言 絵本太功記」
2007年05月14日(月) 7:50:01
年末にやった講演の関係でお知り合いになったある先輩の有り難いお誘いを受けて、夫婦で人形浄瑠璃 文楽「通し狂言 絵本太功記」の第二部を観てきた(於:国立小劇場)。
観たのは「六月七日 杉の森の段」「六月九日 瓜献上の段」「六月十日 夕顔棚の段・尼ヶ崎の段」「大詰 大徳寺焼香の段」の計五段。
太功記(太閤記)と言いつつ主人公はほとんど光秀で、本能寺の変の前の日を六月一日として、六月十三日まで基本的に一日一段で、光秀が秀吉に討たれるまでを描いている。昨日観た十段目の「尼ヶ崎の段」は、俗に「太十(たいじゅう)」と呼ばれているらしい。太功記の十段、ね。「絵本太功記」といえばこの十段目を指すほど有名な段らしい。
実はちゃんと文楽を観るのは初めて。
いきなり4時間半の長丁場なんて「ムリ!確実に寝る!」と思い込んでいた。
でもとんでもないことだったよ。面白すぎ!
人形に命が吹き込まれ、独特の動きを見ているだけでも面白いが、義太夫節がなんとも良い。義太夫節にここまで感心するとは我ながら予想外。演者(浄瑠璃語り)も次々変わり、それぞれに表現が違っていて趣きあり。男・女・子供・老人と会話を演じ分け、そのうえ情景描写までメリハリつけて語っていく。人形の動きが少ないときなど、ずっと浄瑠璃語りの方ばかり見ていたよ。
人形とセット、そして義太夫と三味線、そのうえ練られたストーリーと演出…。要素てんこ盛りだ。そりゃ面白いに決まっている。あぁ偏見持たずにもっと早く観れば良かったよ。
文楽っていま「人間国宝の嵐」で実に充実しているとは聞いていた。
昨日も人間国宝の方がいっぱい出ていたなぁ。でも初心者なのでどこまで価値がわかっていたかは微妙。個人的には、浄瑠璃語りでは竹本住大夫と豊竹嶋大夫が印象に残っている。特に嶋大夫には聞き惚れた。人形遣いでは吉田簑助の操(光秀の奥方)に見惚れた。なんだこの動きは…。あとは桐竹勘十郎の光秀もキレイだったな。
あ〜おもろ〜、と頬を上気させてぼんやりしてたら、案内してくれた先輩も、ロビーで偶然出会った仕事仲間も、「時代物より世話物の方が面白いよ。次は世話物を是非」と勧めてくれる。なんと、そうなのか。じゃあ次は世話物を観よう。というか、第一段目「杉の森の段」では幼子が親の首を切るし、「尼ヶ崎の段」では光秀が母親を槍で突いちゃうし、初体験にしてはそーとー陰惨だったことは確か。軽くて泣かせる世話物の世界は観てみたい。
んー、なんだか個人的には歌舞伎より好きかも。とりあえず、歌舞伎とともに少しずつ追っていきたい。
仮名手本忠臣蔵 七段目「祇園一力茶屋の場」
2007年02月21日(水) 9:28:09
昼の部に行って感動した「仮名手本忠臣蔵」だが、昨晩のご飯の約束が20時半と遅かったので「よし、夜の部の一幕見席に飛び込もう。約束の時間ギリギリまで観てこよう」と歌舞伎座へ行ってきた。終業時に急に思いついて吉右衛門や玉三郎や仁左衛門を観ることができる贅沢よ。4階席だから役者の表情はわからないし花道も見えないが、その名演をまぶたに刻むことは出来る。安いしいいな一幕見席。こんな豪華な配役でもスッと入って座れるし、これからもっと利用しよう。
六段目「勘平腹切の場」には間に合い、七段目「祇園一力茶屋の場」はラストまでなんとか観ることができた。その次の「高家討入りの場」は約束の時間が迫っていて見逃したが、七段目(お目当て)をフルにじっくり観られたのでまぁいいや。というか、討入りの場なんて観ちゃって印象を分散させたくないくらい七段目が良かったのである。歌舞伎の楽しさを心底実感した。
大星由良之助(中村吉右衛門)と遊女お軽(坂東玉三郎)、寺岡平右衛門(片岡仁左衛門)の3人が絡む美しい場なのだが、とにかくこの3人があまりにうまく、ちょっと呆然としたよ。特に玉三郎には驚いた。ここまでうまかったのか!(←何をいまさら) 美しいというより、実に可愛いお軽で、実際にこんな可愛い遊女がいたら岡惚れしちゃうだろうな、と思わせるほど。仕草から声から実に可愛い。斬りつけられた後にぐじぐじぐじぐじ言っている感じが可笑しくて可笑しくて。ちょっとした仕草とかセリフ回しが本当にうまいなぁ。一晩経った今でもくっきり目に焼き付いている。あぁ他のも観たい!
仁左衛門と吉右衛門にも参った。特にキビキビした役を若々しく演じた仁左衛門が格好いい。テレビで観る普通の姿の数倍格好いい。見直したなぁ。他の演技も観たいなぁ。吉右衛門の由良之助も実にいい。艶がある。やっぱ幸四郎より吉右衛門の方がお似合いだ。ラストの方でこの3人が打ち揃ったところなど、あまりの凄さ・華やかさに「時よ止まれ!」と願ったほど。
七段目は華やかだしストーリーも面白い。笑いも随所にあるし、決めのポーズも鮮やかだ。
数人の方にメールで「七段目は本当にいいですよ」と勧められていたのだが、背中を押してくれてありがとう。行って良かった。千秋楽は25日か。七段目だけでももう一度行きたいが…。
感動にボーッとしたまま「鮨しみづ」へ。こういう流れも贅沢である。
二月大歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」
2007年02月18日(日) 8:49:01
チケットを譲ってくださる方がいて「二月大歌舞伎 通し狂言 仮名手本忠臣蔵」を観てきた。
昼の部と夜の部に分かれていて、行ったのは昼の部。11時から15時45分までで、大序・兜改めの場から松の間刃傷の場、切腹・城明渡しの場、道行の浄瑠璃と演じられた。
配役が豪華。
松本幸四郎、中村吉右衛門、尾上菊五郎、中村富十郎、と、歌舞伎ド素人のボクでも知ってる名前が続く。夜の部には坂東玉三郎や片岡仁左衛門も出る(夜には幸四郎は出ない)。ううむ。完全には価値がわかっていないけど、これってスゴイんだろうなぁ。
譲っていただいたのは二階の最前列。花道よりちょっと真ん中に寄ったあたり。それはそれは見やすい一等席だったこともあり、長丁場も飽きずにじっくり楽しめた。ド素人にとってラストの浄瑠璃は少々退屈だったが、それ以外はまぁ楽しいのなんの。なるほどこれは見慣れるとたまらないだろうなぁ。歌舞伎をいまから少しずつ知っていこうという身にはとてもいい入門編だったと思う。Mさん、ありがとう。
個人的には中村富十郎の師直がとても印象的であった。吉右衛門の若狭之助も良かった。幸四郎の由良之助も鬼気迫って悪くなかったけど、単に暗い人みたいになってしまったのがちょっと残念かも。菊五郎は…よくわからない。
昼の部を観て、夜の部を観たい気持ちが募る。
七段目で、吉右衛門、仁左エ門、玉三郎の競演があるし。夜の部の由良之助は吉右衛門だし。観たいなぁ。一幕見席に並んで観に行こうかな。問題は2月の夜が個人的にすべて埋まっていること。とはいえ、地方在住の人はこれを観るためにすごい努力をしないといけないわけで(昨日も大阪支社の女性を見かけた。声かけそびれたけど)、気軽にさっと観に行けるラッキーな環境をもっと活かしたいと思う。スケジュール調整しよう。
かくして一歩、歌舞伎に足を踏み入れた。次は文楽。5月にお誘いを受けたので、行けるかも。
彦山権現誓助剣
2006年07月17日(月) 10:11:15
昨日は歌舞伎。「親子で楽しむ歌舞伎教室」ってヤツで去年も行ったもの。響子が気に入ったようなので今年も国立劇場まで出かけてきた。わかりやすく解説してくれるし、イイトコドリみたいな構成になってるし、なかなかいいのである。
演目は「彦山権現誓助剣」(ひこさんごんげんちかいのすけだち)。「毛谷村」という題名で知られている名作らしく、いわゆる義太夫狂言らしい。義太夫演奏者が舞台上手(かみて)で三味線をバックに義太夫節を唸る。こんなに長く義太夫聞いたの初めてかも。こりゃ落語でハっつぁん熊さんが逃げ出すのもよくわかる。大家のヘタな義太夫なんて悪夢だよなぁ。
出演は中村梅玉、中村松江、中村芝雀ら。外国人も多く観ていたけどたぶん退屈だったろうなぁ。展開が遅いので、日本人には耐えられるけど、なにがなにやら分からなかったことだろう。響子は「おもしろかった!」と満足げ。そりゃ良かった。またいい演目があったら行きましょう。
帰ってから久しぶりにブラームスを正対して聴く。ピアノ協奏曲の2番。なんか歌舞伎で時間感覚が伸びたので、ブラームスあたりがちゃんと聴けるかもと思ったのだ。でも途中で寝た(笑)。4楽章で起きて最後までなんとか聴き、サラダとパスタの夜ご飯。花火のポール立てで腰をグギッとやったのが響き少々腰痛気味。静かに食べて静かに就寝。ベッドの友は「海辺のカフカ」上巻。ゆっくり再読ちう。
地震、そして「義経千本桜」
2005年07月24日(日) 13:50:47
震度5弱の地震。揺れた瞬間、まず娘の部屋に突っ走った。一番優先順位を高く置いているものはなにか、が、こういう瞬間に顕在化する。なるほどボクにとってはソレらしい。
話は変わるが、先週、超久しぶりに歌舞伎を観た。
「親子で楽しむ歌舞伎教室」というのが国立劇場であり、家族3人で行ってきたのだ。演目は「義経千本桜 河連法眼館の場」。主演の忠信役は市川右近。NHK大河ドラマ「義経」を欠かさず見ている娘にもわかりやすいし、歌舞伎の前に丁寧で面白い解説を役者さんがしてくれるし、演目自体もカラクリが多い楽しいもの(忠信は空飛ぶし)。娘の初体験には最適であろう。と思ったらなんと妻も初体験。ふたりとも相当楽しんでいた模様。
このところバレエとか観る機会が多いので同じ舞台芸術としてどうしても比べてしまうが、歌舞伎はバレエに比べて空間の使い方と諧謔に優れていると思った。もちろん表現方法が違うので比較はナンセンスなのだけど、横の広がりや奥行き、花道の使い方、ユーモアの散りばめ方、緩急のつけ方など、バレエとはまた違う心地よさ。超絶技巧もいろいろあって見せ場は多い。あ、それと、客席との一体化な感じもバレエとひと味違うかな。
思わず帰り際に次回の公演や文楽などのポスターをチェック。少し囓ってみようかしら…。と、いいつつ、今晩は岩田さんのバレエ。白鳥の道化を踊る。楽しみ。
@satonao310

