2009年1月 アーカイブ

山田太一「ありふれた奇跡」

2009年1月11日(日) 9:42:32

山田太一最後の連ドラ「ありふれた奇跡」を録画で観た。
1997年の「ふぞろいの林檎たちIV」以来の連ドラ脚本にして、これが最後らしい。倉本聰と並んで20世紀終盤を代表する脚本家。娘には「倉本聰や山田太一をリアルタイムで観たことがある、ということをいつか自慢できる日がくるよ」と言っておいたが、まぁそれくらいの大御所である。

その娘、観終わった感想がボロクソだった。
「わけわからない」「テンポが遅い」「会話が変」「なんだか古い」。

「んー、でもね、この頃のドラマは確かにテンポが早いけど、人生って実際にはあんな風には展開しないからね。表現だって、例えば怒りなら怒りの表情をそのまま描くのが今のドラマ。でも人間って実際にはそんなに「わかりやすく」怒ったりしないし、「わかりやすく」泣いたりもしない。本当に人間を描こうと思ったら、状況を外側から丹念に描いていく必要があるんだよ」と、一応説明というか弁護はしておいた。

山奥の命

2009年1月12日(月) 10:20:51

姫路に住む友人夫妻のお父様が週末猟師をやられていて、毎年この季節になると新鮮なイノシシ肉を送ってくださる。ありがたく昨晩はボタン鍋。粉山椒をまぶしたイノシシ肉を味噌味の鍋にして、メドックの赤ワインを合わせてみた。シャトー・ラ・トゥール・サン・ボネの2000年。

同封されていたお手紙がいい。新年早々、父がイノシシを獲ってきましたので、お送りいたします。
今シーズンは、昨年秋に台風の上陸がなかったので山の木の実が充実しているのでいい状態(美味しい脂)だろうと思っていたところ、山には餌の木の実がなくイノシシもあまりいい状態のが獲れませんでした。天然のジビエは山の状態によって味が変わってくる、という常識的なことも、こうして都会生活を送っているとわからなくなってしまう。山の木の実の状態を想像しながらイノシシをいただく楽しさ。食卓が山に直結しているような実感。安定した食肉の切り身をスーパーや小売店で買っている毎日では決して味わえないシズル感。

山の状態を想像しながら食べていると、それをむしゃむしゃ食べながら幸せに生きていたイノシシの命を奪って栄養にしている自分たちの存在にも自然と気づく。キレイゴトを言う気はないが、生き物たちの幸せな日々を奪っているという自覚を持って毎日大切に生きなければと思う。

仕事な祝日

2009年1月13日(火) 6:26:07

あぁ昨日はよく仕事した。祝日だというのに。
朝起きてから、朝ご飯と昼ご飯と夜ご飯の時間を除いて、寝るまでずっとマックと本に向かっていた。なんだ、もうなくなっちゃったかと思ってた集中力、少しは残ってるじゃん。もしかしたらイノシシのおかげかもしれないけど。

一番はかどったのは企画書。約150ページある企画書をいちから書いていってとりあえず必要な要素を埋めることができた。あとは〆のアイデアを足して、わかりやすく整理してレイアウトし直したら出来上がり。えらく気が楽になった(この企画書作成がわりと苦痛だった)。とはいえあと2日はかかるけど。

残りの時間は「パブリック・リレーションズ」とか「PR」とかの専門書を赤ペン片手に精読。
これからの新しいコミュニケーションに絶対必要な要素群。あと、調査の本ももっと読みたいし、IRの本も読みたい。アメリカのロビイストがどうやって動いているかも知りたいな。クリエーティブ&インターネットという自分の土俵をそっち方面に大きく広げるのがこの春の目標。まだまだ道は遠いけど、全体像は掴めてきた。

岩田オタク

2009年1月14日(水) 5:56:03

昨晩はバレエ関係者とご飯。
目的は「岩田守弘さんの話をすること」であった。お互いに彼の大ファンだし、プライベートでの彼もよく知っているので話は尽きない。

いろいろ話をしていった中で、「そもそもどうやって知り合ったんですか?」と質問され、ええとね、と記憶を掘り起こし、まずは共通の友人の話から始めて7〜8年くらい前の出会いを話し、モスクワ滞在中の話をし、ロシアで観た8舞台についても言及し、ボリショイ劇場の裏話をし、パリでの邂逅にも触れ、私設マネージャーの活動を振り返り、って感じで、岩田さんとの関係をずぅぅっと現在まで話していった。

振り返りながらだんだん「アウェイでたったひとりで頑張っているすごい人なのに、なんでこんなに超無名なんだ!」という当時の怒りというかやるせなさが蘇ってくる。しかしそれも今では笑い話。NHKの放映以降ようやく知名度も上がり、こうして岩田さんの話をできる仲間も増えた。彼は「50歳まで踊る!」と言い切っているので、これからもじわじわ仲間を増やすぞ。

神楽坂にて恒例のお祝い

2009年1月15日(木) 8:10:09

昨晩は毎年恒例の新年のお祝い。神楽坂のお茶屋さんにて。
今年で4年目かな。メンバーは、所用でどうしても来られなかったひとりを除いていつもの4人。金粉の入ったお酒を飲み、伝統的な正月正装をした芸者さんの踊りを見て、最後は全員で三三七拍子(三味線入り)。1時間だけの恒例のお祝いである。今年も無事に始まれり。最後まで行き着けるかな。

4人で2軒目。タクシーでワンメーターの「カルネヤ」へ。
正式店名は「ANTICA OSTERIA CARNEYA」。カルネとはイタリア語やスペイン語で「肉」の意。要するにイタリアン焼肉店である。なんだか最近「カルネ」という言葉を店名に使う店が増えたよなぁ。思ったよりずっとカジュアルな店内でいろんな料理をとってわいわい楽しんだ。安くて美味しいいい店だ。焼肉のイイトコドリである「カルネヤ・オールスターズ」や「カルネヤサラダ」なんか印象に残っている。あ、「パイナップルとバジリコのソルベ」も。なんだよそれ、と思ったけど、ちゃんと味がまとまっていた(バジリコ風味が勝っていたけど)。おもしろし。

そーとー発散できたけど、発散が長続きしないのがここ最近の傾向。重いストレスがすぐ戻ってくる。気がつくと溜息をついている自分。あーあ。

「風が強く吹いている」観劇

2009年1月16日(金) 8:34:59

三浦しをん原作の舞台化「風が強く吹いている」を見てきた。@ル・テアトル銀座
東京公演は18日まで。その後、富山、愛知、宮城、大阪、福岡などを回って2/13までやるみたい。とりあえず駅伝好きや陸上好き、経験者、市民ランナーなどは観て損がない舞台。いや、走るのに興味がない人でも楽しめるな。事実ボクがそうだし。実はぜんっぜん期待せず観に行ったのだが、とても良い舞台だった。泣いている人も多かった。客席は7割の入りだったからまだまだチケットは手に入ると思う。

題材は、今年初めてじっくり観戦して初めて沿道応援にも行った箱根駅伝。
お誘いを受けたのも何かの縁。いままで自分の人生に全く関係なかった箱根駅伝が、今年になってたった2週間で急に「自分ごと」になったなぁ。もう目が離せない感じ。原作もすぐ読もう。駅伝ファンには定番本らしい(映画化もされるらしい)。

脚本(鈴木哲也)と演出(鈴木裕美)が上手。3時間の長丁場なのだけど、途中全く飽きさせない。
駅伝に縁もゆかりもない素人たち10人がひょんなことから箱根を目指すことになり、それぞれに悩みや過去をかかえながら練習し、記録会や予選会をぎりぎりクリアして箱根駅伝に出場を果たし、本番でも大健闘するというベタなストーリー。でもベタって泣けるよね。

あの日から14年

2009年1月17日(土) 7:57:00

もう毎年恒例すぎて「しつこい!」という向きもあろうかとは思いますが、阪神大震災の日はこのコラムへのリンクを。

地震が起こったら、まずこれをしろ!
地震が起こる前に、これだけはしておけ!

ボクの阪神大震災体験談が書いてあります。
死者6434人。行方不明3人。負傷者43792人。住宅全壊10万4906戸。住宅半壊14万4274戸。都市型大地震だったので被害が莫大にでかいですね(同規模の震度である新潟中越地震は死者67人)。

三浦しをん著「風が強く吹いている」

2009年1月18日(日) 13:31:27

風が強く吹いている舞台がとても良かったので、急いで原作を読んだ。

三浦しをん著「風が強く吹いている」(新潮社/1800円)

舞台で先にストーリーを知っていたのだが、知っていたのにとても泣けた。知らなかったら号泣だろう。三浦しをんは「仏果を得ず」を読んでとてもよかったが、逆にああいうコミカルタッチのさらりとした芸風だと思っていたので、この濃い描写力と感動させかた方向はちょっと意外。というかこっちが本領発揮っぽい。他の作品も読んでみよう。

本田哲也著「戦略PR」

2009年1月19日(月) 7:54:41

戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書 94)仕事をご一緒させていただいている本田哲也さんが新書を出した。

「戦略PR」(本田哲也著/アスキー新書/743円)
副題は「空気をつくる。世論で売る。」

著者の本田さんはPRの第一人者で、もともと拙著「明日の広告」を読んでくださってからのおつきあい。内容に共感してくださり、ご飯を食べながらいろんな話をした。そしてボクの本の中で触れた戦略PRについてより深い言及をしたいということになり、アスキー新書の編集者である本多いずみさんをご紹介したのであった。

オバマの始まり。ブッシュの終わり。

2009年1月20日(火) 8:26:57

今夜25時すぎからオバマの就任演説の生中継がある。
歴史に立ち会う意味でも今夜は夜更かしかな。世界一強いプレッシャーに晒されている47歳のその細く孤独な姿を、同い年として、自分の目に焼き付けときたい。

「チェンジ!」を掲げて出てきたこの変革者の最初かつ最大の仕事が「金融問題の後始末&生命維持」であるのは皮肉だし不本意だろう。ここで失敗したら期待が異様に高い分バッシングも激しくなる。黒人層は強烈な陳情軍団として逆機能し、白人層は「そらみたことか」と反発する。逆に成功したらしたで熱狂が強くなりすぎるのが怖い。ヒットラーの初期みたいな熱狂にならなければよいが…。

とはいえ、彼が変革者としての役割を十二分に果たした未来をちょっと見てみたいのは確か。意外と日本にとって(国益的に)厳しい未来になるかもしれないが、いい意味で影響を受け、よりよい政治改革が起こらないとも限らない。お手本から学んで成長するのはお家芸。いい学びがあるといいな。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。