2008年10月 アーカイブ

主治医かつ現役シンガー

2008年10月 1日(水) 9:45:51

胸が変、という症状について恐怖体験談をいろいろいただきました。心肺機能に自信がある方でも突然なるのが心臓関係の病気なんですね。「ま、なんとかなるさ」と甘く考えていたボクもさすがに怖くなって病院行きを考えていたところ、タイミングよく主治医である「まーく」さんから「その症状だとこうこうこういう可能性があります。不安ならすぐ来てください」というメール。ハイ、スグ、イキマス…。

まーくさんは医師にして、現役のシンガー・ソング・ライターでもある。
ボクが中学生のときに毎晩聴いていた深夜放送「たむたむたいむ」のスター。この番組、リスナーから持ち込まれた歌を紹介する「自作自演の歌」というコーナーがあり、そこでハックルベリーフィンというデュオ・グループの「流れ星」という歌がしょっちゅうかかっていたのだ。番組最大のヒットじゃないかな。なぜメジャーで売り出さないのだろうと思うくらいの名曲で、ボクも大好きだった。いまでも暗唱できるくらいよく歌っていた。そのデュオ・グループのふたりのうちのひとりがまーくさんなのである。

人生とは不思議なもので、35年近く前の暗い夜、ラジオにかじりついて聴いていたあの曲を歌っていた人が、いま主治医的にボクを診てくださっている。

どう死んでいくか

2008年10月 2日(木) 8:31:25

野茂英雄が引退し、桑田真澄が引退し、王貞治が引退し、清原和博が昨日引退した。

この寂しい感じは、例えば今の若い人たちがそのうち「イチローが引退し、松井秀喜が引退し、松坂大輔も引退した」という未来を経験すると思うが、たぶんそれに近いだろう。

野茂と王は後悔しながらの引退であった。「らしい」と思う。後ろ髪引かれながらの引退。
でも、桑田と清原は(内心はどうあれ)すっきりさっぱり諦めての引退。これまた「らしい」と思う。がんばった自分をねぎらいつつの引退。

みずの実

2008年10月 3日(金) 7:42:50

昨晩行った店にも「みずの実」があった。
みずの実。東北の方の山菜で晩夏が旬。茎の部分に実がついている独特な山菜。シャクシャクした食感で実にうまい。東京ではまだ知らない人が多いが、数年前から「みずの実」を出す割烹や居酒屋がポツポツ出てきた。今年は3軒目の出会い。初めて食べてからボクはずっとみずの実のファンで、メニューにあったら必ず頼む。

みずの実を食べつつ、昨晩は珍しく会社談義。
新たに部長になった後輩とふたりで飲んだのだが、彼の悩みや不安がびんびん伝わってきて、こちらも妙に熱心に自分の体験などを語ってしまった。食事の場で会社の話とかほとんどしないので(消化に悪いし)、逆に新鮮。しゃべりながら、あぁ自分はこんなこと考えているんだ、と自分の思考を確認した感じ。

なるほどこうやって世のオヤジたちは会社談義・仕事談義・人事談義をするのだなぁ。
麻薬(やったことないけど)みたいに気持ちがいいのも少しわかる。だらだらと仕事周辺の話をしていると変なカタルシスがある。でもやはり封印しよう。仕事が終わったら、なるべく仕事と関係ない人と食事をし、仕事と関係ない話をする(結果的に後で仕事につながることはあるが)。ずっと心がけてきたこの方針は、こういうちょっとしたカタルシスから崩れていく。

ワインのガソリン買い

2008年10月 4日(土) 13:14:37

wine1.jpg8月末にイタリアに行ったときの写真を友人に見せると、意外なものがウケる。今日はそれをここでご紹介しよう。※クリックすると大きくなります※

ボクはどこかで聞いたことがあったのでそんなに意外に思わなかったのだけど、見せるとたいてい「えええ〜!」とビックリされる。

wine3.jpgイタリアのバッサーノ・デル・グラッパという街の郊外のワイン屋でのこと。
向こうの人はもちろんボトルでも買うんだけど、日常飲みのワインはこうしてガソリンスタンドみたいなシステムでドボドボ買っていくのだ。
品種ごとにわかれていて、これはメルローですね。

秋田いい店、行くべき店

2008年10月 5日(日) 11:48:09

クレア・トラベラーの連載「二泊三日のうまうま旅」で秋田を考えています。
以前、高知の情報をお願いしたことがありましたが、編集の関係で高知は戻りガツオの時季まで待つことになり、先に秋田に行くことにしました。

で、実は秋田って足を踏み入れたことがないんです。
きりたんぽ、ハタハタ、比内地鶏、稲庭うどん、そして美味しいお米など、いくつか思いつくのですが、どなたか「秋田ならここ!」という店、ご存知の方がいらっしゃったらお教えいただけると幸いです。新幹線で行けるので、仕事の合間を見てさっと下見食べに行きたいと思っています。秋田のいい店、行くべき店。特に朝ご飯にいい店なんか、全くノーアイデアで…。

この連載もそろそろ終盤。本にまとめる段階になってきました。
いままで連載したのは、東から言うと、札幌、仙台、軽井沢、名古屋、金沢、京都、大阪、博多、長崎、那覇。それに来月号の広島・尾道、特別編のニューヨークを足して12都市。あとは秋田、高知、宮崎、新潟、そして身近な横浜・鎌倉あたりのどれかを足して連載を終了し、本にまとめるつもりです。本用の書き下ろしは、東京、台湾、ソウル、かな。

ワタシの休日

2008年10月 6日(月) 7:36:59

土曜も仕事で、夕方から夜中まで企画会議だった。すっかり休日出勤体質になってしまったが、まぁこの2ヶ月が終わればそれも落ち着く。

胸の圧迫感もまだ取れず、全体に疲れていたせいか、昨日の日曜はずいぶん寝た。相変わらず早朝覚醒で5時台に一度起きるのだが、朝ご飯後また眠る。いや、昨日は睡眠というよりはずっと寝ころんでいたという方が正しいかも。
本を数冊。椎名誠「『十五少年漂流記』への旅」、デュラン・れい子「一度も植民地になったことがない日本」、山田あかね「まじめなわたしの不まじめな愛情」、ジミヘン「おやじのための自炊講座」、吉田豪「元アイドル!」。ジャンルばらばら。読んでは寝て、寝ては読む。まぁ極楽なんだけど、なんだか疲弊した。特に「まじめなわたしの不まじめな愛情」の登場人物の心を追っているうちに虚無感が襲ってきたのが痛い(笑)。一人称で露悪的描写が続くのでなかなか大変。恋愛の砂地獄に気持ちがいきなり引きずり込まれ、心の柔らかい部分を晒されてしまう。そういう意味で秀作。

砂地獄から脱出するために、サイトを本にした(同志!)「おやじのための自炊講座」や、天才インタビュアー吉田豪の本なんかを読むが、どうにも抜け出せない。うーむ。山田あかね、人の休日をどうしようというのだ(笑)

その人の癖の記憶

2008年10月 7日(火) 7:30:08

夜中、気持ちのいい風に吹かれながらゆっくりゆっくり道を歩いていたら、iPodからaikoの「カブトムシ」。

もともと大好きな曲ではあるが、そのときの気分に妙にはまり、何度も再生した。

 ♪少し癖のあるあなたの声耳を傾け
  深い安らぎ酔いしれるあたしはカブトムシ

風呂に入るのは午後9時36分

2008年10月 8日(水) 8:16:45

昨日ノーベル物理学賞をとった3人のうちのひとり益川敏英教授は、時間を決めて行動するのが好きだという。出勤時間は毎朝午前8時2分、風呂に入るのは午後9時36分と決めていた、というのである。

出勤が分単位で決まっているのはよくわかる。電車の都合とかもあるだろう。うちの子も「6時47分にNHK街角情報室のテーマ音楽が流れるときに家を出る」と決めていて、まぁ分単位だ。でも、風呂が分単位で決まっているのはユニークだなぁ。午後9時36分。なぜ36分? どうせなら9時31分にすれば、ク・サ・イという語呂合わせで風呂っぽくなるのに(アホか)。

とはいえ、この「時間を決めて行動する」というのは実はよくわかる。
日常をあるサイクルで「自発的に」律すると、日常の生活が自分のペースで習慣化され、ものを考えたり継続して執筆作業をするときなどに好都合なのだ。この「自発的」というのが大事。「風呂に入るのは午後9時36分」と自分で決めることで、他人の都合に影響されず自分本位で動くことが出来る。他人の予定がどうであれ、午後9時36分には風呂に入る、と決めて、自分のペースをキープするわけだ。

シーシュポス

2008年10月 9日(木) 12:51:10

ターミナルケアに従事する医師と、ある宴席で隣り合い、少し話を聞いた。

「ボクたちの仕事のゴールは、相手の死なんです」と淡々と話される。本来、相手を治すのが仕事なのに、治さずに見送ることが仕事となる矛盾は、最初彼を悩ませたという。相手の死がゴール。いったい達成感はどこにあるのだろうか。

いまではその辺は吹っ切れたとおっしゃっていたが、なんかその人がシーシュポスに見えた。
もちろん、その仕事が徒労に近いのだと言いたいわけではない。患者の笑顔、家族の安心はなによりの糧だろう。でも、なんというか、自分が患者のために積み重ねた時間が、患者の死とともに無に帰す感覚が、どこか、苦労して岩を山頂まで押し上げたあげく、岩が転がり落ちてはじめに戻る、という「シーシュポスの神話」の不条理さを思い起こさせる。

人生でもトップクラスのプレッシャー

2008年10月10日(金) 8:35:37

来週の15日(水)に、人生でもトップクラスにプレッシャーのかかる仕事があり、日々緊張が高まっている。

テンションが上がったり下がったり、人に頼ったり独りを欲したり、異様に元気になったり急に疲弊したり、なんだか気分が乱高下。というかですね、この仕事を言われたのが6月。なんでそんなに早く言うかな。この4ヶ月、ずっとこのプレッシャーと闘っている。

親しい友人にはちょこちょこ愚痴をこぼしているのだが、違う業界の人にはこのプレッシャーがわかりにくいようで、理解してくれようとはするもののどこかでピンと来ていない模様。それもそうだろうなぁ。
かといって会社の同僚ならわかってくれるかというと、ボクの周りのクリエィティブ部門の人間はピンと来ない様子。まぁボクでも他人事だったらピンとこないかも。だから気楽な気持ちでその仕事を受けてしまった。受けたあと、いろんな説明を聞いているうちに「こ、これはひょっとしてオオゴトなのでわ!?」とびびりまくった次第。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。