2008年05月

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うまいもので頭痛を霧散させる

2008年05月01日(木) 5:31:03

企画書書きの寝不足もあって偏頭痛がし、肩こりも酷かった昨日。会社のデスクに向かっていても常に目の奥の方がジンジンと痛い。ちょっとヤバイな、これは。

こういうときの対処法のひとつは「思いっきりおいしい昼飯を食べる」である。ボクの場合、それで治った過去がある(ホントかよ)。なんか悪いストレスみたいなものが出てっちゃうのかな。

電話してみたらラッキーにも席がひとつ空いていたので「鮨しみづ」。
地方の名店をいくつか回っている昨今だが、やはりここの鮨はひとレベル違う。というかボクとの相性が抜群なのだ。年々相性がよくなる気がする。数年前より柔らかく優しい握りに変化してきているが、奥の方に力強い男鮨が身を潜めていて、その酢の強さといい、パラけ方の絶妙な具合といい、Too Muchじゃない感じといい、お値段といい、食後の気持ちよさといい、ボクの中の「鮨の理想」に今一番近いかもしれない。

他の名店で食べても、それはそれで「うまいなぁ」と溜息をつくが、「鮨しみづ」で食べたときのホッとするようなしみじみするような極楽感は味わえない。相性だなぁ。いくつか名店を知っているからこそ、味の相性の存在に気がつく。相性がいい店を探し当てられたのは人生の極上のシアワセのひとつだ。そしてそのシアワセはそこそこの遍歴があってこそ、である。(←遍歴の末でないとボクはシアワセを感じられない)

これからも遍歴は重ねていくとは思うけど、この相性ばっちりが少しでも長く続きますように。
そう神様にお願いして店を出た。
あ、偏頭痛も肩こりも治らなかったです(笑)。そう甘くはないか…。

で、夜22時。
企画書を書いていたら電話。打ち合わせを兼ねて一杯飲むことになった。頭痛はひかない。痛い痛い。
行ったのは「Bar Radio」。最初はシャンパン。ボワールをちょっと垂らしてもらう。うまいなぁ。数杯飲んだあと、尾崎さんに「何かお願いします」と、カクテルを指定せずにお願いする(期待満面)。はい、と、いつもの笑顔で応えてくれて丁寧に作業しだす尾崎さん。

「はい、どうぞ。ジン・フィズです」

ジン・フィズ?
と、ちょっとはぐらかされた気分で飲み始めたが、このジン・フィズがすごかった。
あぁジン・フィズって飲み物の高みをボクはまだ知らなかったな。こんなにすごいんだ…。飲んだ瞬間、数多あるカクテルの中からジン・フィズという狭い狭いストライクを(それもチェンジアップで)狙いにきた尾崎さんの粋に気がついた。うわぁ。それにしてもジン・フィズがここまで…。うわぁ。

いや、ウソみたいな話、頭痛が霧散した。
そういうことも、ある。実際、あまり寝てないままに朝5時に起きて仕事をしているが、頭痛も肩こりも治ってしまった。うはは。

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実質6日でミュージカルを9本

2008年05月02日(金) 4:58:54

最後の最後までバタバタ。
夕方まで分刻みで仕事をし、プレゼンに至っては出発直前に新しいニュースが飛び込み、行きのタクシーの中でパワポを大幅に訂正して書き上げるという離れ業をし(車に酔った!)、夜は夜で会食で飲み過ぎ、家に帰ったらもうクタクタ&デロデロで翌朝からの旅の用意も出来ず。すっかり家族にもダメ人間と見放されてソファ寝。

夜中過ぎ、なんとか起き出して多少の用意。
ニューヨークは寒いらしい。でも東京はすでに夏日なので、いまさら冬支度する気にもならず。なんとかなるやろ(なるのか?)。

あぁ、ここまで用意らしい用意もせずに出かけた旅の記憶はなし。でも、そういう旅に慣れていった方が人生は楽しいな。身を軽くすれば心も軽し。荷物はしがらみと心得よ。

ということで、ニューヨークに行ってきます。実質6日でミュージカルを8本観る予定。インプット旅。今回は関空経由。ノースウェスト。ムスメにもらった手書きのお守りを握りしめて。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第1日目

2008年05月03日(土) 16:26:16

昨年に引き続き、ミュージカル旅。
年に一度のインプット三昧で、自分にとっては「勉強」の意味合いが強い旅。無理矢理にでもこういうことをしないと年齢的にどんどんインプットが減っていくので、家族にもお願いして来させてもらっている。幸い一緒に「勉強」してくれる役者・脚本家の森崎博之くん(モリ)という仲間が出来たので、これは恒例になるかもしれない。

新作ミュージカルを観る、NY最新のレストランへ行く、最先端アートに触れる。
直接は広告クリエィティブの仕事に関係ないとはいえ、こういう積み重ねってわりと大きい気がする。モリはもっと直接的に舞台の脚本の「勉強」だが、ボクは時代の先端で起きていることの「勉強」かな(←カッコつけすぎっぽいが)。ネットでは先端にいろいろ触れてはいるが、やはりリアルな肌感覚として触れるのは大事。

ということで、朝早く家を出て羽田〜関空〜デトロイト〜ニューアークと乗り継いでようやくマンハッタンへ。
わりとJALを利用することが多いボクなので、ノースウェスト航空は久しぶり。ロゴや機体デザインが好き。グレーと赤の色遣いって好きなのだ(JALも前のデザインの方が好き)。でもこのデザイン、デルタ航空と合併して消えてしまうらしい。うーん、残念!
ノースウェストは機内も快適で、思っていたよりずっと良かったかも。機内では「MAD MONEY」と「CLOVERFIELD」を観た。後者は英語版しか放映してなかったがシンプルな物語なのでまぁなんとかなるだろうと観た。カメラワークが良い。マンハッタンを活写している。これって意外と細かいリハーサルを繰り返してちゃんと撮ってるんだろうなぁ。終わり方がハリウッドっぽくなくて良い。

デトロイトで乗り継ぎ便が2時間遅れ、予定していたヤンキースタジアム「ヤンキーズ対マリナーズ」観戦が危うくなる。
というか、19時5分に試合が始まるのに19時にまだニューアーク空港にいるという非常事態。でも、タクシーで宿まで行ってそのまますぐ地下鉄で行ったら、なんとか20時すぎにはヤンキースタジアムに着いた。良かったまだ半分は観られるとホッとしたのもつかの間、「カバンを持っての入場はNGだ」と冷たく言われ、カバンを地下鉄駅前のロッカーに預けるために戻ったりしているうちに20時40分になってしまった。あぁなんということ! なんてもったいない! と、ガッカリしつつ球場に入ったらまだ5回終わりでホッ。しかもちょうど球場に入ったときに松井秀喜の打席をチラッと見ることができ、次の攻守交代でいきなりイチロー登場。しかもいきなりヒット! そのあと二盗三盗! すげー!

結局、そこからの1時間でイチローは2安打3盗塁の大活躍。マツイは空振三振だったけど、でも「こういう場所で独りがんばっているのだな」と知ることができ良かった。一打席一打席「個の実力」を試される世界を、こういう場所で積み重ねているのだな…。
7回には球場全体の「Take Me Out To The Ball Game」。これがしたかったの! でも今日のNYは寒すぎて、1時間いるのがやっと。試合開始からいたら絶対風邪をひいていたと思う。遅れてちょうど良かったか。

21時45分に球場を脱出し、超急いでユニオン・スクエアの「Daryl Roth Theatre」へ向かう。

22時30分から「FUERZA BRUTA」観劇。(※予告編
数年前に同じ劇場で観た「De La Guarda」(ビーシャ・ビーシャ)と同じカンパニーの作品。アルゼンチンのカンパニーだったかな。ビーシャ・ビーシャを観たとき泣いた記憶があり、今回も期待したが前回より良かったかも。ボーッとするくらい美しいアート性と、(水に濡れてもいいような格好をしているのなら楽しそうな)ノリが重なり合っており、多少どっちつかず感はあったものの、圧倒的に先端でカッコいい。前回を思わせる壁走りやアクリル板のウォーターパフォーマンスは圧巻。素晴らしい。こういうのを観るだけでもNYに来た意味がある。脳内に普段と違う回路が開く。

大満足の終演後、ミートパッキングディストリクト(MPD)へ流れて「Fig & Olive」でようやく夜ご飯。NY時間の24時くらい。MPDはビルにアートが次々投影されていたり。夜中なのに超繁華。もう完全に夜の主役はココなのだなぁ。
このレストラン、去年来ようと思って来れなかった店。「いま旬は地中海料理」と去年教えてもらっていたが、今年もまだまだ旬の模様。よく流行っているしオシャレ。んでもって料理も思ったより数倍おいしく、これまた満足。クロスティーニに地中海ペンネ。良い良い。ワインを4人で3本あけて盛り上がって帰る。

長い一日だった。
乗り継ぎ移動が24時間以上・ベースボール・オフブロードウェイ・地中海料理。でもどれもアタリで楽しかった。これを書いているのはNY時間の午前3時すぎ。今日はほとんど寝てないけど、眠くないなぁ。やっぱりNYからかなり元気をもらっている模様。たぶん数日でガス欠になるとは思うけど、この調子で無事に過ごせることを願う。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第2日目

2008年05月04日(日) 17:20:25

朝9時すぎ起床。
ベランダに出てみたら異様に寒い。昨日も9℃だったらしい。今日はもっと寒いかも。

みんなが起きてきたので一緒にブランチへ。
「Park Avenue Spring」。このレストランは四季ごとに名前を変える。春は「Park Avenue Spring」、夏は「Park Avenue Summer」って感じに季節の名前をつけ、内装も変える。この店もアタリ。ブランチには是非オススメする。コース32ドルでちょっと高いが内容はよい。6つのパンもとても美味しいし、タイ風スープやリゾット、柔らかいフレンチトーストなど、レベル高いなぁ。

そのままマチネ(昼公演)へ。
実はこの日のマチネは予約しておらず、なにか空いているのを観ようと決めていたのだが、安売り窓口の「Tickets」に並んで空いているのを観てみたらちょうど「Mamma Mia」が35%引きで売っていたのでそれを買う。たまたま見逃していた演目なので良かった。席は2階の右端。盛り上げるのがうまい劇で、観客も激烈に踊って楽しい。これは日本とかよりアメリカで観た方がいい演目だな。観客のノリが違う。ちょっとどうかと思うくらいのノリ。

マチネが終わってから皆と別れてひとりで買い物。
ソーホーのいつも行く店をふたつ。特にいつも狙うのは310のクツ。310(サトー)の語呂合わせのみで定期的に買っているシューズメーカーである。今期のデザインの中でひとつ気に入ったものがあったので購入。購入後、ソーホーを歩いていたら日本にいるムスメより電話。何度経験しても不思議に思う。同時間、日本とNYで離れているのに街角で話が出来る現実。若い人には普通だろうが、この年代以上はやはり奇跡的なことなのだ。

ソワレ(夜公演)は20時から。「ヤング・フランケンシュタイン」。
これ、1970年代のメル・ブルックスによる名作映画のミュージカル化で、今年の新作なのだが、実に面白かった!
トニー賞獲るかもなぁ。前半が特によい。テンポと舞台転換が素晴らしい。曲もいい。役者もいい。賞を獲るにはそのナンセンス具合が唯一心配だが、「Spamalot」ですらあれだけトニー賞総なめするのだから関係ないか。これは大当たり。とてもいいミュージカルだ。

終わってから(つうかすでに約23時だけど)NY在住の友達たち(ミナさん、マドカさん、ユキさん)につきあってもらって、同行者4人とで夜ご飯。総勢7人。イーストヴィレッジの「E.U.」。ここ、パブというかアメリカのオシャレな居酒屋という感じなのだが、なかなかおいしい上に楽しい。バランスがいい感じ。リブのサンドウィッチうまし。

話は盛り上がり、午前2時すぎまでいろいろ話す。
解散したあと、4人で数ブロック先の「Pommes Frites」へ。
ここ、フライド・ポテト専門店。飲んだあと、日本だとラーメンか蕎麦だが、こちらはフライド・ポテトらしい(笑)。そのせいなのか大行列。夜中の2時すぎだよ? でもみんな並んでるよ。へー。

並んで買ってテイクアウトして部屋でみんなで食べる。大学の合宿みたい。カレーケチャップソースがうまい。揚げ具合もよろしい。というか超ジャングなのでコメントが難しいが、夜中に食べると妙にうまい系。そのうちバカ・ヨガまで始まって朝4時とは思えない運動まで。まぁ日本時間だとまだ夕方だからな。

んー、さすがに疲れた。
一日目、二日目と異様に充実したので、明日は少しペースを落とそう…。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第3日目

2008年05月05日(月) 21:06:59

もともと時差ボケしない方だったのだが、今回はわりと出ている。
日中眠くて仕方がない。でも今日は朝11時くらいまで寝られたのでなんとか回復。ベランダに出てみたら晴れ。天気予報はずっと雨だったが、今回は晴れ人間が揃っているのでなんとか持ち直す(非科学的)。

昼はチャイナ・タウンまで下がってベトナム料理店「Nam Son」でフォー。ミュージカル旅はどうしてもアフターシアターの深夜大食で胃が疲れるので、ちょっと胃を休めようという魂胆。
この店、4年前に行ってうまかったので皆にも勧めたのだが、今日もとてもうまかった。ガイドブック系にはまず載ってない店だが、ベトナム人などで行列になっている。GrandとBoweryの角の近くに「南山」という看板が見えるのでソコ。

その後、ソーホーのノリータのあたりに出来た「ニューミュージアム」に行く。
妹島和世(Kazuyo Sejima)、西沢立衛(Ryue Nishizawa)による前衛建築ユニットSANAAの設計によるミュージアム。外観が実に美しい。リンク先を見てもらえばわかると思う。中の展示物よりも建物が勝っている。そういえば新しいMoMAも日本人建築家だ。建築も、ファッションやマンガなどと並んで世界トップなのだなぁ、と、ちょっと誇らしい気分。

わりとあっさり見終わって、近くに出来た「WHOLE FOODS」の新店(食べ物のディスプレイはまさに先端!)を覗いていたら、いつの間にかマチネにギリギリの時間。いっそいでブロードウェイに向かう。

今日の一本目は今年の新作「Cry Baby」。15時から。
ジョン・ウォーターズ監督が若かりしジョニー・デップ主演で撮った映画の舞台化で、同じ監督の「ヘアスプレー」が舞台化に大成功しているのにあやかった感じか。とても期待したんだけど、内容的にはちょっと厳しかったかな…。海岸(?)のラブシーンやラストの締め方などはとても良かったが、全体に主演のJames SnyderやElizabeth Sanleyの歌唱力に頼っている印象。このふたりの歌は素晴らしかったんだけどな。一緒に観たモリも言っていたが、衣装がダサいのが惜しい。衣装がカッコよければ数倍よくなった舞台かも。ちょっとトニー賞には届かない感じ。

日曜はマチネとソワレ(夜公演)の時間が近い。終わって1時間後にはソワレが始まるので、少しブラブラしたあとすぐソワレ。

観たのは、今回唯一の再見である「メリー・ポピンズ」。
これ、実は去年観てとても気に入っていた演目なのだ。まぁ元々の映画が好きだということもあるが、舞台の完成度が図抜けて素晴らしい。舞台化に当代一流の才能が注ぎ込まれているのが如実にわかる出来。再見でそれを確認した。ザ・ミュージカル。隙のない名作だ。

衣装も大道具も歌唱も演技もとてもよいが、特にすごいのはやはり主演のAshley Brown。去年も瑞々しくて良かったけど、今年は演技に余裕ができた。
前日に急に取った席なのだが、1階の真ん中、前から15列目くらいの最高の席で、去年観た2階とはまた違う感動。最後にメリー・ポピンズが飛んだときは(2回目なのに)ちょっと泣くくらい感動した(笑) だって頭のすぐ上まで飛んでくるから、妙にカタルシスがあるのだ。うーん満足。

夜ご飯は例によってアフターシアター。22時くらいから「Pure Food & Wine」。アフターシアターだと選択肢が限られるが、探すと意外とあるもので、去年・今年と続けているうちに22時や23時から食べられる店をたくさん知った。

「Pure Food & Wine」は、ニューヨークで一番旬なRaw Food(最低限の加熱しかしない生の料理)系のオーガニック・レストラン。
52ドルのテイスティングコースを取ったが大アタリだった。肉・魚を一切使わず、野菜とチーズとスパイスだけで構成されている。肉厚なキノコが肉代わりな感じ。でもバラエティに富む野菜を上手に組み合わせて繊細きわまりない料理に仕上げており、実にうまい。やり過ぎも創作しすぎもなくハイセンス。いかにも「先端」だ。加熱も上手だなぁ。デザートまでおいしい。
あえて言えばインド料理やメキシコ料理の影響を受けているかな。和食の影響も少し。各皿に驚きがあり、4人してわーわー喜びながら食べた。全員テイスティングコースなのにひとりひとり違った料理を出してくれて、シェアして楽しめるのだ。ここはいい店。オススメかも。

宿に帰ったのが24時すぎ。ここ数日の中で圧倒的に早い。ネットになぜかうまく接続できず四苦八苦したが、なんとか接続成功。明日は月曜なのでマチネもなく、比較的ゆっくり。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第4日目

2008年05月06日(火) 18:59:28

ニューヨークは「自分の人生、結局、他人からどう思われても良いのである。うむ」と再確認するのに最適な街である。

誰も他人なんか気にせず街を歩いている。
いい意味で自分勝手の寄せ集め。でもそれでいいんだということを日本に住んでいるとすぐ忘れちゃうのだ。こうやって再確認しないと知らぬうちにまた他人の目や評価を気にして生き始めるボクがいる(まぁサラリーマンって他人から評価を受ける職業なので仕方ないのだけど)。

他人の目を気にして生きるということは、他人に合わせて人生を変えるということだ。変えるのは良い。でもそれが他人の尺度なら良くない。他人の尺度は自分のオリジナルな人生にはなりえない。
いや、実に青臭い話なのだが、もうすぐ50歳の男でもまだそんなあたりに留まってウジウジ考えている。この辺、28歳のころとほとんど変わらないかもね。

早朝、ユニオン・スクエアの広場の階段に座って2時間くらいそんなことを考えていたらとても気が楽になった。やっぱり1年に1回はニューヨークに来ないとな。なんか他力本願的ではあるけれど、そんな「人生の基本」に気づかされる街である。

今日はどっ晴れ。2日前は熱燗が飲みたいくらい寒かったのに、今日は暑くなりそうだ。
昨晩は朝2時半くらいに寝たのに朝6時すぎには目覚めてしまい、二度寝しようと努力するもなんだか眠れず、天気がいいこともあってユニオンスクエアへ独りで散歩へ。
グリーンマーケットをひと通り見てから広場の階段に座り込んで街行く人を眺め、上述のようなことを考える。空はあくまで澄み渡り、空気は冷涼。街は平日の朝の賑わい。結局2時間くらいボーッとしていただろうか。ある意味至福の時間であった。

月曜はマチネがないので夜までゆっくり。月曜はソワレもほとんど休み。でもいくつかはやっている。今晩のミュージカルは見逃していた「RENT」に行く予定。もう来月で終演しちゃうんだよなぁ。最後に見られるのは良かった。

昼は「BLT Steak」。
ここ、「Peter Lugar」や「Wolfgang's」よりひょっとするといいかも。PorterHouse(2人前より)を頼んでシェアしたのだが、歯で噛むとサクサクと音がするようなレッドミートで、ボクの好み。日本の霜降信仰とは別物の美味。うまいなぁ。最初にでたパンのPopOver(うますぎ!)や付け合わせのアスパラガスなどもおいしく、Bistroを店名に冠した意味もわかる(BLT=Bistro Laurent Tourondel )。ボクの中でいきなりNYのニューヨークトップクラスに躍り出たステーキレストラン。

そのままSOHOとノリータへ買い物へ。
ツマのリクエストであるKate Spadeや、ムスメ用のカバンなどを購入。ムスメ用にはこれで何回目かの「HIGH★WAY」。いろいろ歩いて探しまくるのだが、なぜか毎回この店に落ち着くんだよなあ。相性かな。話題のBleeker St.なども歩くが、どちらかというと女子向けな店も多く、そのまま地下鉄で部屋へ帰る。

部屋で1時間ほど寝ているうちに夜の公演の時間に。
今日は月曜なのでやっている演目が少ないが、その中から「RENT」を選ぶ。
毎年のようにNYに来ているわりには「RENT」をず〜っと見逃していて、今回が初見。いやー、泣いた。映画を観て予習しておいたので筋が完璧にわかっていることもあるが、演出的には映画の数倍いいかも。あと1ヶ月で終演してしまうのだが、名作だなぁ。舞台演出も曲も演技もすべてよし。周りもみんな鼻をすすっていた。No day but Today!!

終わってから28丁目のパークとレキシントンの間まで急ぎ、「resto」というモダン・ベルギー料理の店へ。ここも旬の店であるが、もう23時で空いている。
ベルギービールが50種類揃っている店で、23:30から深夜メニューになってしまうので急いでオーダー。本日のスペシャルである豚の顔肉のサンドが印象に残っている。ビールはうまいけど、ちょっと高め。味的にはわりと素朴な店かも。

その店では、1993年くらいから7年くらいに渡りすごくお世話になった「zazou」というプロダクションの岡田ディレクターと里見プロデューサーと一緒に飲んだ。懐かしくて懐かしくてなんだかうれしい。だって戦友だもんなぁ。どれだけ厳しい仕事をみんなと完遂し、様々な精神的問題を一緒にやりすごしてきたか。久しぶりに会っても全く違和感ない。いやー仲間仲間。厳しくツッコんでも気にならないし、ツッコまれても気にならない。やはり一緒に修羅場を体験した戦友はラクチンだ。

午前1時くらいに解散。
モリが風邪気味で調子が悪く、そこで別れたが、ボクともうひとりと彼らの4人でもう一軒流れる。
二軒目は「Nao」というミッドタウンの隠れ家バー。
ナオという名前の人がやっているなら話も盛り上がりそうだが(ボクもNaoなので)、実際は違う日本人がやっている純日本人バーである。客も店員も全員ジャパニーズ。背中に紋を背負ったバーテンダーさんが作るお酒は、まだ修行中なので微妙な味なのだが、とりあえず優しい味。

岡田さんや里見さんとは拙著「明日の広告」を端緒にいろいろ話が盛り上がり(わりと真面目で前向きな話)、ふと気がついたら朝の5時。うわーと宿に帰るも、もう6時だ。NYの朝焼けがやけにキレイ。

ボクがNY1と思っている朝ご飯のレストランの予約まであと4時間ちょい。やばい。寝よう。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第5日目

2008年05月07日(水) 14:41:07

朝9時すぎ。這いずるように起き出してアッパーウェストの「Barney Greengrass」へ。
ここ、何回来ただろうか。最近はNYに来たら必ずと言っていいほど来ている。スモークド・サーモン、セイヴィル、チョップドリバーなんかをベーグルに乗せて食べるユダヤ朝食。抜群のうまさ。前回これを初体験したモリも「あそこだけは再訪したい」とお気に入り。

ただ、ついさっきまで飲んでいたせいなのか胃があまり受け付けない…(泣)
体調不良や時差や寝不足もあるのだろうな。でも、絶品のスモーク物をいくつかいただいて、ベーグルも食べて満足。普通の人の朝ご飯の量は食べたか。

天気は快晴。雲ひとつない。
フリッツ美術館に行こうかと思っていたが、気を変えてセントラルパークへひとりで。
芝生が大きく広がるSheep Meadowまでテクテク歩いて、芝生に寝ころぶ。周りは水着姿の人も多い。あ〜極楽だ。途中から上半身裸になって太陽に直火焼きされながら約1時間半くらい寝ていただろうか。ぐっすりと寝込んだ。

さすがに暑くなってきて、起きてパーク内を散策。楽しいな。
そのまま地下鉄でユニオン・スクエアまで帰ってきて、近くのDIESELで買い物をし(急いで旅支度したので着るシャツが足りない)、宿に帰って仮眠。さすがに疲れてきている模様。

夜のミュージカルは今年の新作「A Catered Affair」。
ハーヴェイ・ファイアスタインが脚本&出演、というだけで見逃すわけにはいかない作品。90分の短い作品で、ダンスもなければ派手な演出も皆無で、なんというかプレイ(演劇)に音楽をつけた、といった感じ。要するに地味かつ真面目。主演のFaith Princeが見せ場たっぷりだったので、意外とトニー賞主演女優賞をもらうかもしれないな、くらいが価値かな。マジでミュージカルというよりはほとんど演劇なので、英語が不得意な人にはつらい観劇。一般の旅行者には勧めない。

終了後、待ち合わせまで時間がたっぷりあったので(だって90分で終わっちゃったし)、ロウワー・イースト・サイドのバーでひとりで飲んで待つ。ようやく待ち合わせの22時15分になり、隠れ家的レストラン「Freemans」へ。4年前からやっているとのことだが、本当に隠れ家的な立地でおもしろい。食事はアーティチョークの温かいディップとかチーズマカロニとか、アメリカ料理を少し洗練させつつ素朴さを残したパブ料理かな。よく賑わっていて楽しい。
つきあってくれたのは、NYで勤めているハギオさん(女性)と、NYの大学に勉強に来ている会社の後輩の河野夫妻。それといつもの4人。モリは風邪が治らずきつそうだ。かわいそうに。

食べている間に「深夜にうどんを食べさせる店がある」とハギオさんに教えてもらい、「UDON WEST St.Marks」へ流れる。大阪系のゆるいうどんだったけど、深夜うどんはうれしい。胃がホッとする。

明日はもう最終日。
ブルックリン・ミュージアムで村上隆の特別展示を観る、MoMaで「Take Your Time」や「Design and the Elastic Mind」の展示を観る、グッゲンハイム・ミュージアムで蔡國強の特別展を観る、マチネの「イン・ザ・ハイツ」を観る、ソワレの「リトル・マーメイド」を観る、アフターシアターに大宴会をして三軒ハシゴする。これが明日の予定。全部こなせるのかどうか。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第6日目

2008年05月08日(木) 21:07:39

実質的な最終日。暑いくらいのドッ晴れ。
朝はやはり6時すぎに目が覚める。毎日毎日睡眠時間が短くなる。でもカラダが持っているうちはいいか。気にしないことに。

朝9時すぎに出て、ひとりでブルックリン・ミュージアム。
村上隆の回顧展をやっているのでそれを観るために。いやー村上隆っていまいちわからなかったし、どちらかというと嫌いだったけど、これだけの量と空間に浸って印象が変わった。ようやく彼のやりたいことと魅力がわかった。天井から壁から部屋がまるごと彼の作品になっていて、その空間に自分の身を置いてみると、普通一般の世界が「異化」されて感じられる。個々では異様なアートが、ある調和を見せ始める。本当のリアルワールドとは何なのかという疑問を提示されて身がすくむ感じ。

1階で浮世絵展もやっていて、歌麿や広重を観る。村上隆の二次元性と重なってまた面白かった。

急いでマンハッタンに帰ってきて、メリディアン・ホテルの「バーガー・ジョイント」でハンバーガー。ホテルのロビーの隅っこに小さく小さく表示が出ている店で、不思議な世界に紛れ込んだような店。おいしい。

これまた急いで食べて、MoMaへ。
「Design and the Elastic Mind」の展示が非常に面白かったな。キャブのIPを辿ったデジタルアートなどのあとにアナログなポロック(MoMAに来たら必ず浸る)を観て、結局デジタルもアナログも同じなのだと悟った。

で、14時からミュージカル。マチネは今年の新作「In the Heights」。

オフ・ブロードウェイから上がってきた一番勢いがある演目。
これはね・・・傑作です。
ラップやレゲエやサルサがふんだんに使われたミュージカルで、歌も踊りも初めて体験する世界。アート性にもメッセージ性にも優れている。今年のトニー賞はこれでいいのではないかなぁ。あとは「ヤング・フランケンシュタイン」に主演男優賞あげるくらいで。

マチネのあと、グッゲンハイム・ミュージアムで蔡國強の特別展を観るはずだったが、ちょうどタクシーが回送の時間なのと地下鉄ではすごい時間かかるのとであきらめて、モリたちと合流しご飯。
ミッドタウンのおしゃれなインド料理「Tamarind」。上品あっさりのインド料理でインパクトはないけど満足度は高い。

ソワレは「Little Marmeid」。ディズニーの新作だ。
子供向けの舞台を真剣に完成度高めました、という感じで好感が持てる。ちゃんと客席を大盛り上がりさせるのが立派。あえて言えば、セバスチャン役がいまいちなのと名曲「Under the Sea」の盛り上げは本当にこの程度でいいのかと疑問が残ること。それともっとバンジーを多用するかと思ったが、かかとローラー靴で終わってしまっていたのも少し残念かな。お金がかかりきっていない印象。

ソワレ後は「ミュージカル旅の打ち上げ」ということで、今回お会いしたいろんな方で来れる方をみんなお呼びして〆。
夜23時集合というとんでもない時間なのに、全部で6人も集まってくれた。店はイーストビレッジの「Momofuku Ssam Bar」。日清の安藤百福会長の名前からとっている店名らしいけど、シェフは韓国人。このS'samというのもサム=挟むの意味のサムらしい。

名物のBo Ssamに文字通り舌を巻いた。
超でかい(優に6〜8人前ある量)豚のおしり肉を葉っぱで巻いて食べるのだが、そこに生牡蠣も載せてしまう。これがうまひ。いやーまいった。

ものすごく盛り上がり、「B♭」「nao」と日本人バーをハシゴ。
最後の「nao」ではボクたちのために特製カレーライスを作ってくれる約束だったのでヨチヨチでかけたのだが、「いまからご飯を炊きます」ということで時間が異様にかかってしまった。ええと明日のヒコーキを考えると、朝7時すぎには宿を出ないといけなくて、ええと今が4時だから・・・

ということで、徹夜(笑)
寝過ごすのが不安で寝るのを諦めた。
朝から異様に動き回ったのに全く寝てないので死ぬ寸前。ヒコーキで寝よう。

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ニューヨーク観劇旅行2008 第7日目

2008年05月09日(金) 19:16:05

最後の朝。
ニューヨークとの関係も長く、キザに言えば「もう別れに慣れてしまった」というのが実感。また会えるかもしれないし、もう一生会えないかもしれない。でも、慣れた。特にさよならも言わずに別れる感じ。

結局ほぼ徹夜。ソファで30分ほどまどろんだあと、アメリカのきつい薬でいよいよ調子を崩してしまったモリを起こして帰る準備を始める。

そうそう、そういえば書いてなかったが、今回も去年に引き続き激安旅行なので、モリたちと合宿状態だったのだ。
モリとはツインで同じ部屋(リビングつきの広めの部屋ではあるけど)。40も半ばになって合宿旅をするとは思わなかったが、逆に言うとこういう旅がまだまだ可能な年齢であることに気づかせてもらった。そりゃ高級ホテルの旅も快適だ。でも合宿もまた楽しい。モリたちの気遣いもあると思うけど、ボク自身も昔より神経質さが抜け、楽になっている。ま、髪も抜けたけど。って関係ないけど。

ラガーディア空港からデトロイト空港、関空と乗り継いで、いま関空のレストランで書いている。
ノースウェスト航空は離着陸が安定していて安心。世界でもトップクラスに飛行技術が優れている航空会社らしいし。特徴的な赤い尾翼への賞賛を込めて「Follow The Red Tail」と言われてきたとか。知らなかったな。でもこの赤い尾翼もデルタと一緒になっちゃうと消えるんだよね…。

デトロイトから関空までの機内では爆睡。
着く4時間ほど前に目が覚めて映画を一本だけ観た。「The Bucket List」。邦題は何なのだろう。ジャック・ニコルスンとモーガン・フリーマンが、ガンで余命半年を宣告された老人同士を演じている。病室が一緒になった同士が、死ぬ前にやりたいことをリストに書き出して、それをふたりで実行していく話。映画「死ぬまでにしたい10のこと」と同じテーマではあるが、ロブ・ライナー監督なので人間の描き方がもう少しハリウッド的ステロタイプ。ただ、ボク自身も余命宣告されたらこういうことをするかもな、とは思った。具体的に何をするか、映画を観ながら数え上げたくらいである。

まぁ「明日死ぬかもわからない」という意味では、毎日余命宣告されているみたいなものではあるのだが。

タイトル・ロールを観ていたら、ファースト・アシスタント・ディレクター&共同プロデューサーにフランク・キャプラ三世の名が! フランク・キャプラの子孫がこういう映画を撮るあたりにちょっと宿命を感じる。

前もどっかで書いたが「街との別れは人生との別れによく似ている」と、いつも思う。どこかでこうやって着々と人生との別れに対する心の準備をしているのかもしれない。今回のニューヨークとの別れのさりげなさは、そういう意味で少し感慨深い。個人的にその辺への執着が減ってきているのをこのごろ感じるな(死への準備が出来つつあるということか?)。

さて、羽田へ。そろそろ搭乗。

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人生の体力

2008年05月10日(土) 12:53:52

無事ニューヨークから帰って、家族にお土産渡して(セレクトを異様に喜ばれた。良かった…)、25時くらいに寝たのに、今朝は6時すぎに目が覚めた。時差ボケとかもあるはずなのに、しかも目覚ましも鳴らさないのに、なぜ常に現地時間の朝6時に目が覚めるのか。ニューヨークでも朝6時に目が覚めることが多かった。不思議だ。

で、何もなかったかのように普通に生活が始まる。
ちょっと眠いけど、これは普段から眠いので一緒。ほとんど違和感なし。夕方くらいに強烈な時差ぼけが来るのかな…。

体力がありますね、丈夫なんですね、とか、大人になってからよく言われるようになった。
特にこういう旅行をすると、同年代からそういうメールが来る。今回の旅でもいくつもいただいた。同行したモリにも「寝ないでよく持ちますね」とか感心された。いや、寝ないのは体力がないからです(笑) 長時間寝るって体力がいるのです。老人は体力がないから早朝から起き出すわけで。

そういう意味でボクは体力はないし、実際、中学高校時代、ボクより体力あるヤツなんて山ほどいた。いまでもホンネとして「自分は体力がない」と思っているし、そう実感している。

ただ、運動を続けると物理的な体力がついてくるように、好奇心に素直に従っていろいろ動くことを続けていると「人生の体力」みたいなものはついてくるような気がする。

好奇心に従って動くことを常態としていると「人生の体力」が鍛えられ、持久力がついてくるのだ。これは運動と一緒で「習慣的に動くこと」が必要。若いうちは意識しなくても衰えなかったが、中年以降は意識して動かないと衰えていく。今回も無理矢理ニューヨークに行って良かったと思う。

でも「物理的な意味での体力はない」と知っているので、自分のカラダを過信はしていない。先走る好奇心と相談しつつ、バランスをとっている。今回の旅も前半戦はかなりセーブした。もともと体調が悪かったので、食事も量を控えめにしたし行動量も抑えた。結果、あんまり寝なかったけど、なんとか元気に帰って来られた。こういう知恵は20代30代にはなかったもの。あの頃はひたすら無茶をしたし。

この「人生の体力」は、なんとか長くキープしたいな。
あと3年ちょいで50歳。今後かなり意識して動き回らないと自然に衰え行くだろう。いろいろ工夫と努力が必要な年齢なのだな。じわじわがんばろう。

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自分史上最高においしい披露宴

2008年05月11日(日) 11:26:52

昨日は出版社の友人の披露宴に出席。
これに間に合うようにニューヨークから帰ってきたのである。前日帰国というのもフライトの都合で危ういのだが、なんとか帰って来れて良かった。

ボクは基本的に「なるべく義理を欠くこと」を信条としている冷たい男なので、結婚式とかお葬式とかほとんど出ないのだが(心の中では精一杯祝うし弔うけど)、このふたりだと話は別。たぶんキューピッドのひとりなのである。

2006年末くらいだったか、ボクの文庫本の担当編集者であった新郎とあれやこれや次の本の企画を練っていて、「これだ!」とテーマを決めたのだが、ボクが忙しさを理由にグズグズ書かないでいるうちに新郎が週刊誌に異動。で、新郎が異動直前に「これは書き下ろしより連載にして書きためて行った方がいいと思うので」、と、同じ出版社内の雑誌に連載する手はずを整えてくれたのだ。
その雑誌のボクの連載担当が新婦である。で、2007年頭くらいに打ち合わせも兼ねて、新郎・新婦・ボクの3人で飲みに行ったのだが、その頃彼らはまだちゃんとはつきあっていなかった。ある種のキッカケにその飲み会がなった部分もあるのである(と、彼らから聞いた)。もともと新郎も新婦も同じ部署にいたので知り合いではあったのだが、その辺から急速におつきあいが始まり、1年後には入籍。昨日の披露編に至る。

なんつうか「本」というのは著者や編集者にとって我が子みたいなところがあるので、新郎と企画し、新婦と連載したその「本」をボクが書き上げれば、その「本」は彼らの子供的存在になる(と思う。というか早く書けよオレ)。そこに光栄にも関わっていることもあり、キューピッド的でもあり、こりゃ出席するっしょ、と、祝福の想いを胸に出かけたのであった。


雨男と雨女(本人たち申告)の披露宴なので、朝から雨。

場所はパークハイアット東京。ここでの披露宴は出てみたかったのでウレシイ。
というか、先に結果を言うと素晴らしい会場だったし、なにより料理がうまかった。自分史上最高においしい披露宴。まぁ女性誌やら週刊誌やら出している出版社の編集長やら社員やらがたくさん出席するので、ホテル側も気合い入ったのだとは思うけど、約100人にいっぺんに出す宴会料理なのに、普通の小さなレストランで出すレベルを優に越えた料理を出してきたのはさすがパークハイアット東京。舌を巻いた。モダンで洗練された料理群。ステロタイプなものはひとつもなく、工夫も盛りつけも素晴らしい。裏でどんな修羅場が繰り広げられているかを考えると頭が下がる。

それはともあれ、披露宴自体もとても感動的で、最後にはしっかり泣かされてしまった。このごろよく泣いているなぁ…。堂々として美しい新婦。おもちゃのように可愛い新郎。出席者全員がニコニコ祝福していて、なんだかそれだけで胸が一杯だ。

芸達者揃いの宴でもあった。
主賓をはじめ、スピーチがどれもこれも面白く、ピアノやチェロの演奏もすばらしく、それらが隙なく構成されている上にあの料理だもの、退屈している暇もなかったし、もっと長くても良かったくらい。珍しい披露宴だ。たぶん下支えしてくれているサービス陣も素晴らしかったのだろう。存在を感じさせなかったくらい自然だった。

圧巻は女優・室井滋さんのド演歌(笑)
新郎がずっと彼女の担当をしていたこともあってのご出席。新郎新婦のお色直しでバーーッとドアが開いたら、いきなり室井さんが現れ、新郎新婦を先導して暗いド演歌を歌いながらテーブルを練り歩いたのである。爆笑MC付き。それまでが新郎新婦の趣味もあってROCK系のBGMばかりだったので落差も激しく、大盛り上がり。その後の室井さんによる新郎新婦のインタビューも大笑いだった。

室井さんには「沖縄上手な旅ごはん」の文庫版でボクとの「巻末解説対談」に出ていただいたこともあって、ボクと席がお隣同士だったのだが、ひと言目が「ねぇ、太った?」(笑)。いや、体重は変わらないんですけど、たぶん寝不足&疲れでむくんでるんです…。

すっかり満足して帰宅。
新婦が女性誌編集者なだけあって引き出物も凝っている。いや、いい宴だった。

さて、スーツケース片付けて、録っておいた「ちりとてちん総集編」でも見て、もう一度泣こう。

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ニューヨーク旅 総括(ミュージカル編)

2008年05月12日(月) 6:31:08

実質6日で、ミュージカル9本という目標はクリア(写真はクリックすると拡大します。去年観たのはこちら)。
他に、レストラン17軒、美術館3つ、野球1ゲーム。お会いした人9人。数字にするとそんな感じ。

ミュージカルは去年と今年の観劇旅行で計19本観たわけだが(人生全体でのべ50本くらい)、今からNYに行く方に極私的にオススメするなら、まずは「IN THE HEIGHTS」。旬だし勢いがあり素晴らしい。
ただヒスパニック系のお話しでラップやラテン音楽が中心。言葉もスペイン語が多用されるので、ミュージカルをある程度見慣れた人の方がいいかもしれない。全くの初心者には勧めにくいのも事実。英語もラップは聞き取りにくい(ボクはいずれにしても聞き取れないのであまり関係がなかったが)。

オフブロードウェイだけど、「FUERZA BRUTA」も良かったな。いかにも「NYに来ているぞ」という実感が味わえるだろう。でも濡れてもいい格好でね。
ミュージカルの完成度ではやっぱり「メリー・ポピンズ」が図抜けていると感じる。「オペラ座の怪人」はハワード・マクギリンが主演をしているうちに是非(意外とまだまだやりそうだけど)。9月に終わっちゃう「RENT」も必見。オリジナルメンバーはあまり残ってないが、意外といいキャスト。去年トニー賞を獲った「SPRING AWAKENING」や、毛色は違うけどとにかく楽しい「Avenue Q」もオススメ。日本では劇団四季がやってる「WICKED」も本場で観ておきたいし、新作だけど映画では名作「YOUNG FRANKENSTEIN」もなかなか良い。意外と「リトル・マーメイド」も良いし……

んー、きりがないので極私的オススメをタイプ別に分けてみよう。ここ数年のミュージカルから。

ミュージカル初心者には、「メリー・ポピンズ」「ヘアスプレー」「Avenue Q」「オペラ座の怪人」「WICKED」「MAMMA MIA!」の順でオススメかな。それぞれ楽しい。
ある程度観てる人が数年ぶりに行くなら、「SPRING AWAKENING」「メリー・ポピンズ」「JERSEY BOYS」「IN THE HEIGHTS」「YOUNG FRANKENSTEIN」の順でオススメ。ただ「JERSEY BOYS」はフォーシーズンスの曲をある程度知ってることが条件。
今年の新作からなら、「IN THE HEIGHTS」「YOUNG FRANKENSTEIN」「FUERZA BRUTA」「リトル・マーメイド」の順でオススメ。ボクは観てないけど「Passing Strange」も評判いいみたい。
クリエィター系の人なら「IN THE HEIGHTS」「FUERZA BRUTA」は必見。それプラス、去年のトニー賞最優秀作品賞「SPRING AWAKENING」あたりを押さえておけばそれなりにイマの息吹はわかる。あとは「Monty Python's SPAMALOT」かな。なんといってもモンティ・パイソンだし。
トニー賞の最優秀作品賞を観たい人は新しい順に「SPRING AWAKENING」「JERSEY BOYS」「Monty Python's SPAMALOT」「Avenue Q」「ヘアスプレー」です。あ、「RENT」も獲ってるか。2008年度の発表は6月15日ですね。
主演で選ぶなら、いま旬のDavid Hyde Pierceが「Curtains」で主演中(6/29で終演)。御大Harvey Fiersteinは「A Catered Affair」に出ていて脚本も彼だが、かなり地味な作品なのでファン以外には勧めない。Howard McGillinが主演中の「オペラ座の怪人」が必見なのは上述の通り。「メリー・ポピンズ」もAshley Brownが主演しているうちに是非(ちなみに、関係ないけど、ジュリー・アンドリュース主演の舞台をボクは1996年に観てます。自慢♪)。

というか、主演やキャストでガラリと作品の質が変わってしまうことがあるのがミュージカルの怖いところ。
たとえば「Monty Python's SPAMALOT」は大傑作なのだが、オリジナル・キャストが替わってしまって普通になってしまった(去年再見してガッカリした)。そういう意味では、たった今行くなら、初演メンバーがやっている「メリー・ポピンズ」「IN THE HEIGHTS」「YOUNG FRANKENSTEIN」あたりを観るといいなと思う。初演メンバーはかなり豪華にするのでお得なのだ。「IN THE HEIGHTS」なんか、モリと「初演メンバーで観られたのはラッキーですねぇ」「そうだねぇ」と話し合いながら帰ってきたくらいで。
「SPRING AWAKENING」も少し入れ替わり始めてるし、「JERSEY BOYS」は主演が替わってしまったらしい。

ちなみにチケットを買えるサイトはいろいろあるが、「ticket master」「telecharge」が代表的。ほぼすべての演目がどちらかのサイトで買えるようになっている。英語不得意な人でもなんとか取れる。前者はカードで購入して、チケットは劇場のチケット売り場(Will Call窓口)に取り置いてもらう段取り。後者はEメール添付でチケットを送ってくるので、それをプリントアウトして持って行けばオッケー(プリントアウト必)。
また、観たい演目が確実に観られるわけではないが、当日のチケットは現地「TKTS」で取れる。いま工事中で46丁目(between Broadway & 8th Ave.)のMarriott Marquis Hotelに仮の店舗を構えている。25〜50%くらいのディスカウントだが、短い旅程の人は上記サイトで予約していった方が無難。もしくは「BroadwayBox.com」「TheaterMania」みたいなディスカウント・サイトもある。

って、長くなったので、レストラン総括編は明日。

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ニューヨーク旅 総括(レストラン編)

2008年05月13日(火) 8:36:14

アメリカはまずい、というのが定説だが、少なくともニューヨークはおいしい。
おいしい上に、スターシェフたちが競い合って新コンセプトの新店を出すので、旬が次々に変わっていく。旬の地域も次々変わっていく(MPDからロゥワーイースト、ヘルズ・キッチン…)。スターシェフたちも新店の成功を請け負って見事達成したら、その店を他の人に任せて次の出店に関わる。
そういう意味ではミュージカルのオジリナル・キャスト(初演メンバー)にシステムが似ている。初演メンバーで評判をとって、ロングランを狙うのだ。そして豪華な初演メンバーは次へと移っていく。

ブロードウェイとは層の厚さも似ている。
スターシェフの次に虎視眈々と上を狙っている若いシェフが待ちかまえていて、彼らが移っていった後の店の質をきっちりキープする。数店の支店を持つチェーンでも、コンセプトだけスターシェフが作って、あとは他のシェフに任せていたりするのに、意外とどの店も素晴らしいということがよくある。ここ数年躍進している「BLTグループ」もそういった例のひとつだろう。「BLT=Bistro Laurent Tourondel 」で、Laurent Tourondel というシェフが展開しているレストランなのだが、「BLT Prime」「BLT Steak」「BLT Fish」「BLT Market」「BLT Burger」など、どの店も評判がいい。David Chang の「Momofuku」もそんな感じになってきている(「Momofuku」についてはこちらでくわしく書いた)。

日本だとシェフが変わったり手を広げたりすると途端に店の質が落ちることがよくある。少なくともボクは、支店を出した店は警戒してしばらく行かなかったりする。でもニューヨークでは飲食店ビジネスが一桁違う規模で展開されているので、その辺の事情が違うようだ。ちゃんとお金が入った店はそれなりにちゃんとおいしい。

さて。
去年と今年、いろいろ回ってみた感じだけで話すと、ヘルシーでオーガニックという大きな流れの中で、「隠れ家」と「RAW FOOD」「洗練フュージョン」の3つが旬なのかなぁ、と。

「隠れ家」は、東京では「人に知られていないしっぽりな空間」として人気だけど、NYでは「La Esquina」「Freemans」を始め、単に意外性とハプニング性が人気のようだ。特に前者「La Esquina」はびっくりしたな。知ってる人しか辿り着けない秘密の扉を開くと地下につながっていて、その広大な地下ホールには怪しい人々が大勢たむろしていて…みたいなハプニング性。こういう隠れ家がどんどん出来ていると聞く。

「RAW FOOD」は、オーガニックを基本とした「最小限しか熱をいれない料理」で、なんだか美味しくなさそうだけどさにあらず。「Pure Food & Wine」なんか舌を巻いた。「Cookshop」も良かったな(ここは厳密にはRAW FOODではないか)。ある意味、鮨ブーム、オーガニック・ブームの行き着いたカタチ。これは「先端」だと思うし、今後もしばらく旬が続きそうな分野である。日本でももっともっと流行ってもいい分野だ。純和食とはまた違う、洋食系のRAW FOOD。おいしいよ。

「洗練フュージョン」は、数十年のフュージョン・ブームが行き着いた感じ。
エイジアン・フュージョンに日本料理が加わって、そこにジャン・ジョルジュやフェラン・アドリアの洗練が足され、ヘルシーさとオーガニックさをベースに出来上がった最先端、といった印象だ。
まぁこの辺の進化は想像できる範囲内ではあるんだけど、でも日本ではあまり食べられないタイプの料理だ。今回では「Park Avenue Spring」(←季節ごとにSummerとかAutumnとか店名を変える)なんか、洗練の典型だった。ありがちだけど、ちゃんとおいしい。

フュージョンではないけど、ごちゃまぜ系「アメリカン居酒屋」みたいなのも増えた気がする。
「Spotted Pig」「The Stanton Social」「E.U.」など、パブとも違うアメリカ人の居酒屋。料理はフュージョンをもうひとつごちゃまぜにした感じ。無国籍料理とはまた違う、ニューヨーク独特のカジュアル・フュージョン。こういうのって新アメリカ料理と言ってもいいのかも。

また、現地の人に聞いたら「ここ数年は地中海料理が旬ですよ」とのことだったが、確かに「Fig & Olive」とかに集まるニューヨーカーを見ていると旬みたい。あっさりヘルシーでオーガニックという意味では全体の流れの中にある。

あ、あと、ステーキやハンバーガーのレベルがここ数年、異様に上がっている印象も受けた。
ほんと5年前とは様変わり。もう「不健康」な印象はない。ヘルシー意識が強くなってきて、店側もかなり努力したのだろうな。

って、ちょっととりとめなくなっちゃったが、この辺で。
もう少し時間が経って自分の中で寝かせるとまた違った印象になるかもしれないけど、帰ってきてすぐの総括としてはこんなとこで。

※今年行った店はまだアップしてませんが、いままで行った店はこちらにまとめてあります。

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千葉の奥の奥の方

2008年05月14日(水) 21:36:29

NYから帰ってきてからさすがにバタバタしていて、企画・雑務・人事・会議・講義と折り重なっている。まぁ連休明けということもあるけど実に慌ただしい限り。連載もそろそろ〆切だ。あぁ台湾も仙台もNYも「おいしい店」まとめたい…。あ、メールのお返事など、とんでもなく遅れてます。すいません…。

今朝は6時半すぎに家を出て千葉の奥の奥の方まで2時間半かけて出かけた。と、遠い!

会社の研修所での講義が目的。
この講義を3月にオファーされて、そのときの勢いでちょっとハードルの高い講義テーマを設定しちゃったのだが(そのときはそれで出来る気がしていた)、そのテーマが今になってプレッシャーとなり、昨晩も今朝も「あーでもない、こーでもない」とパワポをいじりまくってた。やべっ、できないっ、話せないっ、と切羽詰まる。

今朝の段階でまだ出来てなかったのだが、出かける寸前に「あ、こうまとめればいいんだ!」と思いつき、それまで作っていた中途半端なパワポは破棄。行きの電車内でタコ坊主のような形相で必死にMac Book Airを打ちまくり(周りの乗客が引いていた)、研修所についてからも講義が始まる寸前まで打ちまくり、なんとかギリギリで100枚ほどのパワポを完成。そのまま勢いで講義も話し終わった。好評。良かった。ホッとしてお弁当をいただいて、また2時間半かけて都内へ戻ってきた。行って話して帰ってくるだけで7時間以上だよぉ。でも無事に済んで良かった良かった。

と、ここでふと気づく。
社員証とクレジットカードがない! どうやらどこかで落とした模様。
クレジットカードはSuicaを兼ねているヤツで、会社のゲートを通るときに使う社員証と一緒にプラスティック・ケースに入れて、いつもポケットに入れている。物を落とすことがほとんどない人生を送ってきたので、そんな持ち歩き方でも落とさない自信があったのだ。なのになのに。んーちょっと呆然。

朝からの行動をひとつひとつ掘り起こしてみる。薄ぼんやりしているが、行きの電車でタコ坊主のような形相で必死にMac Book Airを打ちまくっている時に車掌の検札を受けた気がする。特急券も買わずに飛び乗ったので、Suicaを見せて降車駅までの乗車券・特急券を買った記憶がある。そのときそのSuicaをちゃんとしまわずに、寸暇を惜しんでまたMac Book Airに向かった気がする…。

あの時落としたに違いない!
千葉の奥の奥の方にあるその特急の終着駅に電話して拾得物を聞いてみたが、答えは「届いてないです」のひと言。
一応携帯電話の番号をお教えして、あったら電話してくれるように頼み、あとは研修所に電話したり、クレジットカードを止めたり、社員証を止めたり(止めないとそのカードを拾ったヒトが会社に自由に出入りできるようになる)。あぁ始末書もんだなぁ、とか思って暗い気持ちでいたら、その1時間後に駅から電話で「見つかりました!」と。

いや〜助かった…。
千葉の奥の奥の方のその駅員さん、落とした状況や場所を聞いて、車庫に入っている列車にわざわざ見に行かせて、きっちり拾得してくれた模様。ありがたいなぁ。というか、仕事を増やして申し訳なかったなぁ。こういうあたり、日本はモラルがまだしっかりしていてやっぱり安心だ。疲れたけどいい一日だったぜよ。

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トニー賞ノミネート発表

2008年05月15日(木) 7:34:25

一緒にNY観劇旅行に行ったモリから「トニー賞のノミネートが発表になりましたよ!」とメール。
去年はノミネート後(そして本戦発表前)に観劇旅行をしたのでノミネート作品を中心に観れば良かったが、今年はノミネート前だったのでまさに手探り。当たったかなぁ、どうだったかなぁ、と、ちょっとドキドキしつつサイトを見た。

予想通り「In The Heights」が強い。
最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル脚本賞、最優秀ミュージカル主演男優賞ほか、14部門にノミネートされた。まぁ2008年はこれに決まりじゃないかな。ノミネート直前の脂が乗りきってる頃に、オリジナル・キャストで、しかも前から5列目の真ん中でこれを観たのは相当自慢できるかも。

予想を大きく裏切ったのが「Young Frankenstein」。最優秀作品賞も最優秀作曲賞も主演男優賞もノミネートされなかった。というかほとんど黙殺に近い。去年の「Legally Bronde」みたいな黙殺のされ方。んー、腑に落ちない。ボクは大好きだけどなぁ。

びっくりしたのは最優秀作品賞のノミネートされた「Cry-Baby」と「Xanadu」。
ノミネートするか!?
前者はともかく、後者は去年のプレビュー公演を観て「高校の文化祭レベル」とまで思ったぞ。まぁプレビュー公演(正式公開前のテスト公開)だったからあれから改良されたのかもしれないが、でもなぁ…。「Xanadu」をノミネートして「Young Frankenstein」をノミネートしないのはあんまりじゃないかな。「Cry-Baby」のノミネートもハテナもの。でもまぁこれは理解できなくはない。ただ、最優秀主演男優賞のノミネートは逃しているんだよね。彼の歌唱力で持っていた舞台だったのに。

悔やまれるのは最優秀作品賞など7部門にノミネートされた「Passing Strange」を観なかったことと、最優秀リバイバル作品賞ほか10部門にノミネートされた「南太平洋」を観なかったこと。特に後者は直前まで迷って観なかった。いまさら「バリ・ハイ」でもないと思ったのだった。観とけば良かった。「Gypsy」もPatti LuPone主演ということで一瞬考えたが、こんなにノミネートされるとは思わなかったな…。

トニー賞本番は6月15日20時(日本時間だと16日の朝9時)。その瞬間はモリとチャット状態に突入…のはずだけど、その時間は早朝会議とぶつかっている。むぅ。

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四川大地震

2008年05月16日(金) 7:30:05

12日に起きた四川省の大地震。
まだ瓦礫の下敷きになっている人が1万数千人。行方不明2万数千人。推計死者5万人超。

規模が違いすぎる。総被災者は1000万人超と東京の人口近くまで上り、被災面積は日本の1/6(6万5000平方km)に当たるという。関東一都六県が約3万2400平方kmだから、関東地方のちょうど倍ほどの面積が被災していることになる。

ボクは阪神大震災経験者で、あれと比べるしか基準がないのだが、あのときは電車で20分の大阪に出たらみんな普通の生活をしていてビックリした記憶がある。つまり、歩いて逃げられる距離を避難すれば物資は豊富にあり、なんとか生きていけた。それでも救援は滞り、避難も大変だったのだ。

関東地方の倍ほどの面積が被災しているとなると、想像の域を優に超える。
東京を中心点とすると、愛知や新潟、宮城のあたりまで逃げてようやく避難完了となる(避難を受け入れてくれる場所があることが前提だが)。
大雑把に言って250〜350kmほど逃げないといけない。地震で傷ついた身でそんなに歩けるか。家族や荷物があったりする身で逃げ切れるのか。歩いている途中がずっと被災地域であり、水や食べ物にもコトを欠く(はっきり言って、ない)。寝る場所もない。土砂崩れなどの危険地帯も多いだろう。地獄だ。

車で行けばいいじゃん、とか、被災したことがない人は簡単に思うだろうが、地震の被害というのは被害の全貌が明らかになるまでに時間がかかり、どっちに逃げればいいかわからないことが多い。
逃げた方向がもっと酷いことになっていることも多いし、道の選び方によっては超大渋滞し、前にも後ろにも進めない地獄となる。抜け道行こうにも家が倒れてて道がふさがっていることも多いのだ。第一、安易に車を出すと救助の車の機動力を阻害することになり、救助活動の妨げになる。車で逃げるのは賢い選択ではない。

こうなると、被災地で救助を待つしかない。
流言飛語が飛び交い、家族や親しい人の生存もわからず、夜は真っ暗。幸い春だから冬ほどの厳しさはないとは思うが、不安すぎる状況は続く。水も電気もガスも来ない。場所によっては犯罪も多発する。ケガをしても水で洗えず、不潔な状態が長く続く。周りはほこりが舞い、道は地割れでボコボコ。思うように情報も入らずイライラする。

考えるだにつらい。してはいけない、と思いつつ、ニュースから目をそらして生きている。あまり思い出したくない経験なのだ。

大震災については、「地震が起こる前にこれだけはしておけ!」「地震が起こったら、まずこれをしろ!」「震度7の朝、妻は妊娠9ヵ月だった」などもお読みください。

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北方謙三著「楊家将」

2008年05月17日(土) 10:17:34

楊家将〈上〉 (PHP文庫) (PHP文庫)北方謙三の本は本当にイヤだ。

読み始めから「惚れざるを得ない男たち」をズラリと濃密に描いて、主人公たちにしっかり胸をときめかされ、もう彼らは永遠の命を生きるのだと信じるくらいの強さに痺れまくらされる。中盤には必ず敵役が出てくるのだがこれも敵役側から緻密に描いてきっちり惚れさせられる。それはもう見事な描写。
で、おもむろに「イヤな予感」が行間から立ち上り出す。誰かが死ぬ。まさか…。いや、でも、死ぬはずのない男が死ぬのだ。きっと死ぬのだ。そんなの絶対読みたくない。惚れた男の死など見たくない。

そうして読み進めるのがイヤになる。ガッデム北方謙三!

この「中盤でおもむろにイヤな予感が行間から立ち上り出す感じ」が北方謙三の真骨頂だと個人的には思っている(あとは出だしの一行)。主人公と敵を視点を変えつつ描き分け、脇役にも命を与え、それらを複層的に構成していく筆力。この複層的な大きな流れの中で、読者にイヤな予感を少しずつ与えていく。直接的な表現はない。ただただ構成で感じさせていくのだ。その辺、舌を巻く。
物語はそれぞれの視点で快調に進む。文体も特には変わらない。でも行間から立ち上るのだ。むあ〜っとイヤ〜なムードが。ヤだなぁ。主人公に惚れさせたあげくに壮絶な死を描く名人は他にもいるが、とらえどころのないイヤ〜な感じで読者の心を見事に染めてしまう作家は他にあまり知らない。

「水滸伝」に至っては、そのあまりの「イヤな予感」に途中で読むのを止めている(笑)
もう誰一人死んで欲しくないのだ。その魅力的な登場人物たち誰一人。楊志ひとりの死でいっぱいいっぱい。それなのにイヤ〜なムードが行間に立ち上り始めており、とてもじゃないけど前に進めない。ボクが読み進めない限り彼らは死なないのだ。それでいいやもう。ほとんど封印。

この「楊家将」(北方謙三著/上下巻/PHP文庫) も下巻途中から前に進めなくなった。でも昨晩無理矢理最後まで読んだ。素晴らしいラストだが、嗚呼でもこんなラストなど読みたくなかったよ。彼らには永遠の命を持って欲しかった…。

ということで、傑作です。
続編は「血涙 --新楊家将」。題名がイヤすぎる。絶対つらい思いをする。読むのどうしようかな。んーでも読まざるを得ないな。でもつらいんだろうな…。

北方謙三の本は本当にイヤだ(笑)

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